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2018年3月12日(月)

沖縄・名護市長就任1カ月

言動に見える市民不在・政府追従

 沖縄県名護市で、辺野古新基地建設を強行する官邸と自民党の丸抱え候補として2月の市長選で初当選した渡具知武豊氏。就任から1カ月がすぎました。その間の言動から見えてくる同市長の政治姿勢を追いました。(山本眞直)


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(写真)新基地建設にあいまいな態度をとりながら、安倍政権とは“合意済み”とばかりに職員派遣などを求めた「要請書」(拡大図

 渡具知市長は、2月8日に初登庁、市長に就任。2月25日、地元紙が衝撃的な記事を掲載しました。

定例会見の廃止

 「渡具知武豊名護市長は、稲嶺進前市長が毎月開いてきた定例記者会見の廃止を決めた」(琉球新報)

 同紙によれば2月14日に予定されていた名護市長の定例記者会見が中止となり、それについて市側は「14日以降の日程は新市長と調整中、2月いっぱい記者会見はやらない」と説明。定例記者会見廃止の理由は「市長の意向」だけです。就任後の渡具知市長の動向からその真意が読み取れます。

 一つは突然中止となった2月の定例記者会見(2月14日)前日の13日、渡具知市長の上京です。官邸で安倍晋三首相、菅義偉官房長官と面談しています。

 同市長は報道陣のぶらさがり会見に応じましたが、官邸でのあるやりとりを秘匿していました。官房長官に手渡した「要請書」の存在とその内容です。

 ネット上で要請書の存在を知った野党市議から公表を迫られた同市総務部は、「情報開示請求をしてほしい」と回答。しかし22日になぜか、「請求を取り下げてほしい。開示する」と前言を翻し、全市議に公表したのです。要請書には「公約実現のため国から優秀な人材を複数名確保(総務省、経済産業省、国土交通省等)」とあります。

 渡具知市長は「(国からの)出向職員は市の重要ポストに据える」(琉球新報)とし、「(同市長の)『容認』表明を政府が待ち構えている」(同)と伝えています。

議案説明会欠席

 もう一つは22日に予定されていた、市長が新年度の市政の方向とそのための予算案を議会に説明する議案説明会です。

 市長は「体調不良」を理由に欠席。市総務部は本紙の取材に、渡具知市長から午後1時30分からの議案説明会の直前の午前11時に「体調不良で欠席する」と連絡があり、風邪で病院に行くとしたものの「診断書は出されなかった」と説明。

 日本共産党の具志堅徹前県議(元名護市議)は「名護市議10期40年の経験で欠席した市長は記憶にない」と指摘しました。

 一方、翌23日に名護市役所で行われた新基地建設担当の辰巳昌良防衛審議官との面談は予定通り実施。面談の冒頭を取材した報道関係者は、「いつも通りで特に(体調の)変化は感じられなかった」と周囲に語っていたといいます。

 「海にも陸にも新基地は造らせない」との公約を貫いた稲嶺進前市長の副市長を務めた親川敬県議はこう指摘します。

 「渡具知氏が、市長就任で真っ先に手をつけたのが定例記者会見という市役所と市民のコミュニケーションの機会のシャットアウトだった。その一方で、新基地建設については『県と国の裁判を注視する』とあいまいな態度で官邸の“厚遇”を受け入れている。定例記者会見廃止は市民不在、国言いなり、を貫くうえで“有害”との意思表示だと思う」


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