2017年12月2日
みなさん、おはようございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつを送ります。
私は、幹部会を代表して、第3回中央委員会総会への報告を行います。
3中総の任務は、総選挙の教訓と課題を明らかにし、当面する日本共産党の政治任務を提起するとともに、2019年の参議院選挙と統一地方選挙での新たな躍進にむけた全党の意思統一をはかることにあります。
報告の第一の主題は、総選挙の教訓と課題についてであります。
総選挙で、わが党は、第27回党大会決定にもとづき、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進という「二つの大目標」の達成をめざして奮闘しました。
まず日本共産党の結果ですが、わが党は、小選挙区では、沖縄1区で赤嶺政賢候補の当選をかちとりました。沖縄では2区、3区の勝利とあわせ、辺野古(へのこ)新基地建設反対の県民の民意がはっきりと示されました。私は、安倍政権がこの審判を重く受け止めることを強く求めるものであります。
比例代表では、前回の20議席(606万票、11・37%)から、11議席(440万票、7・90%)への後退となりました。たいへんに悔しい、残念な結果であります。全国の支持者、後援会員、党員のみなさんには日夜を分かたぬ大奮闘をしていただきました。多くの方々から「比例は共産党」という激励をいただきました。それを結果に結びつけることができなかった原因は、わが党の力不足にあります。
わが党が小選挙区で公認候補者を擁立してたたかった206の選挙区では、499万8千票(9・02%)を獲得し、半数を超える選挙区で得票を伸ばし、全体として健闘しました。必勝区としてたたかった選挙区などで、勝利した沖縄1区以外にも、五つの選挙区で得票率30%を超えるなど、議席への足掛かりとなる地歩を築いたことは、重要であります。
わが党にお寄せいただいたご支持、ご支援に、中央委員会総会として、心からの感謝を申し上げます。歴史的たたかいで大奮闘された全国の候補者のみなさん、予定候補者として活動しながら共闘の大義のために立候補を取り下げるという決断をされたみなさんに、心からの連帯と感謝を申し上げます。
今回のたたかいから教訓を導き、力をつけ、次の国政選挙では必ず新たな躍進をかちとる決意を表明するものであります。
市民と野党の共闘という点では、共闘を破壊する突然の逆流と分断に遭遇しましたが、それを乗り越えて、次につながる重要な成果を得ました。
日本共産党、立憲民主党、社民党の3野党が、市民連合と7項目の政策合意を結び、協力・連携して選挙戦をたたかいました。全国各地で無所属の候補者を野党統一候補としたたたかいもとりくまれました。その結果、立憲民主党が躍進し、市民と野党の共闘勢力は、3野党では38議席から69議席へと大きく議席を増やし、さらに各地で無所属の野党統一候補が勝利しました。このことは私たちにとっても大きな喜びであります。
わが党は、共闘勢力一本化のために、全国67の小選挙区で予定候補者を降ろすことを決断し、多くのところで自主的支援を行いました。わが党が候補者を擁立しなかった83選挙区のうち、32選挙区で共闘勢力が勝利しました。小選挙区の得票が3野党の比例票の合計を上回ったのは63選挙区にのぼり、「共闘効果」がはっきりと示されました。わが党の決断は、共闘勢力が議席を伸ばすうえでの効果的貢献となったと考えます。
市民と野党が連携・協力して選挙戦をたたかうなかで、全国で新しい「共闘の絆」がつくられ、新しい友人、新しい信頼を得ることができました。立憲民主党とともに、自由党、社民党、新社会党のみなさんとも心かよう共闘関係が築かれました。全国各地で市民連合、市民団体のみなさんとの協力と信頼の関係が大きく広がりました。これは、今度の総選挙で私たちが得た最大の財産であります。
わが党は、総選挙でつくられた「共闘の絆」を、継続・発展させる努力を払いつつ、市民と野党の共闘を本格的共闘へと発展させるために全力をつくす決意であります。
今度の総選挙はどういう選挙だったか、日本共産党はどうたたかったか。それを全体としてつかむことは、選挙結果と今後の展望をとらえるうえでも重要であります。
今度の解散・総選挙は、安倍自公政権が、国民の世論と運動に追い詰められてのものでした。この間の安倍政権による憲法破壊、民意無視、国政私物化の政治に対して、国民のなかに深い批判、怒り、嫌悪感が広がりました。それは7月の都議選での自民党の歴史的惨敗をもたらしました。「解散を延ばせば延ばすほど追い詰められる」――安倍首相はこういう思惑からイチかバチかの解散に打って出たのであります。
