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日本共産党

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赤旗

第4回中央委員会総会決議

 2025年1月10、11の両日開いた第4回中央委員会総会で採択した決議

第4回中央委員会総会の任務について

 能登地震から1年、亡くなられた方々への深い哀悼と、被災された方々への心からのお見舞いを申し上げる。日本共産党として復旧・復興に引き続き全力をあげる決意である。

 第4回中央委員会総会は、参議院選挙・都議会議員選挙の勝利、第29回党大会が決めた党建設の目標をやりとげる展望を開くことをめざし、次の三つを主題として開かれた。①「新しい政治プロセス」のもとでの日本共産党の政治任務を明らかにし、参議院選挙をたたかう基本方針をしめす。②総選挙の教訓を明らかにし、ただちに参院選・都議選勝利の活動に生かす。③選挙勝利のとりくみと一体に世代的継承を軸とした党づくりをどうすすめるか、到達点をふまえ活動の方針と目標達成への展望を明らかにする。

 今日の国際情勢をどうとらえ、世界にどう働きかけるか、「共産主義と自由」をはじめ綱領と科学的社会主義に関する理論問題については、志位議長が新春インタビューで明らかにしている。この内容を、活動の土台とし、指針にすることは、世界と日本の社会進歩の事業の前途を大局的にとらえ、理論的な確信をもって活動するうえで重要であり、全党がよく読み、討議し、その内容をつかむことをよびかける。

一、「新しい政治プロセス」を前にすすめる――日本共産党の政治任務

(1)総選挙後の情勢と、日本共産党の政治的任務

 自公過半数割れという総選挙の結果、国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索・探求する「新しい政治プロセス」が始まった。日本の政治は、大きな激動が予想される流動的局面に入った。

 自公政権は、予算案も法案も与党だけでは成立させることができず、かつてない危機的状況にある。しかし、裏金事件に無反省、企業献金にしがみつき、財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という「二つのゆがみ」には指一本触れず、さらなる大軍拡など暴走を加速させている。一部野党を抱き込んでの危機の打開をはかっているが、そうした小手先の取り繕いは、国民との矛盾をいっそう深めざるをえない。

 国民民主党と日本維新の会は、「103万円の壁」や「教育無償化の協議会」という部分的改良での「合意」を理由に、臨時国会で、大軍拡、大企業への巨額補助金という二つの大問題を抱えた補正予算に賛成し、自公政権の延命に加担した。これらの党は、自民党政治の「二つのゆがみ」を基本路線として共有しており、「自民党政治を変えてほしい」という国民との根本的な矛盾を抱えている。

 日本共産党は「新しい政治プロセス」を前にすすめるためにどうたたかうか。

 第一に、国民の切実な要求の実現のために、あらゆる可能性を追求する。選択的夫婦別姓、学校給食無償化、学費値上げ中止、マイナ保険証強制をやめ現行保険証の存続、消費税減税、企業・団体献金の禁止をはじめ、国民とともにあらゆる分野で要求運動を起こし、国政を動かしていく。

 第二に、国民の要求を実現しようとすれば、「二つのゆがみ」にぶつからざるをえない。「政治の大もとを変える党」として、「二つのゆがみ」に正面から切り込み、自民党政治を終わらせるたたかいの先頭にたって奮闘する。

(2)参議院選挙の意義と目標について

 参議院選挙は、「新しい政治プロセス」を前にすすめるうえできわめて重要な選挙となる。

 自民・公明に厳しい審判を下し、自民党政治を終わらせる展望をひらく選挙にしていこう。自民党政治の延命に加担する勢力が伸びても政治は変わらない。日本共産党の躍進こそ、新しい政治への展望を開く最大の力である。市民と野党の共闘の新しい発展のために可能な努力をはらう。

 比例代表を軸に、「650万票、得票率10%以上」、改選4から5議席への躍進を果たす。選挙区では、東京、埼玉、京都の現有議席を絶対確保する。神奈川、愛知、大阪など複数区を中心に議席増に挑戦する。比例5議席獲得を全国すべての党組織の任務とし、地区委員会と支部まで、比例の得票目標・支持拡大目標を持ち、達成に全力をあげる。

 6月の都議会議員選挙は、都民の暮らしにとって重要な意義をもつとともに、連続する参議院選挙に大きな影響をあたえる。参議院選挙勝利と一体に、全国の力を集中し、都議選勝利に全力をあげる。

