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日本共産党

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赤旗

働くみなさんへのアピール

人間らしく暮らせる賃金と労働時間短縮のために力を合わせよう

2025年2月6日 日本共産党

 賃上げと労働時間短縮――労働者の切実な要求の実現を......賃金は、30年間もの長期にわたって減り続け、実質賃金は、ピーク時の1996年から年収で平均74万円も減少しています。そこに物価高騰が追い打ちをかけています。

 長時間労働が暮らしのあらゆる面でのしかかっています。「毎日遅くまで残業で、やりたいことができない」、「仕事と育児、家事に追われ睡眠時間を削っている。自分の時間がほしい」など、長時間労働は、労働者の命と健康を脅かすだけでなく、人間としての豊かな暮らしのための時間がないという問題になっています。

 長時間労働は、ジェンダー平等にも大きな障害です。男性を中心にした長時間労働のために、育児や家事労働などはもっぱら女性に背負わせる社会となり、多くの女性が低賃金の非正規で働かざるを得なくなっています。

 今年の春闘でも、大幅賃上げと、労働時間の短縮による「自分の時間」「豊かな生活時間」の拡大が二大要求になっています。全労連などの国民春闘共闘委員会は、月3万2000円あるいは10%以上の賃上げを要求するとともに、「1日7時間、週35時間」への時短運動を提起しています。連合は、5%の賃上げ(中小企業は6%)とともに、「豊かな生活時間」を打ち出し、時短推進を呼びかけています。日本共産党は、賃上げと労働時間短縮を求める労働者の運動に連帯し、その実現に力をつくします。

 職場でのたたかいとともに、政治を動かす世論と運動を......30年来の実質賃金の減少も、「過労死」を生み出すような長時間労働も自然現象ではありません。財界・大企業がコストカット、人件費削減の経営にはしり、それを応援するために、低賃金で不安定な非正規雇用を拡大する労働者派遣法などの改悪、正社員には長時間労働をもたらす裁量労働制の拡大や残業代ゼロ制度の導入など、労働法制の改悪・規制緩和を繰り返してきた自民党政治の結果です。さらに経団連などの財界は「1日8時間」さえ崩す労働基準法の大改悪を提言しています。

 日本を賃金の上がらない国にした政治、労働法制の規制緩和で労働者の生活と権利を奪ってきた政治を変え、賃上げと労働時間の短縮への政治の責任を果たさせようではありませんか。

大幅賃上げの実現を――労働者のたたかいとともに、政治を変える世論を大きく起こそう

【大企業の利益を内部留保でなく賃上げに】

 日本経済は、働く人の賃金を大きく上げる力をもっています。過去30年、大企業の利益は16倍以上に増え、株主への配当は10倍近くに増加しました。資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保は539兆円となり、過去最大を更新しています。(グラフ)

働くみなさんへのアピールのグラフ

 大企業の利益が賃上げや納入単価の引き上げにまわらず、内部留保が増え続け、現預金などの「手元資金」として保有されたり、「自社株買い」に使われています。2024年に、大企業は自社株買いに13兆円を使っていますが、これは、自社株買いをした企業の正社員の給与を2倍に上げられる規模に匹敵します。内部留保を賃上げとともに納入単価の引き上げにまわせば、下請け中小企業の賃上げに直接結びつくとともに、経済の好循環につながります。

 大企業の利益を内部留保でなく、労働者の賃上げと納入単価の引き上げに、というたたかいは、労働者の暮らしとともに、経済も立て直す、国民的な大義あるたたかいです。

【賃上げへの責任をはたす政治に変えよう】

 労働者のたたかいとともに、政治が賃上げへの責任を果たすことが求められます。日本共産党は、以下の政策を提案しています。

 大企業の内部留保の一部に時限的に課税し、大企業も中小企業も賃上げを促進する......大企業がアベノミクス以降に増やした内部留保に、毎年2%、5年間の時限課税を行い、賃上げ分を控除することで大企業の賃上げを促進します。あわせて税収となる10兆円を中小企業の賃上げ支援に充てます。

 中小企業の賃上げを国が支援する――賃上げへの直接支援と価格転嫁対策......働く人の7割を占める中小企業の賃上げをすすめるためには、国の賃上げ支援が決定的です。

 (賃上げへの直接支援)国が賃上げした中小企業の社会保険料負担の軽減や賃金補助など大規模な賃上げ支援を行い、その財源は、大企業の内部留保課税の税収を充てます。岩手県、徳島県、奈良県などで、中小企業の賃金引き上げへの直接助成に踏み出しましたが、本来、国が率先して行うべきです。

