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日本共産党

2018年2月7日(水)

論戦ハイライト

対英原発輸出 衆院予算委 笠井議員追及

もうけは日立 ツケは国民

 6日の衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員は、東京電力福島原発事故の収束や原因究明が終わっていないにもかかわらず、日立製作所と日本政府が一体となり、巨額な損失が出れば国民にツケが回る枠組みで原発輸出を進めている問題をとりあげました。


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(写真)質問する笠井亮議員(左)=6日、衆院予算委

政府と企業が二人三脚

 日立は2012年に英原子力子会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収し、英アングルシー島ウィルファに原発を2基建設する予定です。20年代前半の運転開始を目指しており、総事業費は約3兆円とみられています。

 16年末に日英両国のエネルギーの担当相が署名した「協力覚書」では日立の事業名が明記されています。17年12月には「日本側は英国政府と資金支援の大枠を2017年中にも固める」などとする「今後の協力に関する書簡」を日英エネルギー担当相が交わしたと各紙で報じられています。

 笠井 「書簡」では資金面での支援を含む協力内容が取り決められているのでは。

 世耕弘成経産相 外交上のやりとりに関わるので、ご指摘の文書は存否も含めて答えを控える。

 笠井 「ない」と否定できない。何らかの約束をしている疑いが出てくる。

 笠井氏は17年に出した日英首脳会談の「共同宣言」で英国での原発新設の協力推進を確認していることを挙げ「首相は英国で原発新設の協力推進を約束した当事者だ。資金面の支援も含めて一体になって推進したのではないか」と追及。安倍首相は「首脳間の外交上のやりとりなので、答えは差し控える」と答弁を避けました。

 笠井氏は、安倍首相が議長を務める「未来投資会議」で次期経団連会長である中西宏明日立会長が「(原発輸出は)政府が民間とリスクをシェアすることが出発点」と発言していたことを挙げ、日立が政府による資金面での支援に感謝していた事実を示しました。

 笠井氏は、日立と経済産業省の関係を追及。人事院の福田紀夫人材局長は、日立の職員が16年8月から2年間の任期で経産省の貿易経済協力局通商金融課資金協力室に勤務していると答弁、海外資金協力の担当課に在籍していることが明らかになりました。

 笠井氏は、原発政策を推進した望月晴文元経産省事務次官が、日立の社外取締役に就任していることや中西会長が安倍首相を囲む経済人の会合「さくら会」のメンバーであることを指摘。「文字通り(日立と日本政府の)二人三脚だ」と批判しました。

事業損失は税金で保証

 日立の原発事業の総事業費は約3兆円とされ、日本側の融資分はメガバンクや国際協力銀行からの資金でまかなうことが見込まれています。

 その巨額の融資を、政府が全額出資する特殊会社、日本貿易保険(NEXI)が100%保証することに合意したと報道されています。事業の損失には保険が支払われ、国民にツケが回ることになります。

 途上国向けが原則の100%政府保証を、先進国での事業に適用するのは異例です。

 笠井氏は、2017年12月に日本貿易保険が日立の求めに応じて提出したとされる、資金支援の意思を示す「趣意書」の存在について追及。

 板東一彦・日本貿易保険代表取締役社長 当社と関係企業のやりとりに関しては、存否を含め、説明は差し控える。

 笠井 100%政府保証をつければ、ツケはすべて国民に回ることになる。「書簡」や「趣意書」の存否さえ明らかにしないなど断じて許されない。

 笠井氏は「もうけは日立と原発利益共同体へ、損失は国民へ」という原発輸出と再稼働を中止し、再生可能エネルギーの飛躍的普及にかじを切るべきだとしました。


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