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2018年2月18日(日)

市街地の上空 米ヘリ超低空

高度“150メートル違反”か 公式サイトに写真

提供区域外の広島・廿日市

 米原子力空母ロナルド・レーガンの艦載ヘリが広島県廿日市(はつかいち)市付近の上空を低空飛行している写真を米海軍が公式サイトに掲載していることが分かりました。高度は日米が合意した高度規制150メートルを下回っている可能性が濃厚です。合意違反の低空飛行は全国で目撃例が相次いでいますが、米軍が“証拠”を公表するのは異例。廿日市市も写真を問題視し、防衛省などに事実経過を照会しています。


写真

(写真)米海軍が公表した、広島湾上空を飛行するMH60R、MH60Sの写真。目の前に市街地が広がっています。右遠方(右中央)に見える山陽自動車道は標高約150メートル

図

 米海軍によれば、写真に写っているのはMH60R統合多用途ヘリとMH60S多用途補給支援ヘリで、いずれも厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)所属。「広島沖で打撃調整・偵察訓練を行った」と説明しています。日付は1月25日付で、同日午後、同型機3機が米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)から離陸する様子が住民に撮影されています。

目前に住宅地

 ヘリの目の前には廿日市市役所や大型スーパー、駅、学校や住宅地が広がっています。米軍は提供区域外の民間区域で戦場を想定した訓練を行ったことを公言したものであり、重大です。沖縄だけでなく、日本全土を植民地扱いしていることを裏付けています。

 加えて、国土地理院の資料によれば、写真右遠方に見える山陽自動車道の高架道路は高さ約150メートル。米軍ヘリの飛行位置はこれを下回っているように見えます。

 航空法施行規則では、最低安全高度を(1)人口密集地の最も高い障害物上空から300メートル(2)人家のない地域や水面上空から150メートル―と定めています。

 在日米軍の特権を定めた日米地位協定に基づく航空法特例法により、この規則は米軍には適用除外となっていますが、1999年1月14日付の日米合意は「在日米軍は、国際民間航空機関(ICAO)や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いている」と明記しています。

政府は究明を

 専門家は「米軍が撮影したポイントは岸壁から約2キロ、高度は50~100メートルと推測される。合意違反は確実だ」と指摘しています。政府には事実関係を究明する責任があります。

 「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の坂本千尋共同代表は「最近、軍用ヘリの事故が相次いでおり、強い不安を感じます。真下にはカキ養殖のいかだが浮かび、目の前には広島ガスの貯槽があります。事故が起これば大惨事になりかねない」と指摘します。


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