 (価格転嫁対策の抜本的強化)下請けという圧倒的に弱い立場におかれている中小企業は価格転嫁どころか、単価たたき、違法な引き下げを強要されており、下請法の抜本改正を含め価格転嫁のための実効ある対策が必要です。

 告発待ちにならず、大企業への定期的調査や違反が疑われる親企業への立ち入り調査を行う、優越的地位の乱用や下請代金法違反の罰金を大幅に引き上げるとともに、違法行為による下請け企業の損害を親企業が賠償する制度をつくる、親企業に原材料費、賃金引き上げなどの変動要因による下請け代金の引き上げの協議に対応することを法律で義務づけるなどが必要です。

 最低賃金の引き上げ――すみやかに全国一律1500円(手取り月額20万円程度)にし、さらに引き上げていく......石破首相も、「最低賃金を時給1500円に」と言い出しましたが、2029年までというのでは、あまりにも遅すぎます。年間38万円(労働時間、年1800時間)もの大きな地域間格差は、若者の大都市流出や地域経済疲弊の要因にもなるなど大問題です。全国163の地方議会で決議がされるなど、地方から地域間格差の是正、全国一律の声があがっています。

 非正規ワーカーの待遇改善......日本の非正規雇用者はこの20年で約1・4倍、620万人も増加し2124万人に達していますが、その多くが低賃金と不安定な雇用のなかで働き、日本の低賃金構造をつくる大きな要因にもなっています。

 日本共産党は「非正規ワーカー待遇改善法」を提案しています。そのおもな内容は、○不当な解雇・雇い止めをなくして雇用を安定させる。○「同一価値労働同一賃金」、「均等待遇」の具体化をはかり、正社員、正規職員との格差を是正し、賃金引き上げと待遇改善をすすめる。○フリーランス、ギグワーカーの労災補償、団結権など保護法制をつくる。○公務における会計年度職員、非常勤の賃上げと雇い止めの中止、常勤化など、国・自治体が率先して非正規雇用の待遇改善をすすめる、などです。

 ケア労働者の賃上げは国の責任......介護・福祉・医療・保育などのケア労働者の賃金・処遇は、"公定価格"や報酬によって決められています。ところが、ケア労働の賃金は他産業より低い水準におかれ、低賃金や長時間労働を苦にした離・退職が相次ぎ、人員不足が大問題となっています。医療ではボーナスカットなど賃下げまで起きています。賃上げと待遇改善、職員配置基準の見直しなど国の責任で実行させることが必要です。

【人間らしく暮らせる「生活賃金」(リビングウェイジ)をめざして】

 国際労働機関(ILO)は「生活賃金」(リビングウェイジ)の実現への取り組みを各国に求めています。「生活賃金」とは、最低限の生活保障を求める最低賃金をこえて、労働者とその家族が人間らしい生活を送るために必要な賃金水準のことで、労働者の人権と尊厳を守るための重要な概念です。日本でも全労連が「最低生計費試算調査」をおこない、生活実態から必要な賃金を試算しています。また連合も独自に「連合リビングウェイジ」を試算しています。いずれも人間らしく暮らせる賃金水準、「生活賃金」を求める取り組みにつながるものです。

 物価上昇を上回る賃上げはもちろん、労働者と家族が人間らしい生活ができる「生活賃金」を実現していこうではありませんか。

賃上げとともに労働時間の短縮を

【働く人の「自分の時間」「豊かな生活時間」「自由な時間」を増やす世論と運動を】

 日本のフルタイム労働者の労働時間は、ヨーロッパの主な国と比べて年間300時間も長く、「8時間労働」だったとしても、休憩時間や通勤時間を加えれば仕事に係る拘束時間は9~10時間に及びます。実際には、残業や休日出勤が加わり、サービス残業など違法・脱法の長時間労働もはびこっています。

 長時間労働は、働く人の健康を脅かし、子どもや家族との時間を犠牲にするなど、社会に大きなひずみをもたらしています。労働時間の短縮は、余暇や趣味を楽しみ、豊かな教養を育み、社会活動に取り組むなどのために自由な時間を確保するなど、働く人の大切な要求であるとともに、男女がともに家事や育児・介護などのケアを分かち合える社会にするためにも、いま日本社会に求められている重要課題です。

