しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月8日(木)

主張

南北会談開催合意

米朝直接対話へ向けた転機に

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との南北首脳会談を4月下旬に開催すると、韓国大統領府が発表しました。5~6日に北朝鮮を訪問した文大統領の特使団が金委員長と会談し合意したものです。米国のトランプ大統領は、今回の合意について「非常に前向きだ」と表明しています。南北首脳会談の開催合意を、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて米朝が直接の対話に踏み出す重要な転機にしていくことが必要になっています。

緊張緩和への重要な動き

 南北首脳会談は、2000年と07年にも開かれており、今度は11年ぶりとなります。北朝鮮が金正恩委員長の体制になってからは初めてです。過去2回の首脳会談の場所は、いずれも北朝鮮の首都・平壌でした。今回は軍事境界線に位置する板門店の韓国施設「平和の家」で行うことになりました。韓国の特使団首席代表は、「分断の象徴」である板門店の韓国側の施設での会談になったことは「大変意味がある」と述べています。

 韓国側の発表では、北朝鮮は、「朝鮮半島非核化の意思を明確にし、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、北朝鮮の体制の安全が保証されれば、核を保有する理由がないという点を明確にした」としています。また、非核化問題の協議や米朝関係正常化に向けて、米国と「虚心坦(たん)懐(かい)」に対話できる用意があるとも表明しました。金委員長は「非核化は先代の遺訓だ」と述べたといいます。金委員長が非核化に言及したのは異例といわれており、注目されています。

 南北首脳間のホットライン設置などの合意は、朝鮮半島の軍事的な緊張緩和にとって重要な動きです。北朝鮮は、対話が持続される間は追加の核実験や弾道ミサイル発射など「戦略挑発」を再開しないことも明確にしました。

 米国のシンクタンク・大西洋評議会のマニング上級研究員は、北朝鮮の意思表明が「まさにトランプ政権が望んでいたことだ」と指摘し、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表だったヒル元国務次官補は、「(米国は)機会を逃したとみられる行動を取ってはならない」と述べ、北朝鮮との対話に乗り出すよう主張しています。

 トランプ大統領は6日、合意についての記者団の質問に答え、「世界にとって良いことだ」と前向きに評価しました。米朝対話については「希望するのは、非常に平和的な、美しい道を行きたいということだ」と述べ「事態を見守りたい」としています。この合意を受け、米国は北朝鮮との直接対話に踏み出すことがなにより求められます。

安倍政権は姿勢を改めよ

 国連のグテレス事務総長は「朝鮮半島の持続的平和や非核化に向けた真摯(しんし)な対話を再開する土台をつくる上で、さらなる前進だ」「勇気づけられた」と合意を評価し、中国、ロシアなどからも歓迎の声が上がっています。

 そのような中で、安倍晋三首相が“「ほほ笑み外交」に目を奪われ、ぶれてはならない”と対話を拒否し、アメリカの先制攻撃を含む全ての選択肢を支持する姿勢をとっていることは異常という他ありません。このような態度を根本から改め、北朝鮮問題を平和的に解決するため、いま生まれている対話の流れを促進・加速させる外交を行うべきです。


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