2018年3月28日(水)
きょうの潮流
私たち記者が記事を書くときによく言われるのが、5W1Hです。いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)―▼「六何(ろっか)の原則」は手元の記者ハンドブックにも記されています。起きた事実を伝える際に欠かせない要素というわけです。しかし、財務省の公文書改ざんで証人喚問された佐川宣寿氏の答弁からはそれがまったく示されませんでした▼一方で明確に語ったのは安倍首相や妻の昭恵氏、官邸の関与の有無。元の公文書にも記されていた昭恵氏らのかかわりは根拠もなく即座に否定する。改ざんの責任を口にして謝罪しながら、最も肝心な部分は一切語らない。疑惑は深まるばかりです▼5W1Hは基本ですが、何が一番重要か、要所はどこか、それは個々のケースによって異なります。森友学園への国有地爆安払い下げ、それに伴う公文書改ざんの核心は政治がどう関与したかにあります。そこが解き明かされないかぎり、国民の納得も理解もとうてい得られません▼野党議員が証拠をあげて尋問しても「刑事訴追の恐れ」をたてに答えない。あれほど断言した自身の国会答弁との矛盾を突かれてもごまかす。これでは、国政私物化を隠そうとする政権への怒りの火に油を注いだようなものです▼事実に背を向けた佐川氏の証言は、真相の究明に昭恵氏ら関係者の証人喚問や国政調査権の発動が必要なことを改めて証明しました。真実をもとめる声はさらに大きい。