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2018年2月18日(日)

シリーズ 憲法の基礎

「平和憲法」 9条2項あればこそ

 安倍晋三首相の9条改憲の動きの強まりに対して、3000万人署名をはじめ、「9条守れ」の運動が全国で広がっています。対話の中では憲法の基礎についてさまざまな質問も出されています。シリーズで考えます。

 日本国憲法は「平和憲法」と言われます。

 それは第9条があるからです。9条は、第1項の戦争放棄と第2項の戦力不保持・交戦権の否認から成ります。二つの規定は一体のものですが、日本国憲法の最大の特徴は、第2項にあります。

 20世紀は「戦争の世紀」ともいわれ、1億人以上が戦争で犠牲になったとされます。その中で、「戦争のない世界」を目指す流れが強まった世紀でした。

 初めての近代的総力戦となった第1次世界大戦(1914~18年)後、国際連盟が侵略戦争の禁止に踏み出し、28年の不戦条約では「国際紛争解決のため戦争」に訴えることを禁止しました。

 それでも第2次世界大戦を防ぐことはできず、未曽有の惨禍を全世界にもたらしました。

 戦後の国連憲章(45年)は、紛争の平和解決を国際的に義務付け、武力の行使も一般的に禁止されました。各国の憲法にも侵略戦争の禁止を明記する例も現れました(イタリア、ドイツなど)。

 この中で日本国憲法はさらにすすんで9条2項で、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と戦力不保持を明記するとともに「国の交戦権は、これを認めない」と交戦権も否認しました。

 国連憲章と比べても大きな飛躍があるのです。この飛躍はどうして生まれたのか。国連憲章制定と日本国憲法制定との間にヒロシマ・ナガサキへの人類史上初の原爆投下という出来事があったことも、重要な一つの要因です。

 9条1項の戦争放棄だけなら、不戦条約や国連憲章と並ぶ「普通の憲法」です。

 「世界憲法史上この憲法が『平和憲法』として特筆されるのは第九条第二項の存在のゆえである」(『歴史の中の日本国憲法 世界史から学ぶ』)とされるのです。9条2項あればこその「平和憲法」です。(随時掲載)

■第9条

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


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