安倍首相が最も恐れたのは、市民と野党の共闘が成功をおさめることでした。わが党は、解散の動きがおこるとただちに、「共闘で迎え撃つ」と表明し、共闘体制をつくるために最大の努力をそそぎました。
9月20日、4野党(共産党、民進党、自由党、社民党)の書記局長・幹事長会談が行われ、「小選挙区での野党候補一本化を模索」することを確認しました。9月26日、4野党が市民連合と7項目の政策合意を交わしました。総選挙で「できる限りの協力を行う」ということは、4野党党首会談でもたびたび合意していたことであり、この流れが実っていれば、総選挙の結果がまったく違ったものになったことは明らかでした。
市民と野党の共闘は、突然の逆流と分断に襲われました。9月25日の希望の党の結党表明に続いて、9月28日、衆院解散の日に、民進党の前原代表は、突然、希望の党への「合流」を提案し、民進党の両院議員総会が満場一致でこの提案を受け入れるという事態が起こりました。これはこの2年間の共闘の原点、積み重ねを否定し、公党間の合意を一方的にほごにする、重大な背信行為でした。
共闘が崩壊の危機に瀕(ひん)した瞬間――9月28日のその日に、わが党は二つの態度表明を行いました。
第一は、「逆流と断固たたかう」ということであります。わが党は、希望の党の政治的主張の要は、安保法制容認、9条を含む憲法改定の二つであることを明らかにし、「自民党の補完勢力」とズバリ批判しました。さらに、民進党の候補者が希望の党の公認候補となった場合には、原則として党の候補者を擁立してたたかうことを表明しました。
第二は、「共闘を決してあきらめない」ということであります。何よりも市民連合のみなさんとの協力を大切にし、さらに発展させるとともに、「こういう状況のもとでも、勇気をもって共闘の道をしっかり進もうという政党、議員、候補者のみなさんとは、しっかり共闘を追求していく」ことを表明しました。そして、ただちに社民党と協議し、両党間で、候補者一本化についての合意を交わしました。
市民連合のみなさんも、9月29日、民進党の希望の党への「合流」を強く批判するとともに、共闘の再生の可能性を追求するという声明を発表しました。
共闘が崩壊の危機に瀕した瞬間に、わが党が、「逆流と断固たたかう」「共闘を決してあきらめない」という二つのメッセージを発信し、ただちに行動を開始したことは、全国の草の根の市民連合のたたかいとも響きあい、その後の共闘の再構築の流れにつながる、重要な意義をもつものとなりました。
こうしたもとで10月2日、立憲民主党が結党されました。わが党は、10月3日に開催した第2回中央委員会総会で、この動きを「心から歓迎」するとともに、「共闘の原点と大義に立ち返って行動するという方々とは、この間の経過や行きがかりをのりこえて、協力・連携を追求していく」ことを表明し、共闘の再構築のために全力でとりくみました。
公示までのわずか1週間余りの短期間で共闘の再構築ができたのはなぜか。次の二つの力があわさりました。
第一は、全国の草の根での市民連合のみなさんの頑張りです。全国各地で、民進党の候補者に対して、市民の側から「希望の党に行ってはいけない」という働きかけが行われました。それにこたえて、各地で、共闘の立場に踏みとどまる流れが広がりました。なかには一度希望の党への合流を明言したものの、市民に謝罪し合流を撤回した候補者も生まれました。崩されかけた共闘を立て直した力は、この2年間、草の根で積み重ねられた共闘の蓄積でありました。
第二は、日本共産党が共闘勢力一本化のために、67の小選挙区で予定候補者を降ろすという決断を行ったことです。わが党は、今回の総選挙の野党共闘に臨む方針として、「相互協力、相互支援の共闘をめざす。候補者を一方的に降ろすことは考えていない」と繰り返し表明してきました。しかし、共闘に突然の逆流が持ち込まれ、選挙公示まで時間がないという非常事態のもとで、一方的に候補者を降ろしてでも共闘を成功させることを優先するという判断を行いました。この判断は、安倍政権の暴走を止め、日本の政治に民主主義を取り戻すという大局にたった対応であり、正しい判断だったと確信するものであります。
全国の党機関と党組織、党員のみなさんには、共闘を逆流から守り、発展させるという点でも、たいへんな努力をしていただき、献身的な奮闘をしていただきました。日本共産党ならではの奮闘であったと、私は思います。その奮闘に対して、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。
選挙後、各界の多くの識者の方々から、「共産党は、市民と野党の共闘が破壊の危機に瀕したさいに、身を挺(てい)して逆流を止め、日本の民主主義を守った」という評価を寄せていただきました。たいへんにうれしい評価であり、寄せられた激励は決して忘れません。心からの感謝を申し上げます。