 政治情勢はきわめて流動的であり、いつでも解散・総選挙に対応できるよう必要な準備をすすめる。

(3)参議院選挙をたたかう政治論戦の基本①――政策的訴え

1、カネで動く政治を終わらせる

 石破首相も自民党も、裏金問題での真相解明に背を向け、政倫審での弁明をもって幕引きをはかろうとしている。「企業献金禁止は憲法に抵触する」などの暴論まで主張し、企業献金禁止を何がなんでも阻止しようとしている。企業・団体献金は、財界の利益優先に政治をゆがめ、国民の暮らしを押しつぶすテコになっているとともに、国民の参政権を侵害するものであり、その禁止は政治改革の最優先課題である。

――裏金事件の幕引きを許さず、国会の証人喚問で真相究明を
――企業・団体献金の全面禁止、政党助成金の廃止を

2、暮らしの困難を打開し、安心とゆとりを

 自民党政治のもとで30年という長期にわたる経済の停滞と衰退――「失われた30年」が続き、暮らしの困難が続いている。長年にわたって賃金があがらず、年金は減り、消費税増税と社会保障の負担増が繰り返され、学費値上げなど教育費の負担が重くなり、中小業者・農林漁業者が深刻な苦境にあり、家計が疲弊しきっているところに、物価高騰が襲いかかった。その痛みは激烈である。

 異常な長時間労働によって、人間らしい暮らしが壊されている。働く人の命や健康を守るためにも、子どもと向き合い、家族とのだんらん、趣味や文化・スポーツ、社会的交流のためにも、「自分の時間」が欲しいという願いは切実である。

 暮らしに安心とゆとりを――そのために、働き方、税制、社会保障、教育費負担、農業など暮らしにかかわる政治の全体の改革を求めてたたかう。

――大幅賃上げと労働時間短縮で、ほんとうに豊かな暮らしを

 大幅賃上げのためには、大企業の空前の利益が、労働者の賃金にも、取引企業の単価引き上げにも回らずに、内部留保が巨額に積みあがる――この日本経済の構造的なゆがみに切り込むことが必要である。政治の責任を果たせと迫ろう。

 賃上げとともに、労働時間短縮の切実な要求にこたえるたたかいを発展させよう。それはジェンダー平等の日本をつくるうえでも重要である。労働運動の原点に立ち、残業規制の強化とともに、「1日7時間、週35時間労働」をめざす世論と運動を起こそう。

――生計費に課税するな、消費税減税、大企業・富裕層に応分の負担を

 生活していくために最低限必要なお金には税金をかけない(生計費非課税)、負担能力に応じた課税(応能負担)という原則に立ち、公正な税制への改革を求める。消費税は廃止をめざし、ただちに5%に減税、インボイスを廃止しよう。

――世代間対立をあおるのでなく、公的支出を増やしすべての世代をささえる社会保障を

 「現役世代の負担軽減」を口実に高齢者の社会保障を削減する政治は、現役世代にも負担や将来不安をもたらしている。この動きの根底には、自らの社会保障負担を減らそうという財界・大企業の身勝手な姿勢がある。物価高騰にふさわしい年金に引き上げ、医療・介護などの基盤崩壊を止め、ケア労働者の処遇改善をすすめるために、公的支出を増やして、すべての世代をささえる社会保障をつくろう。

――学費値上げストップ、教育費ゼロの日本に

 国公私立大学の学費値上げラッシュが起きている。総選挙では、すべての主要政党が、学費の「無償化」や「負担軽減」を公約した。目の前の学費値上げを見過ごすのかがすべての政党に問われる。「学費値上げを中止するための緊急予算措置」を実行させ、値上げ中止とともに、学費値下げ、無償化に向かおう。学校給食無償化をはじめ義務教育の完全無償化、高等学校の授業料の完全無償化を実現しよう。

――食料の自給率向上、安定供給を

 日本の食料自給率はわずか38%。ところが政府は食料自給率向上の目標を公然と投げ捨てようとしている。食料の安定供給の責任を放棄した政治が、コメ不足という深刻な事態を引き起こした。農家・農地の急減、酪農の苦境など、日本の農業は危機的状況にある。農業を基幹産業として位置付け、農家の所得を増やし、担い手を応援する。

――責任ある財源論をもつ党でこそ、困っている人の暮らしを守れる

 自公政権は、大軍拡、大企業への大盤振る舞いを、まともな財源を示すことなく突き進むという無責任な放漫財政を行っている。それは国民生活の破壊をもたらすとともに、戦争への道でもある。戦前、国債の大量発行で大軍拡をすすめ、無謀な侵略戦争に突き進んだ痛苦の反省にたって、戦後、憲法9条を財政の面からも保障するものとして、財政法4条で赤字国債発行を禁止した歴史の教訓を忘れてはならない。

 一部野党も、あれこれの政策を財源の裏付けなしに主張するもとで、日本共産党は、暮らしのための積極財政の提案を、責任ある財源論とセットで掲げる唯一の政党となっている。大企業と富裕層への応分の負担、大軍拡中止によって財源を生み出し、暮らしにあてる。この道でこそ、困っている人の暮らしを守り、経済を立て直し、平和をつくることができる。最も積極的で責任ある経済政策を持つ党であることを訴えよう。

