しんぶん赤旗

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2018年4月5日(木)

主張

カジノ実施法案

何が「世界最高水準の規制」か

 刑法が禁じる賭博場・カジノの解禁に向け自民、公明の与党が行ってきたカジノ実施法案の検討作業が決着しました。安倍晋三内閣はこれを受け、同法の今国会での成立をねらっています。

解禁ありきの茶番劇

 カジノ実施法は、2016年12月の国会で自民、維新、公明の一部などが強行成立させた「カジノ解禁推進法」を受け、政府の責任で国内のカジノの運営基準などを定めるものです。

 安倍首相は、カジノ反対の国民世論に追い詰められ、政府のカジノ推進本部の第1回会合(17年4月4日)で「クリーンなカジノを実現するため、世界最高水準のカジノ規制を導入する」と表明しました。

 政府がまとめたカジノ規制策を受けて2月から始まった与党内の協議では、自民党がカジノのもうけ優先で規制緩和を求め、支持母体にカジノ反対論が根強く消極的とされる公明党が規制強化を求めるという「対立」が演出されました。しかし、最終的な合意内容をみれば、「カジノ解禁ありき」の結論の上の茶番劇でしかなかったことは明瞭です。

 日本人の安易なカジノ入場の抑制策とされた入場料では、公明党は最低限でもシンガポールなみの8000円を主張し、自民党はそもそも「入場料は必要ない」というところから始まって、結局6000円という東京ディズニーランドの入場料より安い金額に決めました。まるで日本人をカジノに呼び込むための価格設定です。

 入場回数の制限は「連続する7日間に3回、連続する28日間に10回」というもので、カジノ入り浸りを公認するにすぎません。

 カジノ施設の設置箇所数も、施設全体に占めるカジノ面積の規制も、事業者が国や地方自治体に納めるカジノ税率も、ことごとく海外のカジノ運営企業が日本に投資する気をそぐことがないよう「骨抜き」にされています。

 一昨年、国民の7割が反対するなかカジノ解禁推進法が成立した直後、これを熱狂的に歓迎する声は、海を越えた米国から上がりました。

 カジノ運営企業などでつくる米国ゲーミング協会(AGA)は「法案成立を歴史的成果として評価する」という声明を出し「日本の政治家とメディア、関係者を教育してきたAGAの努力の成果」だとまで断言しました。

 「観光立国の起爆剤」「多大な経済効果」「地域経済活性化」など、カジノ推進派がとなえる数々の理屈は、海外のカジノ資本に「教育」された絵空事にすぎません。「もうかれば何をやってもいい」とばかりに、日本人を標的にする、最も危険な賭博場の上陸を許すわけにはいきません。

 どんな「規制」を設けたとしても、カジノが国民生活にもたらす計り知れない害悪を除くことはできるはずがないからです。

廃止へ世論と運動を

 国会では日本共産党、立憲民主党、自由党、社民党がカジノ解禁推進法廃止法案を提出するなどカジノ解禁を許さない姿勢をとっています。

 国民の批判を浴びている安倍政権が強行的な態度で「実施法」成立をごり押しすることは、民意無視のきわみです。世論と運動の力がいま求められています。


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