このたたかいは、日本の平和と民主主義の前途にとって歴史的意義をもつものとなりました。もし逆流と分断の動きを成功させていたらどうなっていたでしょうか。市民と野党の共闘が破壊されただけでなく、改憲推進勢力による二大政党化が急速に進む危険がありました。日本の政界が改憲翼賛勢力によって覆われるという重大な危険があったのであります。
そういう重大事態に日本の政治が陥りかねない危機の瞬間に、日本共産党が、市民連合のみなさんと協力し、揺るがずに共闘の旗を掲げ、献身的に奮闘し、逆流を止め、将来の展望を開いたことは、歴史に対する貢献となったと考えるものであります。
日本共産党は、安保法制=戦争法が強行された2015年9月19日、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を提唱し、全国規模での野党の選挙協力の追求という新たな道に踏み出しました。それから2年余、私たちは、さまざまな困難や逆流をのりこえて、共闘を一歩一歩前進させてきました。
日本の政治を変えるには、この道しかありません。思想・信条の違いをこえた統一戦線によって社会変革をすすめるというのは、党綱領の大方針であります。今後も、共闘の前途には、さまざまな困難や曲折が予想されますが、わが党は、いったん踏み出した共闘の道を、多くの方々と手を携えてとことん追求し、安倍政権を打倒し、自民党政治を終わらせ、野党連合政権をつくるために全力をあげる決意であります。
全国の同志のみなさん。日本共産党が、今回の総選挙で、重要な歴史的役割を果たしたことを確信にし、誇りにもして、市民と野党の共闘の本格的発展のために、そして次の国政選挙では日本共産党を躍進させるために、力をつくそうではありませんか。
市民と野党の共闘を前進させながら、いかにして日本共産党の躍進をかちとるか。総選挙結果を受けて発表した常任幹部会の声明では、「新しい努力と探求が求められる課題」とのべました。その後、都道府県委員長、地区委員長、候補者のみなさんから感想を寄せていただきました。党内外の方々からも多くの意見をいただきました。それらを踏まえ、総選挙から教訓を導き、今後の課題を明らかにしたいと思います。
まず強調したいのは、野党共闘の勝利と日本共産党の躍進は両立しうるということであります。
市民と野党の共闘の勝利のために真剣に力をつくすわが党の姿勢が、有権者の共感をよび、党への期待や支持につながったことは、選挙戦をたたかった多くの同志が実感していることだと思います。
注目すべきは、市民と野党の共闘こそが、安倍自公政権に代わる「受け皿」であることが、広範な有権者によく伝わるようなたたかいができた選挙区では、共闘候補が自民党候補に競り勝つとともに、共闘で果たしているわが党の役割も鮮明となり、比例代表で党の得票を伸ばしている選挙区が生まれていることです。
無所属候補を野党統一候補としてたたかい、自民党に打ち勝って当選をかちとった新潟3区、4区では、わが党は前回総選挙を上回る比例得票を獲得しました。無所属候補を野党統一候補としてたたかい、勝利をかちとった福島1区でも、伊達市・伊達郡の1市3町で、わが党は比例得票を伸ばしました。これらの経験は、市民と野党の共闘を本格的共闘に発展させることによって、わが党が前進する条件も開かれることを示すものとして、きわめて重要であります。
そのうえで、わが党の独自の努力としては、常任幹部会の声明が提起した二つの点が大切であることは、全国からの感想でも強い共感をもって受け止められています。
第一は、日本共産党の綱領、理念、歴史を丸ごと理解してもらい、積極的支持者を増やす日常的活動を抜本的に強めることであります。
ある地区委員長から次のような感想が寄せられました。
「野党共闘の中で日本共産党の前進もかちとるには、選挙までに日常的に日本共産党の役割をわかってもらうこと、党を丸ごと理解してもらうことが大事だと痛感しました。まともな共闘相手の政党が姿を現せば現すほど、このことが重要になるわけで、『消去法』で共産党が残るという『消極的支持』でなく、『共産党だから支持する』という積極的な支持者をたくさんつくっていく日常活動を成功させなければなりません」
これはたいへんに重要な今後の課題であります。
率直に言って、前回の総選挙でわが党が比例代表で獲得した606万票のなかには、安倍政権の暴走に批判を持ちつつ、当時の民主党にも幻滅と不信を募らせていた人々のなかで、「他に入れるところがないから、今回は共産党」という方も少なくありませんでした。この3年間、そういう方々に積極的な党支持者になっていただくための努力がどうだったかと考えますと、一部にはすぐれた経験が生まれているものの、全党的には十分だったとはいえません。中央のイニシアチブも十分とはいえません。積極的支持者を増やす日常的活動の抜本的強化に、新たな決意で挑戦したいと思います。