3、戦争の心配のない東アジア、核兵器のない世界を

 石破自公政権が、「日米同盟強化」の名で、敵基地攻撃能力保有と空前の大軍拡、日米の指揮・統制の一体化をすすめ、「戦争国家」づくりの道を暴走していることは、地域と世界の平和と安定に重大な逆流をつくりだしている。他方、北朝鮮がロシアと相互の軍事援助の取り決めをし、ウクライナ侵略への加担を始めたことは重大である。中国の東シナ海などでの現状変更の動きも緊張を高めている。双方が対抗しあい、軍事対軍事の危険な悪循環をつくりだしている。この先に平和は決して訪れない。

――平和も暮らしもこわす大軍拡ストップ、憲法9条を生かした平和の外交を

 トランプ米新政権のもとで、さらなる大軍拡への圧力が強まろうとしている。石破首相は軍事費を「GDP比2%以上」とすることを否定していない。アメリカいいなりで憲法をこわし、国民を戦争の危険にさらす歯止めなき大軍拡を中止させよう。

 どうしたら戦争の心配のない東アジアをつくることができるか。世界には「対話と包摂で平和をつくる」流れが着実に前進している。日本共産党の「東アジア平和提言」は、この世界の本流に立つものであり、ブロック政治に反対し、外交で平和をつくろうという平和の連帯を国内外に広げる大きな力となっている。平和の対案を大いに語ろう。

――辺野古米軍新基地建設の中止、日米地位協定の抜本改定を

 辺野古米軍新基地建設は、政治的にも、技術的にも破たんしている。新基地建設中止、普天間基地の即時閉鎖・撤去こそ、唯一の解決策である。

 米兵による少女への性暴力事件を隠ぺいし、米軍機の危険な訓練を野放しにし、PFAS汚染の対策も求めない、米軍に世界でも類のない治外法権的特権を与えている日米地位協定の抜本改定を求めよう。

――被爆80年、唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約への参加を

 日本被団協のノーベル平和賞受賞は、核兵器廃絶への大きな激励となった。被爆者の偉大な歴史的貢献は、核兵器の非人道性を身をもって世界に訴え、核軍縮交渉に「人道的アプローチ」という人間の血がかよった新たな観点をもたらし、核兵器禁止条約への道を開いたことにある。

 日本政府は、「核兵器の非人道性」を言いながら、米軍の核使用に日本が関与する核抑止力の強化に踏み出している。「いざとなったら核兵器を使う」ことを前提とする核抑止と、「核兵器の非人道性」を認めることは根本的に矛盾する。被爆80年の今年、日本政府に対して、核抑止の呪縛を断ち切って、核兵器禁止条約にすみやかに参加することを強く求めるたたかいを起こそう。

――ガザでのジェノサイドの即時中止、ウクライナ戦争の「公正な和平」による終結を

4、気候危機打開へ――2035年までに温室効果ガス75~80%の削減を

 国連は、世界全体で温室効果ガスの排出量を2035年までに19年比60%削減する必要があるとしている。ところが日本政府は、「2013年度比60%削減」(19年度比で53%削減)にとどめようとしており、国際社会から強い批判が起こっている。

 日本共産党は、2035年度までに、①温室効果ガスを2013年度比で75~80%削減(19年度比71~77%削減)することを目標とし、②35年度までにエネルギー消費量を6割減らし、③35年度までに電力の再エネ比率を8割とし、30年度までに石炭火力ゼロ・原発ゼロとすることを求めてたたかう。

5、ジェンダー平等、個人の尊厳、多様性を尊重する社会に前進しよう

 市民の運動が広がり、選択的夫婦別姓、同性婚(性別にとらわれない婚姻の平等)、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准、男女賃金格差の是正、性暴力の撲滅、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)など、世論と社会に大きな変化が起きている。昨年10月、国連・女性差別撤廃委員会は、ジェンダー平等への日本政府のとりくみの遅れに厳しい勧告を行った。

 自民党政治がジェンダー平等社会への重大な障害となっている。侵略戦争と植民地支配への反省を拒絶し、戦前の日本と明治憲法下の家父長制を美化する勢力、女性は安上がりな労働力、男性は長時間労働など、ジェンダー格差を温存する財界・大企業――これらに支えられた自民党政治を終わらせることが、日本社会を前にすすめる確かな道である。

