2018年2月6日(火)
名護市長選挙
新基地容認でないのは明白
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全国注視の沖縄県名護市長選(4日投開票)は、安倍政権・自民党丸抱えの渡具知武豊氏が、「辺野古の海にも陸にも基地を造らせない」と訴えてきた稲嶺進市長に3458票差で勝利する結果になりました。
安倍晋三首相は5日朝、「市民の理解をいただきながら、(2016年の)最高裁判決に従って進めていきたい」と述べ、辺野古新基地工事を加速する考えを示しました。しかし、今回の選挙結果で新基地建設に「理解」が得られたと考えるのは間違いです。
辺野古隠しの選挙戦略で
「新基地ノー」の市民の意思が全く揺らいでいないことは、メディアの出口調査でも明確に示されています。NHKによれば、75%が「辺野古新基地反対」と回答。地元紙「沖縄タイムス」「琉球新報」、共同通信の合同調査でも、64・6%が「辺野古移設反対」と回答しています。
渡具知氏自身、5日の記者会見で今回の選挙結果について、「辺野古容認の民意とは思っていない。複雑な民意が示されている。私を支持した人にも、辺野古に反対する人がいる」と認めています。
なぜ渡具知氏が当選できたのか。その最大の要因は、過去2回、「辺野古容認」を公約して稲嶺氏に敗れた自民党候補と異なり、「辺野古のへの字もいわない」という選挙戦略に徹し、有権者に一度も辺野古新基地の賛否を明確にしなかったからです。しかし、市長に就任してからは、そうはいかなくなります。
安倍政権が国家権力を総動員して名護市政奪還を図った最大の理由は、名護市長の行政権限が新基地建設の重大な障害になっているからです。辺野古新基地の埋め立て予定地の真ん中に注ぎ込む美謝川の水路変更や辺野古ダムからの土砂搬出などは、市の条例に基づき、国と市が協議することになっています。
渡具知氏はこうした許認可事項の一つひとつで態度表明を迫られ、そのたびに政府・与党と市民の民意との深刻な矛盾に直面せざるをえなくなります。
権力総がかり 襲いかかる
今回の選挙は、辺野古新基地建設をめぐり、日米両政府が人口6万人あまりの自治体に襲いかかるという異常な構図となりました。
政府・自民党は菅官房長官や二階自民党幹事長ら幹部が入れ替わり名護市入りし、企業・団体締め付けを強化しました。党関係者によると、現地入りした国会議員は100人を超えたといわれています。これまで自主投票だった公明党も自民党候補を推薦。創価学会と一体で全国動員をかけました。
その異常さが顕著に示されているのが、有権者の44%、投票総数の実に57・7%が期日前投票だったという点です。有権者の自発的な判断が阻害され、組織ぐるみの投票動員があったことは明らかです。
同時に、稲嶺市政が2期8年、市民や県民の民意に支えられ、日米両政府に立ち向かい、新基地建設を抑えてきたこと、基地と引き換えの米軍再編交付金に頼らない街づくりに成功したことの歴史的意義は不滅です。
同じく、宜野湾市長時代に国家権力と立ち向かってきた伊波洋一参院議員は「今度は私たちが稲嶺市長からバトンを受け継いでいかないといけない」と述べています。「誇りある豊かさ」を掲げた稲嶺市政の成果を学び、発展させていきたい。
沖縄知事選 同じ対決構図
名護市長選は、秋の沖縄県知事選に向けての前哨戦となりました。今回、公明党、維新も自民党陣営に加わりました。知事選は、新基地建設を許さない「オール沖縄」と、「自公維」連合との対決構図になる見通しです。
しかし、真の対決構図は県民と日米両政府とのたたかいです。沖縄県は今後も基地の重圧に苦しめられ、犠牲にされ続けるのか、あるいは「基地のない平和な沖縄」へ向かうのか。そのことが問われる歴史的な選挙となります。(竹下岳)