市民と野党の共闘が一致点とする課題に全力でとりくむとともに、安倍政権の暴走政治のどんな問題でも、その根っこには「対米従属」「財界中心」という自民党政治のゆがみがあること、そのゆがみをただす改革にとりくんでこそ日本の前途は開けること――党綱領の示す日本改革の方針を大いに語り広げていこうではありませんか。
わが党の党名についての疑問、旧ソ連、中国、北朝鮮をどう見るかなどともかみあわせて、日本共産党がめざす未来社会は、人間の自由で全面的な発展こそが最大の特質となること、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受けつがれ、いっそう発展させられることなど、理念問題でも、わが党の魅力を大いに語っていきたいと思います。
さらに、わが党の平和、民主主義の主張と行動には、95年におよぶ戦前・戦後の一貫した歴史の裏付けがあることも、大いに語っていこうではありませんか。
第27回党大会決定では、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、日本列島の津々浦々で開くことを呼びかけています。この決定を文字通り実践しましょう。中央としてそのための資材をさまざまな形で提供する努力を強めます。党を語ることは難しいことではありません。一人ひとりの党員は、みんな党との出会いがあり、党への思いを持っていると思います。自らの生きた言葉、自らの思いを重ねて、この運動に大いにとりくもうではありませんか。
第二は、党の自力の問題であります。全国のみなさんから寄せていただいた感想や意見でも、総選挙の結果をうけての常任幹部会声明の討議でも、党の自力をつけるという問題は、最も痛切な問題として受け止められています。
党大会決定は、「いまなぜ党建設か」について次のようにのべています。
「この間の国政選挙でのわが党の連続的な躍進・前進は、正確な方針のもとでの全国の党員と後援会員のみなさんの大奮闘のたまものだが、同時に、わが党を取り巻く客観的条件が有利に働いたことも事実である。わが党が躍進・前進すれば、支配勢力がそれを抑え込もうと激しい攻撃を加えてくることは、すでに参議院選挙でも体験したことであり、それは今後もさらに強まるだろう。わが党を封じ込める新しい仕掛けをつくる動きも起こりうることである。どんな難しい情勢が展開したとしても、それを打ち破って日本共産党が躍進・前進を続けるには、いまの党勢はあまりに小さい。いま強大な党をつくることがどうしても必要である」
今回の総選挙における野党共闘破壊の逆流は、「わが党を封じ込める新しい仕掛けをつくる動き」でもありました。これが成功したならば、「日本共産党を除く」という「壁」が新たにつくられることになったでしょう。わが党は、逆流と果敢にたたかい、市民と野党の共闘を守り前進させることはできましたが、日本共産党の躍進をかちとることはできませんでした。どんな複雑な情勢のもとでも、共闘の前進と日本共産党の躍進を同時に実現するには「いまの党勢はあまりに小さい」。これが選挙戦をたたかっての私たちの最大の反省点であります。
わが党は、この総選挙を、前回総選挙時比で、党員は94・1%、「しんぶん赤旗」読者は日刊紙92・8%、日曜版90・5%でたたかいました。党大会後、党員と読者で前回総選挙時の回復・突破をめざす運動にとりくみ、全党のみなさんの大きな努力がそそがれましたが、党勢を後退させたままで総選挙をたたかうことになりました。
わが党の都道府県・地区機関は、そこで働く同志のみなさんの献身的な奮闘によって支えられていますが、体制の弱まりなどから党機関が選挙実務に追われ、支部や党員の立ち上がりのための指導と援助に力をそそげなかったという報告が多数寄せられています。常勤常任委員が3人未満の地区が196地区(62・2%)、常勤常任委員がいない地区が23地区となっており、非常勤の同志を含めた機関体制の強化が強く求められます。
総選挙では、比例代表の得票を前回から伸ばした自治体・行政区が80あります。そのうちの半数は、前回総選挙時から党員数を維持・前進させて総選挙をたたかっています。「集い」を連続的に開催し、こつこつと党勢を拡大した党組織で、全体が後退したもとでも着実に比例票を伸ばしていることは、きわめて教訓的であります。
全党の同志のみなさん。市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進という二つの大仕事をやり抜くためには、強く大きな党をつくることが絶対不可欠であります。他に道はありません。そのことを総選挙の最大の教訓の一つとして銘記し、党勢を上げ潮に転ずるためにありとあらゆる知恵と力をそそごうではありませんか。