 子どもの権利が保障される日本にする。教育での行き過ぎた競争と管理を是正し、豊かな教育条件を整備する。

 日本共産党は、さまざまな分野での運動と連帯し、ジェンダー平等、個人の尊厳、多様性を尊重する社会をつくるためにともに歩む。

「二つのゆがみ」をただす――ホンモノの改革の党としての魅力を語りぬこう

 国民のどんな要求でも本気で実行しようとすれば、自民党政治の「二つのゆがみ」にぶつかる。法人税減税とセットの消費税増税、正規雇用から非正規ワーカーへの置き換え、社会保障の連続改悪、地震・津波大国での無責任な原発推進――どの問題も「企業献金と一体の財界中心政治」のゆがみにぶつかる。歯止めない大軍拡、沖縄への無法な新基地建設のおしつけ、核兵器禁止条約に背を向ける姿勢――どの問題も「日米同盟絶対の政治」のゆがみにぶつかる。

 日本共産党は、「二つのゆがみ」に正面から切り込み、国民の暮らし最優先、独立・平和の日本へと、日本の政治の大もとを変える党である。だからこそ、国民の要求に応える責任ある政策を打ち出し、どんな困難にも負けずに実現を迫ることができる。相手がどんな大企業であろうと無法なリストラや長時間労働などをただし、米軍基地の被害に対して、米軍にも日本政府にも正面から抗議し、住民の命と人権を守るためにたたかうことができる。国民の暮らしを守る責任ある財源論を示すことができる。ここに日本共産党の最大の特質がある。ホンモノの改革の党としての魅力を大いに語り広げていこう。

(4)参議院選挙をたたかう政治論戦の基本②――党の魅力を自分の言葉で語ろう

 日本共産党の魅力は、綱領と科学的社会主義、組織原則、歴史のなかにあふれている。党員一人ひとりが、自分の実感で、自分の言葉で、日本共産党を語ろう。

「人間の自由」が豊かに花開く未来社会をめざす党

 この間、全党は、党大会決定にもとづいて、「共産主義と自由」を学び語り合う運動にとりくんできた。このとりくみは、社会主義・共産主義が、「人間の自由」が花開く社会であることを全面的に明らかにし、「社会主義には自由がない」というマイナスイメージを百八十度変え、社会主義・共産主義の真の輝きを豊かに語り広げる、わが党の歴史のうえでも画期的挑戦となっている。

 足を踏み出したところでは、どこでも対話をつうじて、「ほんとうに人間らしい生き方とは何か」「社会にとってほんとうの豊かさとは何か」などの深い問題にまで議論がおよび、「楽しく、やりがいがある」との実感を広げている。

 この挑戦はまだ始まったばかりである。このとりくみを参院選・都議選勝利、日本の社会進歩の事業の推進、世代的継承を中軸とした党づくりの前進、党の理論的・思想的成長にとっての戦略的課題と位置付けて、さらに発展させよう。全党が、『Q&A 共産主義と自由――「資本論」を導きに』を、必読文献に位置づけ、学び語り合う運動を大きく発展させよう。

党の組織と活動の魅力を攻勢的に語ろう

 日本共産党が、方針を民主的に決め、決めた方針はみんなで実行する民主集中制という組織原則を堅持し、国民に対して行動の統一という責任を果たすとともに、党の組織と活動のなかで自由、対等・平等、民主主義、個性と多様性を大切にしている党だということを大いに語ろう。

 日本共産党は、昨年の党大会で生きた形で示されたように、党のルールにのっとって、自由な発言を保障している党である。2カ月をかけて議案をねりあげ、一人の意見でも全体に伝えるようにと特別の冊子も発行し、自由な討論をつうじて党の意思決定を行っている党はほかにない。

 日本共産党は、役割の違いはあっても、上下関係はなく、対等の関係で力をあわせ、お互いがお互いを高め合い、互いに敬意をもって活動することを基本姿勢にしている。双方向・循環型での党の運営を行うことに力をつくしている。ハラスメントを一掃し、ジェンダー平等を実現するために、党内に存在する弱点に自覚的に目を向け、つねに自己改革の努力を行っている党である。

 何よりも日本共産党は、草の根で活動する支部と地方議員が先頭にたって、国民の苦難につねに寄り添い、その切実な願いを聞き、ともに打開することを党の存在意義にしている党である。

 人間は進歩的組織とともにあることで、人間としての自由を獲得し自己を成長させることができる。同時に、組織を構成する一人ひとりの人間が豊かな成長をかちとることこそ、組織の発展の最大の保障となる。日本共産党に集う人々は、こうした「組織と人間の統一的発展」という立場にたって、努力している人々である。これらの党の組織と活動の魅力を、胸をはって国民に伝えていこう。

