2018年4月5日(木)
警察盗聴 通話9割犯罪と無関係
請求全てに裁判所が令状 17年
チェック機能せず
政府が2月の閣議で決定した2017年に全国の警察が行った電話盗聴(通信傍受)の国会報告。この中身を見ていくと、盗聴した通話の91%は犯罪と無関係の通話だったことが明らかになりました。(矢野昌弘)
17年に盗聴が行われた事件は13件です。このうち12件は詐欺や窃盗など、16年の盗聴法改悪で新たに対象犯罪に加わったものでした。
盗聴したのは全て携帯電話。13件で計644日間、1万957回の通話でした。このうち犯罪に関連した通話は951回、他の犯罪に関する通話は21回と計972回。全体の8・8%にすぎませんでした。91・1%が犯罪と無関係の通話を盗聴していたことになります。
7件の盗聴で計61人を逮捕しています。逮捕者ゼロに終わった盗聴では、逮捕監禁の捜査で78日間1323回の通話を盗聴したものや、70日間1393回も盗聴した詐欺(未遂も含む)の捜査がありました。
対象犯罪の拡大などを盛り込んだ盗聴法改悪の国会審議で、政府は「裁判官の発する傍受令状により許されるとされており、通信の秘密の制約は必要やむをえない範囲に限定されています」(上川陽子法相、15年8月)と強調していました。
しかし今回、警察の請求すべてに裁判所は傍受令状を発付していました。政府が説明したようなチェックが機能していないことは明らかです。
電話盗聴という捜査方法が犯罪と無関係の会話を盗聴するなど、国民の基本的人権である通信の秘密を侵害することは明らかです。16年の盗聴法改悪で、それまで組織犯罪に限定して行われた盗聴が、一般犯罪に拡大。今後、市民に盗聴の網がかかる危険があります。
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