わが党の選挙活動をいかにして日常化するか――この問題も総選挙をたたかっての重要な教訓の一つであります。
今回の総選挙は、解散から投票日まで1カ月足らずの超短期のたたかいでした。党の現状では、こうした短期のたたかいだけで勝利に必要な活動をやり抜くことには困難があります。期日前投票が広く普及し、2000万人を超える有権者が期日前に投票するという条件も考慮するなら、選挙活動の日常化はいよいよ重要な課題となっています。総選挙の教訓を踏まえ、次の諸点で活動を改善・強化します。
第一は、比例代表選挙を選挙戦はもとより、あらゆる党活動発展の軸にすえるということであります。
2004年の第23回党大会決定では、かつての中選挙区制の選挙に比べて、国政選挙が党活動のなかで影が薄くなっていることをふまえ、「あらゆる党活動の軸に比例代表選挙をすえる」ことを強調しました。この方針を今日の情勢にそくして具体化していきたいと思います。比例代表選挙で前進をかちとることを、全国どこでも選挙戦の中心にすえる、さらに要求活動、宣伝活動、党勢拡大でも比例代表選挙での前進をかちとることに焦点をあて、そのためにどれだけのとりくみの発展をはかるかの目標と計画をもって日常的に追求するようにしていきたいと思います。
比例代表選挙の意義を、党内だけでなく、支持者や市民運動のみなさんと共有していく努力を日常的に行うことも重要であります。比例代表選挙は、国民の意思を正確に反映する最も民主的な選挙制度です。日本共産党にとっては今日の選挙制度のもとで議席を伸ばす「主舞台」となっています。わが党が、選挙区で候補者を擁立し、選挙区で勝利をめざして奮闘することは、比例代表での前進にとってもどうしても必要であります。これらの点を市民のみなさんと共有していく日常的努力を強めたいと思います。
比例代表選出議員が、有権者と日常的に結びつき、住民要求にこたえた活動を行うとともに、衆参の国会議員団および比例ブロック選出議員の実績を有権者に伝えていく活動を抜本的に強めます。中央委員会の責任で、国会議員団ブロック事務所や国政事務所の体制と活動についても改善・強化をはかります。
第二は、後援会活動を選挙活動の日常化の要に位置づけ、その抜本的強化をはかることであります。
わが党が、全国で342万人の後援会員を持っていることは、大きな財産です。同時に、県・地区委員長の感想では、後援会活動の位置づけや、後援会員との日常的な結びつきが弱まっていることも報告されています。党外の方々からも、党が国民とともにたたかう選挙のあり方について、活動の改善・刷新の提案が寄せられています。
後援会活動の改善・改革の基本姿勢として、「日本共産党後援会の活動を、いまわが党に新しい注目を寄せ、応援しようという人々が、参加しやすい活動へと思い切って改善し、発展・強化をはかる」という党大会決定の立場がきわめて重要であります。
いま多くの市民が、「この政治を変えたい」という思いをもち、主権者として政治にかかわり、選挙に自発的に参加したいという思いをもっています。そうした市民のみなさんと、同じ目線で、ともにたたかう選挙活動をつくりあげていきたいと思います。たとえば党事務所、選挙事務所なども、新しく党に期待を寄せ、ボランティアで協力しようという人が、誰でも入れて、気持ち良く活動できるような事務所になっているでしょうか。ここでも思い切った改善をはかることが、たいへんに重要であります。
そのうえで、次の三つの点を重視して、後援会活動の抜本的強化をはかります。
一つは、支部に対応する単位後援会の確立と、活動の日常化であります。単位後援会をもっている支部は59%にとどまっており、年間を通じての楽しい行事・集いなど、日常的活動にとりくんでいる後援会はその一部です。すべての支部が単位後援会をもち、後援会員のみなさんと人間的にも政治的にも温かい結びつきを強め、活動を日常化するために、力をつくそうではありませんか。
二つは、後援会ニュースを通じた結びつきを、心通う生きた人間的な結びつきへと発展させることです。342万人の後援会員のうち、後援会ニュースを通じた後援会員がかなりの部分を占め、この活動はきわめて重要です。しかし、「定期のニュースは一部にしか届いていない」、「ほとんど顔を見たことがない」などの問題点も報告されています。定期のニュースを届け、願いを聞く、人間的にも結びつくなどの日常活動にとりくみ、342万人に揺るがぬ党支持者になっていただき、さらに大きく広げていきたいと思います。
