2018年3月11日(日)
主張
東日本大震災7年
国は被災者支援の責任果たせ
東日本大震災の発生から7年です。大きな揺れと巨大津波、そして東京電力福島第1原発事故が重なった未曽有の「複合災害」に襲われた被災地の現状は、いまも深刻です。鉄道や国道の復旧、災害公営住宅の建設などはすすんできたものの、被災者の生活と生業(なりわい)の再建は遅々としており、避難生活の長期化や人口流出の進行などさまざまな困難に直面しています。被災者は元の暮らしを取り戻そうと努力を続けていますが、一人ひとりの力には限界があります。国や自治体は被災者の切実な願いに応え、思いに寄り添った支援を強めることが求められます。
増加してきた「孤独死」
震災発生から7年―。津波に襲われた地域では、盛り土によるかさ上げ工事が終わるなどしましたが、町の中心部でも空き地が目立ちます。元いた場所に戻った人たちも周囲に人が少なく復興がすすんでいる実感は持てません。
家を失った人に対する災害公営住宅は岩手、宮城、福島の3県で目標の約9割が整備されました。その一方で、同住宅では亡くなった状態で発見される「孤独死」が年々増えていることが大きな問題になっています。昨年は3県で53人に上りました。65歳以上の高齢者が約4割を占めていることに加え、住民同士のつながりが弱いところでは隣人の様子がわかりにくい状況におかれているためです。若い世代も含む地域のコミュニケーションをどうつくり、どのように維持していくのか。災害発生直後と異なる課題となっています。自治会や町内会の活動を支えるなどきめ細かな援助が重要です。
健康を崩しがちな被災者にとって医療・介護体制を整えることは不可欠ですが、医師や看護師、介護職員不足で充実ができません。手だてを講ずることが必要です。
収入が少なく生活が安定しない被災者には、災害公営住宅の家賃補助、医療費負担や介護保険利用料の減免措置などは“命綱”です。国は自治体への財政支援などを再開・拡充すべきです。被災者に貸し付けられた災害援護資金の返済困難者への猶予措置なども求められます。
もともと過疎化が進んでいた被災地では、人口減少への対策はどこでも大問題です。若者定住へ雇用促進住宅を低額で提供している自治体もありますが、「戸数がとても間に合わないが、財源がない」と国の支援を強く求めています。
安倍晋三政権が「復興・創生期間」を2020年度末までとして、復興・支援の打ち切りと縮小に踏み出していることは重大です。被災地はまだまだ震災前の状況には戻れていません。被災者と自治体が復興に向け必死の努力を続けているときに、国が手を引くなど許されません。
福島切り捨てをやめよ
福島県では県発表でも約5万人が避難生活を強いられていることは、原発事故の過酷な実態を示しています。“自主避難者”も数多くいます。「被害は進行中」というのが現実です。
安倍政権が“自主避難者”への住宅支援を打ち切り、東電が賠償を終わらせたりすることは原発被害者に新たな苦難を強いるものです。被害者を分断する線引きや切り捨てをやめ、全ての被害者の生活と生業が再建されるまで国と東電は責任を果たすべきです。