2018年3月28日(水)
佐川氏の証人喚問
際立つ不誠実さと首相守る意思
「刑事訴追の恐れ」盾に国会愚弄
衆参両院予算委員会による27日の証人喚問で、「刑事訴追の恐れ」を盾に答弁拒否を連発した佐川宣寿・前財務省理財局長の姿勢から際立ったのは、国会に対する不誠実さと、安倍晋三首相夫妻の立場を守る意思でした。学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書改ざんや、取引への首相夫妻の関与についての真相解明とほど遠い結果であり、さらなる関係者の証人喚問は必至です。
国会軽視の典型は、日本共産党の小池晃書記局長・参院議員、宮本岳志衆院議員への答弁です。昨年2~3月の佐川氏の国会答弁について、改ざん前の決裁文書に基づくものかを確認した小池氏に対し、「決裁文書がいつ書き換えられたかに結びつく話で、刑事訴追の恐れがあり答弁を控えたい」として答えを拒否。学園との交渉記録に関する昨年の答弁と喚問での答弁との矛盾を突いた宮本氏に対しては、“昨年の答弁が違っていた”として国会答弁をあっさり翻しました。
小池氏は答弁拒否について「訴追の恐れがあるからではなく、都合が悪いだけだ。これでは証人喚問の意味がない」と抗議。無所属の会の江田憲司衆院議員は、具体的な犯罪の構成要件事実のない答弁拒否は証言拒否罪にあたると指摘しました。
佐川氏が自身への批判を覚悟で守ろうとしたのは、安倍首相をはじめとする官邸と首相の妻・昭恵氏だったことは明白です。改ざんの経緯について「答えを控える」と証言拒否を貫く一方で、改ざんへの安倍首相・官邸の指示は「ない」と断言。国有地取引についても、首相夫妻の影響を否定し、「法令に基づいてきちんと契約している」「適正に行われた」と言い切りました。
喚問の最後、改ざんの経緯に関する自身の答弁を「おしかりを受けている。ご満足はいただけていない」と認めつつ、真相解明は「まさに裁判、司法の方になる」と開き直った佐川氏。虚偽答弁、公文書改ざんに関与した疑惑の上に、議院証言法に照らしても問題な証言拒否の乱用は、民主主義崩壊をもたらす国会と国民への背信です。
この証人喚問をもって幕引きとするのか、政府・与党の姿勢が問われます。
(前田美咲)