三つは、新しい試みですが、中央として、党と国民がネット・SNSで日常的に結びつき、力をあわせて選挙をたたかうために、「JCPサポーター」制度(仮称)を発足させます。ネット・SNSを通じて登録・参加し、ネット・SNSでの日常的な情報提供と双方向型の交流・発信を行い、節目でのイベントや集いの開催、国政選挙をはじめとする選挙戦での協力などをすすめます。「JCPサポーター」が地域・職場・学園の後援会と接点がもてるような情報の発信を系統的にすすめ、一歩一歩、都道府県、地区委員会、地域、職場、学園の活動での協力関係を築いていくようにしたいと思います。
以上が、総選挙をたたかっての主要な教訓と課題であります。全国の同志のみなさん。これを次の国政選挙に必ず生かし、新たな躍進に挑もうではありませんか。
報告の第二の主題は、現在の政治情勢の特徴と、当面するたたかいの課題についてです。
まず、第4次安倍政権をどうとらえ、どういう構えでのぞむかについて、いくつかの角度から報告いたします。
総選挙の結果、自民党と公明党が議席の3分の2を占めましたが、それは安倍政権の政治的基盤が強固になったことを意味するものではありません。次の三つの仕掛けによるものであります。
第一は、小選挙区制です。自民党は、比例代表の得票率で33%、有権者比得票率17%で、61%の議席を得ました。これは大政党有利に民意をゆがめる小選挙区制がつくった「虚構の多数」にほかなりません。
第二に、総選挙直前に持ち込まれた野党共闘への逆流と分断が、自民党への最大の「援軍」となりました。議席での多数は、自・公が強かったからでなく、安倍首相が立派だったからでもなく、分断工作が一定の功を奏した結果にすぎません。
第三に、安倍首相は、選挙戦の遊説で「森友・加計(かけ)疑惑」について一切語らず、憲法改定も封印し、徹底した争点隠しを行いました。
総選挙の結果は、安倍政治への国民多数の信任を意味するものではないということを、まず強調したいと思います。
総選挙を前後して、国民の批判、国会質疑、野党の追及を恐れ、そこから逃げようという安倍政権の姿勢は、きわだったものとなっています。
憲法の規定にのっとった野党の臨時国会召集要求を拒否し、疑惑隠しの冒頭解散を強行する。総選挙後の特別国会も当初は実質審議抜きでやり過ごそうとする。国民と野党の強い批判で審議に応じざるを得なくなると、野党の質問時間削減という議会制民主主義のイロハも踏みつけにした異常な暴挙に出る。
特別国会の質疑でも、逃げの答弁に終始し、まともに議論を行う姿勢もなければ能力もないことが露呈しました。これらは、安倍政権の政治的な行き詰まり、国民的基盤のもろさと弱さを自ら告白するものにほかなりません。
改憲右翼団体「日本会議」と安倍政権との一体化が深刻になっています。
安倍首相による憲法9条改定のシナリオを書いたのは「日本会議」でした。首相は、5月3日に「日本会議」が開いた改憲集会へのビデオメッセージで9条改憲を表明し、11月27日の「日本会議」の結成20周年記念大会に、現職首相として初めてメッセージを送り、憲法改定にむけ「歴史的使命を果たす」と誓いました。
第4次安倍政権の安倍首相を含む20人の閣僚のうち、公明党所属の1人を除き全員が、「日本会議国会議員懇談会」「神道政治連盟国会議員懇談会」などに加盟歴のある「靖国」派議員となっています。
安倍政権が、侵略戦争を肯定・美化し、歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられ、極右勢力と身も心も一つになって憲法9条改定の道を暴走していることは、きわめて重大であります。それは、この政権の特異な危険性を示すものであるとともに、その基盤を不安定にし、国民との深刻な矛盾を広げざるを得ないでしょう。
安倍自公政権は国会では多数をもっていますが、そのすすめる主要な課題への支持は国民のなかでは少数であります。憲法を壊す強権政治、国政私物化疑惑などが続くもとで、国民のなかで安倍首相への不信と嫌悪感が渦巻いています。頼みにしていた安倍政権の補完勢力も、総選挙後、いよいよその政治的立場を失い、混迷を深めています。
全国の同志のみなさん。日本共産党が、あらゆる分野で、国民の切実な要求にもとづいて、安倍暴走政治を包囲するたたかいを発展させる先頭に立って奮闘しようではありませんか。国民のたたかいの発展と一体に、市民と野党の共闘を発展させ、共闘の力で安倍政権を打倒し、新しい政治をつくろうではありませんか。
ここで北朝鮮問題について報告します。
この間、北朝鮮が、核実験と弾道ミサイル発射を繰り返していることは、世界と地域の平和と安定にとっての重大な脅威であるとともに、国連安保理決議などに違反する暴挙であります。日本共産党は、北朝鮮の暴挙を厳しく糾弾し、これ以上の軍事的挑発を中止するとともに、核・ミサイル開発を放棄することを厳重に求めるものです。
