2018年2月15日(木)
主張
10~12月期GDP
所得と消費増やさぬ安倍政治
昨年10~12月期の国民所得統計(1次速報)で、国内総生産(GDP、季節調整済み速報)は前期(7~9月期)に比べ実質で0・1%の伸び、名目で0・03%の減となりました。実質の伸び率は前期の0・6%(2次速報)より鈍化しています。GDPの約6割を占め、前期に0・6%落ち込んだ個人消費は0・5%の増となりましたが、依然低い伸び率です。国民の所得の伸び悩みが消費を冷やしていることを示しています。10~12月期は安倍晋三政権が政権復帰から丸5年を迎えた時期に重なりますが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の破綻は明らかです。
実質賃金は2年ぶり減少
安倍政権が最近発表したGDP以外の経済統計を見ても、厚生労働省の毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上)では、昨年12月の実質賃金が1年前に比べ0・5%減少、年間を通してみても前年に比べ0・2%減少と、2年ぶりにマイナスになりました。実質賃金は2012年末に安倍政権が復活して以来、16年を除いてマイナスが続いています。「経済再生」を最優先するという安倍政権のもとで、国民の暮らしが悪化していることを浮き彫りにしています。
安倍政権は復帰以来「アベノミクス」を掲げ、円安や株高、大企業減税などで大企業や大資産家のもうけを増やせば、回り回って国民にも「滴り落ちる」(トリクルダウン)と主張してきました。しかし大企業や大資産家のもうけは「ため込み」に回るばかりで、国民を潤しません。しかも消費税増税や社会保険料の引き上げが重なり、わずかな賃上げさえ帳消しにして可処分所得が減少、生活が厳しくなっていることは明白です。
総務省が発表した昨年12月の家計調査報告(2人以上の世帯、年間はまだ発表されていない)によっても、消費支出は3カ月ぶりに実質0・1%の減少です。消費支出全体に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28・0%と3割近くになっています。「エンゲル係数」は近年上昇が続いており、多くの世帯にとって食べること自体が精いっぱいになっています。所得が伸び悩み、生活が苦しくなっている証拠です。
GDPは8四半期連続のプラスですが、10~12月期の伸びが1年間続いても経済成長は0・5%にしかなりません。個人消費以外の項目でも、民間住宅は前期比2・7%の減と2期連続のマイナス、公共事業など公的固定資本形成も0・5%の減となり、大企業の大もうけを背景にした民間企業設備は0・7%増、財貨やサービスの輸出は2・4%の増となるなど、ゆがみは深刻です。輸入も増えたため外需全体ではマイナスです。
「アベノミクス」やめさせ
安倍首相は国会で「アベノミクス」で国民の暮らしがよくなるどころか厳しくなり、貧困が広がっていると追及されても、大企業の利益の拡大や非正規を含む求人倍率の上昇など都合のよい数字を並べたてるだけで、国民の所得や消費の伸び悩みには触れようとしません。国民の暮らしの実態を見ず、経済失政の責任に向き合おうとしない態度です。
「アベノミクス」を続けても国民にとっては“百害あって一利なし”です。安倍政治をやめさせ、賃上げ実現など暮らし最優先の政治に転換することが不可欠です。