戦後80年、103年の歴史の生命力を語ろう

 今年は戦後80年。日本が過去の侵略戦争と植民地支配の歴史にどうむきあうのか、国内外で問われることになる。

 世界に大きく目を向けると、植民地支配と奴隷制度の責任を過去にさかのぼって明らかにし、謝罪を求める大きなうねりが起こっている。こうした道理ある方向に日本の政治がすすむことが強く求められている。

 どんな迫害にも屈することなく、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党の値打ちを発揮して奮闘しよう。『日本共産党の百年』、党史を語った党創立100周年・101周年の記念講演を学び、このたたかいの歴史を誇りをもって語ろう。

二、総選挙総括と教訓について

(1)中間総括を中央委員会総会として確認する

 総選挙の結果について、昨年11月の全国都道府県委員長会議の報告は、次の中間総括を明らかにした。

 ――政治論戦は、全体として的確なものだったが、その内容を多くの国民に伝えることができなかった。国民に伝える活動の総量が足りないという根本的な問題とともに、活動の仕方――質を改革する必要がある。

 ――党大会決定の「三つの突破点」(①「声の宣伝」を「全有権者規模」に大きく発展させる。②訪問での対話活動を徹底的に重視する。③「SNSに強い党」になり、ボランティア、サポーターが参加する選挙にする)にもとづく選挙活動に、日常的にとりくむうえで、中央のイニシアチブに弱点があった。

 ――最大の要因は自力の不足にあり、この弱点から目を背けてはならない。

 この中間総括は全党に積極的に受け止められている。これらの諸点を第4回中央委員会総会として確認する。

(2)三つの角度で自力の不足を直視し、打開しよう

 総選挙結果は、自民党への厳しい批判の流れが起こっても、自動的にはわが党の支持に結びつかないこと、どんな激流が起ころうとも党躍進をかちとるには、強く大きな党づくりが不可欠であることを示している。

 三つの角度から自力の不足を直視し、打開をはかることをよびかける。

 第一に、自力の不足の深刻化が、党活動の量的レベルのみならず質的レベルにまで影響を及ぼしていることである。前回比で党員数は93・2%、日刊紙読者は88%、日曜版読者は84・9%でたたかったが、宣伝・組織活動はそれ以上に落ち込み、「選対体制がつくれない」などの事態も生まれている。

 第二は、大奮闘された同志のみなさんに心から敬意を表しつつ、いま持っている自力を発揮できたかという問題も重要である。総選挙では、得票目標決定支部は7割、3中総の討議支部は6割、読了党員は2割強にとどまった。

 第三に、自力の効果的な発揮ができたかという問題である。固定電話や名簿の減少、SNSの発達など人々の社会生活の変化にそくして、いかにして有権者との接点を広げ、結びつきを広げ、党の声を届けていくか。党活動のあり方の質の刷新・改革が強く求められている。

 中央も、地方も、支部も、これらの角度から自力の問題を深め、現状の打開をはかることを、教訓として銘記したい。

(3)新しい発展の芽に光をあて今後に生かそう

 総選挙では「三つの突破点」の実践のなかで新しい発展の芽もつくられた。

 22年参院選比で得票数・得票率とも前進した長野県では、早くから訪問での「折り入って作戦」を党員拡大と一体に推進し、「折り入って」の働きかけは参院選の125%、14カ月連続で、全地区が入党者を迎えている。

 全国各地で、後援会や民青と協力し、「賃上げ&時短推進」、「学費値上げおかしくない!?」のフライヤーを活用した対話宣伝、トーク街宣、シール対話などが創意的にとりくまれた。LINEを活用した対話・支持拡大が広がった。

 全国で1600人を超えるボランティアが駆け付け、その多くが20代~50代の新しい世代だった。街頭宣伝やポスティングとともに、ショート動画の発信などSNSでも、JCPサポーターとの新しい協力関係がつくられた。

 新しい発展の芽に光をあて、参院選・都議選勝利にむけ、大きく発展させよう。

三、参院選・都議選勝利めざす活動と党づくりの方針

(1)どういう活動姿勢でたたかうか――「二つの一体的追求」を

 参院選・都議選勝利をめざす活動と党づくりをどうやって飛躍させるか。「二つの一体的追求」を基本的な活動姿勢にすえることをよびかける。

 第一は、選挙勝利の活動と党づくりの活動の一体的追求である。

 選挙勝利をめざす「三つの突破点」の日常化にただちにとりくみ、それと一体に党づくりをどのようにして前進させるか。

 その大きなカナメとして新たに強調したいのは、要求対話・要求アンケートにとりくみ、要求を実現し、国民との新たな結びつきを広げる活動に、思い切ってとりくむことである。従来、声が届いていた範囲での活動の繰り返しでは、国民の中に起こっている新しい変化を党の前進へと実らせることはできない。新たな生きた結びつきを広げる活動を、選挙と党づくりの一体的追求のカナメをなす活動として重視したい。