同時に、万一、米朝の軍事衝突から戦争、核戦争に発展する事態が起きれば、恐るべき犠牲は避けられません。破滅をもたらす戦争は絶対に回避しなければなりません。日本共産党は、8月12日に発表した声明で、危機打開のために米朝が直接対話に踏み出すことを提唱し、日本政府および関係国にそのための努力を要請してきましたが、それはいよいよ急務となっています。国際社会が一致結束して、経済制裁強化と一体に「対話による平和的解決」をはかることが、唯一の解決策であることを重ねて強調したいのであります。
安倍首相は、この問題を「国難」と呼んでいますが、その対応は、(1)「対話のための対話は意味がない」とする異常な「対話否定」論に立ち、(2)「すべての選択肢はテーブルの上にあるという米国政府の立場を支持する」と、アメリカによる先制的な軍事力行使を公然と支持し、(3)危機に乗じて、安保法制を発動し、日米共同演習をエスカレートさせ、トランプ大統領に言われるまま新たな武器を購入する――二重三重に危機を高めるだけのものとなっています。こうした対応を根本からあらためることを強く求めます。
ペリー元米国防長官は、11月29日、朝日新聞に掲載されたインタビューで、「日本の指導者は、外交の失敗がもたらす帰結を理解する必要があります。外交の不在や見境のない発言は、戦争に、非常に壊滅的な核戦争に突入する条件を醸成(じょうせい)してしまいます」と指摘し、実行可能な軍事オプションは存在しないと強調し、「我々は外交を真剣に検討すべきです。私は安倍首相に、トランプ大統領との議論で、こうしたことを促すことを期待しています」とのべています。1994年の北朝鮮の核危機のさい、軍事攻撃を本格的に検討しながら、最後は直接対話に踏み切った元米国防長官の発言を、日本政府は重く受け止めるべきであります。
「対話による平和的解決」を求める声は、韓国、中国、ロシアなど関係国とともに、ASEAN(東南アジア諸国連合)、ドイツ、フランスなど、国際社会の圧倒的大勢となっています。日本共産党は、こうした方向で、危機を打開し、問題の解決がはかられるよう、引き続き力をつくすものであります。
来年の通常国会、再来年の参議院選挙を展望して、当面のたたかいの課題について報告します。
第一は、国政私物化疑惑の徹底究明であります。
特別国会の論戦をつうじて、森友・加計学園をめぐる疑惑はいっそう深刻となっています。会計検査院は、森友学園への国有地8億円値引き売却問題で、国が算定したゴミの量は過大で、国有地売却は「適切とは認められない」とする検査結果を報告しました。8億円値引きの根拠が崩れました。さらに、わが党の追及で、財務省の側から森友学園に値引き売却を提案し、「口裏合わせ」をはかっていたことを示す「音声データ」の存在を政府も認めざるをえなくなりました。こうした異常な事態の背景に安倍昭恵氏の関与があるのではないかという疑惑がいよいよ深まりました。
加計学園にかかわる疑惑では、わが党の追及で、加計学園が事業者として選定された1年半も前(15年6月)の国家戦略会議ワーキンググループ(WG)に加計学園関係者が出席・発言していたこと、それが隠され続け、速記録まで破棄されたことなど、「加計ありき」「加計隠し」でことがすすめられてきた異常な事実が明らかにされ、真相究明のためには、加計孝太郎氏を国会に招致することが、いよいよ避けて通れなくなってきています。
この問題は、時の権力者によって公正公平であるべき行政がゆがめられ、国政が私物化されたという疑惑であり、絶対にあいまいにすることはできません。安倍首相が、安倍昭恵氏、加計孝太郎氏という真相解明の2人のキーパーソンを国会に出そうとしないことが、出そうとしないで自分であれこれと“間接話法”で語っていることが、国民の強い不信が続く最大の要因となっています。わが党は、2人をはじめ関係者の招致を行い、真相の徹底究明をはかるために引き続き全力をつくすものであります。
第二は、安倍政権による憲法9条改定を許さないたたかいです。
安倍首相は、総選挙の翌日、「与野党にかかわらず、幅広い合意形成をするように努力を重ねていかなければならない」と、改憲への強い執念を見せました。来年の通常国会にも憲法改定の国会発議を行おうというのが、自民党の描くスケジュールです。9条改定案の国会での発議を絶対に許さないことを目標にすえ、この一点での揺るぎない国民的多数派をつくりあげるために全力をあげます。
そのためには、今年から来年前半にかけてのたたかいが一つの勝負どころとなります。「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけた「3000万人署名」を、全国の草の根で集めきることを、たたかいの軸にすえて頑張り抜こうではありませんか。野党各党は、「安倍政権による9条改憲に反対する」ことを市民連合との政策合意で確認しており、この一点での市民と野党の共闘を、国会内外で大きく発展させるために力をつくそうではありませんか。草の根のたたかいと共闘が、たたかいを勝利に導く要であります。
