2018年2月20日(火)
シリーズ 憲法の基礎
戦力不保持 徹底的な軍事否定
憲法9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書かれています。
「陸海空軍」が「戦力」であることは当然で、それらの軍隊を持つことが禁止されます。
さらに「その他の戦力」の保持も禁止するとしているところに9条2項の重要な意味があります。
「軍隊」と言えるだけのまとまった物的・人的な組織だけでなく、それに役立つような装置の保持がすべて否定されているのです。
空港や港湾も戦争に役立つ以上すべて禁止されると考えると「常識に反する」ともいわれますが、戦争するための保有が禁止されていると理解されています。
日本国憲法が施行された直後の1947年7月に文部省が発行した『あたらしい憲法のはなし』では、「兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます」と説明しています。
憲法学の世界でも、「その他の戦力」が英文では「other war potential」=「その他の戦争につながる潜在的な能力」とされていることから、「軍隊」だけでなく幅広く社会の軍事化が否定され、軍事的ないっさいの価値が否定されたとされています。日本が「軍隊」とは異なる変装の形で再軍備することへの警戒感も含まれています。
侵略戦争で2000万人以上の他国の人命を奪った日本が国際社会に復帰するには、それだけ徹底的な軍事の解体が必要だったのです。
このようにみれば、日本がその後、アメリカの要求を背景に自衛隊を創設、再軍備したことが憲法9条2項に反することは明らかです。自民党政府は「違憲」の批判をかわすため、自衛隊は集団的自衛権の行使などはできないとし、「必要最小限度の実力」であって「戦力」には当たらないと説明してきました。