 第二は、毎月の党勢拡大の前進と党の総力をあげての世代的継承の一体的追求である。

 党大会で決めた2年間の目標をやりぬくには、毎月毎月、目標にふさわしい党勢拡大をはかるための独自追求をすすめることが絶対不可欠となる。同時に、世代的継承は絶対に先送りできない課題となっており、うまずたゆまず推進することが求められる。

 この両者をいかにして一体的に前進させるか。

 党大会後、2桁以上の青年学生・労働者・真ん中世代を党に迎え、党員現勢をほぼ維持している地区委員会から聞き取りを行ったが、世代的継承の課題をたえず党機関全体の認識にし、長を先頭に党組織あげてのとりくみにしていることが共通した教訓である。どんな状況のもとでも担当部門の体制を維持・強化することとともに、この課題を担当部門、担当者だけの活動にするのではなく、長を先頭に党組織あげてのとりくみにすることに、一体的前進の一つの大きなカギがある。

 もう一つのカギは、党活動を短期の目とともに、中長期の目で発展させるという姿勢を貫くことである。世代的継承の仕事は、青年・学生分野であれ、労働者分野であれ、ただちには党勢拡大に結びつかないことも少なくない。そうした場合でも、新しい人々に働きかけを行い、結びつきを広げ、人間的な信頼関係をつくることは、大切な一歩として評価し、育てていくという見地が必要である。

 これらの諸点もヒントにして、「二つの一体的追求」を実践するための探究と開拓にみんなでとりくむことを心からよびかける。

(2)選挙勝利への活動――「三つの突破点」をさらに発展させよう

 すべての支部が得票目標・支持拡大目標を決め、地域、職場の後援会、分野別後援会と力をあわせて、選挙勝利への「三つの突破点」を次のように発展させよう。

全有権者規模の宣伝――全国津々浦々に党の「声」を届けよう

 全有権者規模の宣伝では、100世帯に1回など目標をもち、ハンドマイクなど宣伝機材をフル活用して党の「声」をとどけよう。「マイ宣伝カー」を増やし、"運転手一人でできる声の宣伝"を全国で展開しよう。街頭宣伝を国民との対話と結びつきを広げる機会とする「まちかどトーク」や対話型宣伝にとりくもう。

 4月末までを一つの区切りとして「第1次全国遊説」を開始する。広い有権者に案内し、SNS発信と一体で成功させよう。

要求対話・要求アンケートにとりくみ、要求を実現し、新しい結びつきを広げ、担い手を増やそう

 党をあげて要求対話・要求アンケートにとりくみ、要求を実現し、国民との生きた新しい結びつきを広げ、担い手を増やそう。このとりくみのなかで、支持拡大をすすめよう。

 もともと国民の切実な要求にこたえ、その実現のために奮闘することは、「国民の苦難軽減」という立党の精神にたった活動である。国民の6割が「暮らしが苦しい」と訴えているもとで、とりわけ重要な活動である。地方政治では、住民アンケートはわが党ならではの活動としてとりくまれている。この活動を国政選挙で大胆に位置付け、4月末までに500万要求対話を目標に訪問・対話活動にとりくもう。「折り入って作戦」を質的に大きく発展させる活動としてとりくむことを訴える。

 要求対話・要求アンケートは、「結びつきが細くなっている」「若い世代との接点がない」「電話がつながらない」という支部の一番の悩みを打開する活動となる。要求署名の活動などと一体に、すべての「赤旗」読者、後援会員、支持者を訪問するとともに、軒並みの訪問活動、職場・学園・街頭での対話活動に大胆にとりくもう。LINE交換を重視し、LINEでの結びつき・対話・支持拡大にとりくもう。

「系統的・日常的なSNS発信・拡散」と「LINEを活用した組織戦」の抜本的強化

 多数者革命を推進するうえで「SNSに強い党」をつくりあげることは不可欠の課題であり、SNSが、フェイクを拡散し人々を分断するツールではなく、社会進歩の連帯をひろげるツールとなるように力をつくそう。

 「系統的・日常的なSNS発信・拡散」と「LINEを活用した組織戦」の両面でSNSの抜本的強化をはかろう。このとりくみと一体に、ボランティア、サポーターを広げ、協力を強めよう。

 党機関、議員、候補者、候補者サポートチームを先頭に、X、YouTube、インスタグラム、TikTokなど各SNSの特性に応じた発信力を強化する。JCPサポーター・候補者サポーターと協力し、SNSでの「国民とともにたたかう選挙戦」を開拓し、市民的発信の飛躍をめざす。

