しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月31日(土)

主張

強権政治の「毒」

憲法も国会も法律も無視して

 憲法の尊重擁護義務がある首相が率先して改憲をあおる、財務省をはじめ行政官庁が公文書などを隠ぺい・改ざんし国会と国民を欺く、さらには自民党議員が憲法や教育基本法に違反して教育内容に介入する―文字通り安倍晋三政権の強権政治の「毒」が全身に回ったような事態が続いています。政権が憲法や国会、法律を無視したのでは、国民が主人公の政治は成り立ちません。国民の間では民主主義への危機感が高まっています。憲法も国会も踏みにじる安倍政権の「強権政治」「一強支配」をやめさせることが重要です。

行政府が立法府を愚ろう

 安倍首相は25日の自民党大会で、昨年来拍車をかけている、自衛隊を9条に書き込む改憲に取り組む意向をむき出しにしました。「いよいよ結党以来の課題である憲法改正に取り組む」「(自衛隊)違憲論争に終止符を打つ」―。改憲に固執する首相の姿勢は、国民世論に逆らうものです。憲法は首相をはじめ閣僚や国会議員の憲法尊重擁護の義務を定めています(99条)。憲法を守らない首相に憲法を語る資格はありません。

 安倍首相が憲法無視の強権政治を続けていることが、行政機関や高級官僚の国会軽視、法律無視を招き、政権全身に「毒」を回らせています。それを浮き彫りにしたのが、「森友学園」への国有地格安払い下げと国会が要求した公文書が改ざんされた問題です。政権による政治の私物化という疑惑だけでなく、「国民共有の知的資源」(公文書管理法)である公文書を改ざんして国会に提出するなど国会と国民を愚ろうするものです。

 しかも「森友」発覚当時の財務省理財局長だった佐川宣寿氏の証人喚問が27日行われましたが、佐川氏は自らのかかわりについては「刑事訴追の恐れ」を理由に証言を拒否し、首相や首相の妻の昭恵氏らの弁護に終始しました。改ざん前の文書で昭恵氏の名前を見たかどうかさえ口にしない態度は、言語道断の極みです。国政調査権や国会の証人喚問制度の蹂躙(じゅうりん)は許されません。

 行政機関による公文書などの改ざんや隠ぺいは、安倍首相が政権復帰後最初に手掛けた環太平洋連携協定(TPP)の交渉文書の非公開をはじめ、南スーダンPKOに派遣された自衛隊の日報隠ぺい、「森友」問題や「加計学園」の獣医学部開設に絡む資料隠しなど後を絶ちません。「働き方改革」一括法案をめぐる裁量労働制のデータねつ造も大問題です。文字通り、行政府が立法府を軽視したものであり、主権者・国民の権利を破壊していることは明白です。

 自民党の文教族と一体になった文部科学省による前川喜平前次官の授業内容への介入は、教育への「不当な支配」そのものです。

国民は決して許さない

 憲法は「国の最高法規」(98条)であり、憲法や法律、国会が無視されたのでは民主主義の土台は崩されてしまいます。憲法は公務員についても「全体の奉仕者」(15条)と定めており、首相やその妻、与党のためだけに行動することなどあってはなりません。

 安倍政権の強権政治をやめさせ民主主義を取り戻すときです。行政府の横暴をただし、「国権の最高機関」(41条)である国会がその役割を発揮できるようにすることはとりわけ緊急の課題です。


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