しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月5日(月)

主張

地位協定抜本改定

米軍機事故を野放しにするな

 日本国民の生命・財産を脅かす米軍機の重大事故が相次いでいる中で、事故原因の究明をしないまま飛行再開を繰り返す米軍の横暴勝手と、それを許している日本政府の対米追従姿勢が大きな問題になっています。こうした事態の根底には、米軍駐留を受け入れているドイツやイタリアと比べても、米軍に治外法権的な特権を与えている屈辱的な日米地位協定があります。この地位協定に基づく特例法によって、航空機の安全運航に関する日本の航空法の規定が米軍には適用されていないことも重大です。地位協定の抜本的な改定が急務になっています。

独伊と「大きな違い」

 沖縄県は2月上旬、米国が他国と結んでいる米軍地位協定の運用実態などを把握するため、ドイツとイタリアに調査団を派遣しました。県議会での答弁(謝花喜一郎知事公室長、2月22日)によると、▽ドイツでは、航空法をはじめとした国内法やドイツ軍の規則を米軍にも原則適用し、夜間飛行などの活動を大きく制限している▽イタリアでは、訓練など米軍の活動にはイタリア軍司令官の事前許可が必要である―ことが現地調査で明らかになったとしています。

 その上で「ドイツ、イタリアともに自国の法律や規則を米軍にも適用させることで主権を確立させ、米軍の活動をコントロールしていた」とし、「日本では原則として国内法が適用されず、日米で合意した飛行制限なども守られない状況とは大きな違いがあった」と強調しました。

 日本での米軍機事故などを防止する上で重大な障害になっているのが、日米地位協定の実施のために定められた航空法特例法です。

 航空法は、「航空機の運航」について規定した第6章で、最低安全高度(人口密集地で300メートル、非人口密集地域で150メートル)以下での飛行、編隊飛行、物件の投下、落下傘降下、曲技飛行などを原則禁止し、国土交通相の許可がなければできないことになっています。さらに、夜間の灯火を義務付け、運航上必要のない低空飛行や高調音を発する飛行、急降下など粗暴な操縦を禁止しています。

 ところが、これらの規定は同法特例法で米軍には適用が除外されています。最低安全高度を無視した危険な低空飛行や急上昇・急降下、夜間無灯火、パラシュート降下訓練、部品投下などが野放しにされているのはこのためです。

 沖縄県議会は2月21日、米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に所属する垂直離着陸機オスプレイがエンジン吸気口のカバーを落下させた事故に抗議する決議を全会一致で可決しました。普天間基地の即時運用停止や在沖海兵隊の早期の国外・県外移転などのほか、日米地位協定の抜本的改定、特に航空法特例法の廃止を求めています。

航空法特例法の廃止を

 航空法特例法は1952年に米軍占領を事実上継続するため制定されてから一度も改定されていません。米軍に航空法の安全運航の規定を適用することは主権国家として当然です。

 「沖縄は植民地ではない」―。県議会の抗議決議が強調するように、植民地的な状況から抜け出すことは沖縄だけでなく全国的な課題です。安倍晋三政権は米軍言いなり姿勢を改め、地位協定の抜本改定などへ踏み出すべきです。


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