 中央としてSNS戦略室を軸に活動を強め、SNS講座を開く。都道府県、地区でもSNS講座を開催し、全党のスキルアップをはかろう。

(3)世代的継承を中軸とする党建設をどうすすめるか

 党大会いらい、党員拡大では、大会決定の目標達成にふさわしい水準――毎月2千人の入党者を迎えることをめざして奮闘を続けてきた。昨年1年間で、4400人を超える新しい同志を迎えたことは重要であり、心からの歓迎のメッセージを送る。同時に、毎月2000人の目標にはかなり距離があり、現勢での後退が続いている。読者拡大でも、党大会時の現勢から後退傾向となっており、前進の軌道にのせられていない。

 世代的継承は、青年・学生党員ではこの1年あまり現勢をほぼ維持しているが、青年・学生、労働者、真ん中世代の党員拡大は、党大会で決めた「5カ年計画」の目標の水準には大きく届いていない。民青同盟が、3年連続で拡大目標を達成し、今年は「班が主人公」でたたかいと結んで同盟員を増やし、現勢で1万人といえる組織をつくるという次のステージにすすもうとしていることは大きな希望である。

1、要求対話・要求アンケートの推進は共通の土台

 500万要求対話・要求アンケートのとりくみは、選挙勝利のみならず、党勢拡大・世代的継承をすすめる共通の土台となる。この活動を通じて、入党や購読の働きかけの視野を思い切って広げるとともに、若い世代、労働者、真ん中世代にも、要求対話を入り口に働きかけに踏み出そう。

2、「集い」を無数に開き、党員拡大の波を起こそう

 この間、新しい党員を迎えた支部では、支部のミニ「集い」を気軽に開くとともに、都道府県・地区で行う「集い」や分野別後援会の「集い」を契機に、結びつきを広げ、働きかけている。党機関、地方議員と支部が協力して「集い」を無数に開き、党員拡大の波を起こそう。支部も党機関も世代的継承の視点をこの活動でこそ貫こう。

 「集い」は、党員拡大とともに、党を深く知り、選挙の担い手を増やすとりくみでもある。"党員が増える""党への理解が広がる""選挙の担い手が増える""世代的継承の展望がひらける"という「一石四鳥」の「集い」を気軽に、繰り返し開いて、党づくりと選挙課題を一体にすすめよう。

3、「しんぶん赤旗」を守りぬき発展させる100万読者回復、10億円募金を訴える

 タブーなく真実を報道する「しんぶん赤旗」の役割はいよいよ大きくなっている。「自公過半数割れ」に追い込んだ「赤旗」へかつてない注目が高まり、総選挙後2900人を超える申し込みが中央に寄せられ、その8割が10代から50代である。

 しかし読者数の後退傾向によって「しんぶん赤旗」発行の危機が切迫した事態に直面している。危機打開のため、大会で決めた目標――100万人の読者回復への協力と、「『赤旗』危機打開10億円の特別支援募金」を訴える。

 「500万要求対話」、訪問・対話と結んで、見本紙を活用した読者拡大の独自追求を行い、新しい読者を増やそう。広く「特別支援募金」への協力を訴えよう。機関紙中心の党活動を発展させよう。「しんぶん赤旗」の発行を守りぬこう。

4、青年・学生党員の拡大と高校生分野の活動の新しい開拓

 要求実現のたたかいや知的関心にこたえる活動と結んで、青年・学生のなかでの党づくりをすすめよう。学費値上げ反対、民青の食料支援、「大軍拡反対ネットワーク運動」への協力、「共産主義と自由」を学び語り合う集い・講演会、学園での読書会や社研づくりを探求しよう。

 民青の継続的・持続的発展のためにも、青年・学生党員の拡大が急務となっている。同盟員への学習の援助を土台に、党として結びつきと信頼をつちかい青年を党に迎えよう。

 18歳選挙権の実施で高校生の政治活動の新しい条件が生まれるとともに、高校生が自ら党事務所を訪れるなど大きな変化が起こっている。党として、高校生の関心にそくして綱領と科学的社会主義の魅力を伝える活動や対話・アンケートに踏み出すとともに、平和や校則、ジェンダー平等などの高校生がとりくむ運動を激励しよう。

5、労働者のなかでの党づくり――職場支部、地域支部、グループの力を総結集して

 党機関、運動団体グループ、職場支部、地域支部、議員の力を結集して「集い」を開催し、全党あげて労働者への働きかけをすすめよう。

 愛知では、「教職員のつどい」を開催して100人の現役教職員が参加し、結びつきを広げ、入党につながっている。グループと協力して労働者の各分野で、「つどい」を開き、系統的に党に迎え入れる活動を抜本的に強化しよう。

