しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月29日(木)

主張

「沖縄に核」発言

非核三原則揺るがす重大問題

 核軍縮を模索したオバマ前米政権による「核態勢見直し」(NPR)の策定時に、米議会の諮問機関が日本政府の意見を聴取した際、在米大使館の秋葉剛男公使(当時)らが核兵器の削減に反対し、沖縄への核貯蔵施設の建設にも肯定的な発言をしていたことが本紙入手の文書で判明し、大問題になっています。秋葉氏は現在、外務省事務方トップの事務次官です。河野太郎外相は秋葉氏らの発言内容を否定していますが、日本の国是である「非核三原則」を揺るがす事態であり、徹底究明が必要です。

核兵器の削減にも反対

 米議会の諮問機関「戦略態勢委員会」は2009年2月、秋葉氏ら大使館関係者から意見を聴取しました。本紙が入手したのは、秋葉氏が示した「米国の拡大抑止に関する日本の見解」と題した日本側文書とその際のやりとりの概要を委員会関係者がまとめた米側メモです。米国の「憂慮する科学者同盟」(UCS)のグレゴリー・カラーキー氏から提供されました。

 日本側文書は、▽米国が核巡航ミサイル・トマホークの退役を決める場合、この能力の喪失をいかに相殺するか協議したい▽米国の抑止能力の質と量は、潜在的な敵が核能力の拡大・近代化を思いとどまるのに十分であるべきだ▽米国が予定している戦略核弾頭の一方的削減は、日本の安全保障に悪影響を与える―などと一貫して核兵器の削減に反対しています。

 米側メモによると、秋葉氏とは別の日本側出席者が「低爆発力の地中貫通型(核)兵器は拡大抑止の信頼性を強める」と述べ、小型核兵器を後押ししたとしています。さらに、戦略態勢委員会のシュレジンジャー副議長が「沖縄への核貯蔵施設の建設」について見解を聞いたのに対し、秋葉氏は「そのような提案は説得力がある」と答えたことを明らかにしています。

 「われわれが聞いたことはショッキングだった」と委員の一人が語っていたと米側メモに記されているように、唯一の戦争被爆国の代表として許し難い発言です。

 加えて重大なのは、日本共産党の井上哲士議員が26日の参院予算委員会で指摘したように、秋葉氏がカラーキー氏との面談で、米国と同盟国が核兵器を共有する「ニュークリア・シェアリング」が「日本にとって唯一の効果的な核抑止の選択肢」だと述べたとされていることです(UCSの報告書、2013年11月)。

 「ニュークリア・シェアリング」とは、米国が持ち込んだ核兵器の管理を危機に際して同盟国に引き渡すというものです。秋葉氏は「中国と北朝鮮は(核)使用を決定するのは米国の役目ではなく、日本であることを知る必要がある」とまで語ったといいます。

 意見聴取の翌年から、米国の核抑止政策の調整などを行う「日米拡大抑止協議」が始まり、秋葉氏は同協議も担当していました。

事態の全容を明らかに

 トランプ米政権は今年2月、新たなNPRで、退役した核巡航ミサイル・トマホークに代わる海洋発射型巡航ミサイルの追求など核戦力の全面的な強化を打ち出し、安倍晋三政権は「高く評価」しています。秋葉氏らの発言は決して過去の問題ではありません。事態の全容を明らかにするため、日本側記録の提出や米側に関連資料の開示を求めることが不可欠です。


pageup