 政府や財界などは、 "労働時間を短くするなら賃下げ"という二者択一を迫ってきます。こんな攻撃に負けるわけにはいきません。賃上げは経済の好循環に導き、労働時間短縮の条件を広げます。そして、労働時間の短縮は、暮らしの豊かさを増し、消費も喚起し、経済の面でも好循環をもたらします。大企業が大きな利益をあげても、労働者にも経済全体にも還元されず、内部留保が巨額に積み上がっていく――この日本経済の構造的なゆがみをただしていけば、賃上げと労働時間の短縮を一体にすすめ、豊かな生活と持続可能な経済社会の発展につなげることができます。

【労働時間短縮のために「自由時間拡大推進法」を提案します】

 日本共産党は「自由時間拡大推進法」の提案をしています。国が、労働時間短縮への抜本的な方針を掲げて取り組むとともに、「1日8時間」さえ崩されている現状をただちになくす、という二つの方向で労働時間短縮をすすめる内容です。

 「1日7時間、週35時間」への移行を国の目標に......「1日7時間、週35時間」への移行を目標にかかげ、その実施計画の策定を国に義務づけ、中小企業への支援や運輸、建設、介護など「人手不足」とされる産業への対策など、1日7時間に移行できる条件整備をすすめます。

 残業など長時間労働是正の規制強化を......時間外・休日労働の上限を規制し、1日2時間を超える残業割増率を50%に引き上げる、連続出勤・休日出勤規制を強化する、年次有給休暇を最低20日に増やす、裁量労働制を抜本的に見直し、残業代ゼロ制度を廃止するなど、長時間労働是正への規制を強化する提案です。

男女賃金格差の是正、労働時間短縮でジェンダー平等の推進を

【男女賃金格差の是正を】

 日本共産党が「女性活躍推進法」に基づいて301人以上の企業に公表が義務付けられている男女賃金格差について調査したところ、正社員の男女間で年収格差が推計で最大1255万円に達していることがわかりました。

 ジェンダー平等を求める世論は大きな流れになり、社会は大きく変わろうとしています。コース別雇用管理制度など、実質的な女性差別を横行させている間接差別をなくし、「同一価値労働同一賃金」を徹底させ、低く抑え込まれてきた女性の賃金を引き上げて男女賃金格差をなくす、そのための共同を広げていきましょう。

 男女の賃金格差の是正のために、政治が責任を果たすことも必要です。日本共産党は、企業ごとの男女賃金格差の公開を徹底し是正計画の策定・公表を義務付け、国はその是正計画が実行されるように指導・監督を行うこと、国としても、職種、時間当たり、企業規模、地域ごとに、男女賃金格差の実態を把握、分析し、国としての是正の行動計画を策定することを求めています。

【労働時間短縮は、ジェンダー平等社会にすすむ大きな力】

 男性を中心とした正規雇用に求められる長時間労働は、女性が家庭におけるケアを担い、非正規雇用を選ばざるを得ない状況を生み出しており、労働時間を短縮していくことは、ジェンダー平等を実現するためにも必要です。

 いまは、「正規雇用」なら長時間労働、長時間労働ができないのであれば不安定・低賃金の「非正規雇用」、自分の生活に合わせて働きたいなら労働法が適用されない「フリーランス」といった選択肢しかありません。自分がどう働きたいかという自分のライフステージや生活に合わせて、労働者の働き方の自己決定権と生活を保障することが求められます。

 女性は「無償労働(=家庭におけるケア)」のほとんどを担い、そのために働き方が制限され、勤労の権利や職業選択の自由、幸福追求権などの権利が保障されてきたとは言えない状況にあります。性差別にもとづくハラスメントが職場でも横行しています。

 日本の異常な長時間労働を是正し、労働時間の短縮を実現することをはじめ、職場におけるジェンダー平等を前進させるために力を合わせましょう。

 日本共産党は、働くみなさんの声を集め、ともに賃上げと労働時間短縮を進めるために力を尽くします......働く人の願いに応える政治にしていくためには、財界・大企業の目先の利益優先という自民党政治の大きなゆがみをただす立場が必要です。日本共産党は、企業・団体献金を受け取らず、禁止をいっかんして主張し続けてきました。だからこそ、人件費削減、労働時間規制の緩和をはじめ財界からのさまざまな要求・圧力に「おかしい」と声をあげ、労働者の生活と権利のためにがんばってきました。

 あわせて、働くみなさんの切実な声、生の声を集め、賃上げと労働時間短縮、ジェンダー平等をすすめる働き方のために力を尽くしていきたいと決意しています。

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