 労働組合運動の前進をはかりつつ、労働者を党に迎えていくことを重視する。ある県では、自治体の会計年度任用職員の要求を重視し、組合員を1年間で飛躍的に増やしつつ、組合で活動する労働者に入党を働きかけ、大会後、新しい職場支部を結成している。国民運動に参加するさいの「四つの原則」に立ち、労働運動の前進に協力しながら、労働者のなかでの党づくりにとりくもう。

 地域支部に所属する若い労働者党員は、「自分の職場に党をつくりたい」との要求も持っている。労働学校をともに受講するなど労働者としての成長を援助し、職場に党をつくる活動を励まそう。

6、量とともに質を――世界観的確信をつちかう学習の強化、「党生活確立の3原則」

 「日本共産党はなぜ102年間続いたか」――志位議長は新春インタビューで"人類は資本主義という矛盾と苦しみに満ちた体制を乗り越え、社会主義・共産主義へとすすむ力を持っている""資本主義の矛盾があるかぎりわれわれの事業は不滅だ"という世界観的確信を持つことの重要性を語った。どんな情勢の曲折や困難があっても揺るがない世界観的確信をつちかおう。支部会議の半分を学習にあてるなど、学習活動を抜本的に強めよう。党大会決定の全党員読了に力をつくし、この決定をあらゆる党活動の「道しるべ」として生かそう。

 新入党員教育の新しい実施要項を活用し、入党した同志への100%実施に力をつくそう。週1回の支部会議の開催をはじめ、「党生活確立の3原則」の努力を励ましあってすすめよう。

 とりわけ、青年・学生、労働者、真ん中世代の党員の成長と活動を保障する努力を支部と党機関が協力してつよめよう。

(4)地方議員を後退から前進に転じ、上げ潮のうねりのなかで都議選・参院選へ

 党大会後、地方議会での議席数は、前回比で34議席減となっている。地方議員は、住民の利益にこたえて地方政治を動かす住民の命綱であるとともに、わが党の自力の中核でもある。中間地方選挙で必ず前進に転じよう。参院選をたたかう7月までに、二つの政令市、六つの県都を含め88市・106町村で選挙が行われる。現有議席の絶対確保、議席増、得票増の実現へ力をつくそう。

 党機関が責任をもって地方議員の党生活の確立、学習と成長の援助を行うとともに、党機関、地方議員、支部が一体となって要求運動を発展させよう。

(5)全支部・全党員がたちあがることこそ最大の保障

 選挙勝利と党づくりを一体的に前進させる、最大の保障となるのは、全支部・全党員がたちあがる運動にすることにある。

 2中総の「手紙」に対して、全国の約5割の支部から「返事」が寄せられた。困難ななかでも党づくりに真剣にむきあい、一歩を踏み出す姿とともに、悩みや危機的な状況が率直につづられている。「返事」につづられた支部の目標や計画を実践するための親身な援助に力をつくそう。「返事」を足がかりに、機関が支部に入ってともに困難を打開しよう。「返事」を出せていない5割の支部こそ、党機関からの援助を切実に求めている。中央も地方機関とともに支部の困難打開に力をつくす。支部からの「返事」に学んで、支部活動の前進の手がかりをつかめるオンライン交流会を適時開催する。

 支部の「返事」を生かして全党運動をつくるには、地区役員の役割が大事になる。昨年9月に行った全国地区役員講座は、地区役員の役割、全国の活動から生きた教訓を学べると歓迎されている。すべての機関役員が講座を学び、「双方向・循環型で支部を援助する党機関になろう」「政治的・思想的に強い党機関になろう」「若い世代、女性役員が生き生き活動し成長する党機関になろう」の三つのスローガンで機関活動の改善・強化をはかり、全支部・全党員運動をつくりだそう。

四、「500万要求対話・党勢拡大・世代的継承の大運動」(4月末まで)をよびかける

 早い段階から選挙勝利の流れをつくり、党勢拡大の前進のうねりをつくるために、4月末を期日に、次の課題達成のために、「500万要求対話・党勢拡大・世代的継承の大運動」をよびかける。

 ○500万要求対話をやりぬく。すべての「赤旗」読者、後援会員、支持者を訪問するとともに、軒並みの訪問活動、職場・学園・街頭での対話活動にとりくむ。これと結んで支持拡大の推進をはかる。

 ○党員拡大、読者拡大で一刻も早く前進に転じ、2年間の目標達成、前回参院選時回復・突破に見合う前進をつくりだす。

 ○青年・学生、労働者、真ん中世代を対象に、要求対話・アンケートと「集い」にとりくみ、党に迎える働きかけにチャレンジして2年間の目標達成への突破口を開く。

 「新しい政治プロセス」を前進させるわが党の政治的躍進と強大な党づくりの成功は、日本の情勢がわが党に要請している一大任務である。

 全党のありとあらゆる力を総結集し、この「大運動」を成功させよう。

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