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2018年2月19日(月)

自民、「2段階改憲」暴露

まずは自衛隊明記→2回目以降9条2項削除 国民の警戒緩和狙う

 自民党の憲法改正推進本部の船田元・本部長代行は15日の国会内の集会にビデオ出演し、憲法第9条の1項・2項を残して自衛隊を明記する改憲に続いて2項削除へと進む「2段階改憲」の狙いを語りました。1、2項を残すのは9条改憲への警戒感を弱める策略で、まずは自衛隊明記で戦力不保持規定の2項を「空文化」し、その先で2項そのものを取り去る狙いを語ったものです。

 ビデオで船田氏は「2項を外した方が理屈としては整合性が取れるが、2項を外すとなると自衛隊の役割・機能が無限に拡大してしまうという恐れを国民に与えかねない」とし、「2項を残した形で自衛隊を明記する方が国民の理解が得やすい」と、国民の警戒緩和の意図を語りました。

複数改定前提に

 そのうえで、「もう一つのアイデアで、最初の憲法改正、これから複数回あるという前提で考えると、1回目の憲法改正では9条2項を残したままで自衛隊を書く。しかし2回目以降で、国民もわれわれも憲法改正手続きに慣れてきたところで将来は9条2項を外し、そして自衛隊を書くことにしたらどうか」と述べ、自衛隊明記の先に「2項削除」へと進む2段階改憲のシナリオを明言しました。

 こうした2段階改憲論は、改憲右翼団体「日本会議」から出されています。

 日本会議政策委員の百地章国士舘大学特任教授は1月に都内で開かれた日本会議系の集会で、「70年間一度もなかった憲法を改正する大事業を私どもの力でやりとげれば、この成功体験は必ず次につながる。第一歩としてまずは自衛隊を明記しろと。そこから議論していけば、自衛隊を軍隊にしないといけないとなる」と発言しました。

 さらに同集会で、日本会議国会議員懇談会の木原稔財務副大臣は「一度でも改正したら国民のハードルはぐっと下がる。1回目の改正を成功させた後に、2回目の改正、3回目の改正、当然前文も改正しないといけない。しかし1回目の改正を、今年成功させるためにはどうしたらいいか、私も安倍総理と同じ、結果を出さないといけない」とあからさまに2段階、3段階改憲を語りました。

隠したい手の内

 日本会議国会議員懇談会の幹部の一人は、公明党が2段階論への警戒を示していることもふまえ、「本当はそういう手の内は分からないようにしておきたい。その意味では、船田さんが『2段階論』を暴露しちゃったのは余分だった」と語っています。

(中祖寅一)


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