この問題で、揺るぎない国民的多数派をつくる最大の政治的カギは、憲法9条に自衛隊を明記する改定を行えば、9条2項の空文化=死文化に道を開き、海外での武力行使が文字通り無制限になるという問題の本質を、国民多数の共通認識にしていくことにあります。日本共産党は、論戦、宣伝、対話で、問題のこの本質を国民に広く明らかにする先頭に立って奮闘するものです。
安倍政権による憲法9条改定を許さないたたかいは、文字通り、日本の命運を左右する歴史的闘争となります。
国民のみなさんに心から呼びかけます。政治的立場の違い、思想・信条の違いを超え、安倍9条改憲反対の一点での空前の国民的大運動を起こし、安倍首相の野望を必ず葬り去ろうではありませんか。
第三に、暮らしと経済の問題では、党大会決定がよびかけた「1%の富裕層や大企業のための政治でなく、99%の国民のための政治を」――格差と貧困をただす経済民主主義の四つの改革を掲げ、その実現のためのたたかいにとりくみます。
――社会保障をめぐって、総選挙後、政府の経済財政諮問会議、財政制度等審議会などで、あいついで「社会保障改革」の案が打ち出されています。医療では、75歳以上の窓口負担の2割への引き上げ、介護では、「要介護1・2」の在宅サービスを保険給付から外す、生活保護では、子育て世帯を狙い撃ちにした加算・扶助費の削減など、大改悪が目白押しです。こうした動きに対し、医療・介護の職能団体、市民団体など、幅広い団体が声をあげ、反撃の運動を起こしていることは重要です。社会保障の大改悪策動を打ち破り、拡充を求める、広範な共同のたたかいを発展させようではありませんか。
――消費税をめぐって、安倍政権は、2019年10月からの10%増税を既定事実として、突き進もうとしています。大増税は、消費不況をいっそう深刻にし、格差と貧困に追い打ちをかけます。社会保障を切り捨て、大企業に減税をばらまく一方での庶民大増税には、一かけらの道理もありません。「富裕層・大企業に応分の負担を」の対案を大いに語り、消費税10%を中止させるために全力をあげようではありませんか。
政府・与党は、大増税を国民に押し付けながら、深刻な財政危機を打開する方途を示せなくなっています。「能力に応じた負担」の原則を貫く税制改革、歳出の浪費をなくす財政改革、国民の所得を増やす経済改革をすすめることで、消費税に頼らずに暮らしの充実と財政危機打開の両立をはかる日本共産党の財源提案を大いに広げていくことが大切です。
――安倍政権は、「残業代ゼロ法案」と、過労死水準までの残業を合法化する労働基準法改定案を「一本化」して、通常国会に提出・成立させようとしています。「残業代ゼロ法案」は、すべての労働団体と、全国過労死を考える家族の会や弁護士団体など広範な市民団体が、「過労死を促進する」と強く反対しています。市民と野党の共闘、ナショナルセンターの違いを超えた労働組合の共同を広げ、戦後日本の労働法制を根幹から揺るがす大改悪を絶対に許さないたたかいの発展をはかりましょう。党大会決定が提起した「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を掲げ、本物の働き方改革の実現を求めてたたかおうではありませんか。
――農業をめぐって、安倍政権は、来年度から米の直接支払交付金を廃止し、民主党政権時につくった所得補償制度を全廃しようとしています。これを許さず、農産物の価格保障・所得補償制度の確立を求めてたたかいます。また、安倍政権は、離脱したアメリカを呼び戻すことをめざして、「TPP11」を強引に進めようとしています。これは、アメリカが戻らない場合でも、トランプ政権が求める日米FTA交渉の出発点となり、アメリカがさらなる譲歩を迫る条件を与えることになります。わが党は、「TPP11」を断固阻止するためにたたかうものであります。
第四は、原発ゼロをめざすたたかいです。
東京電力福島第1原発の大事故から7年近くになりますが、原発再稼働に反対する声は、どんな世論調査でも国民の過半数で揺るぎません。原発事故によって、今なお6万8千人もの福島県民が故郷を追われ、避難生活を強いられている現実を目のあたりにして、国民の多数が「原発はもう動かせない」という強い思いを持っています。
原発を再稼働すれば、計算上わずか6年で、すべての原発の使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になります。処理方法のない「核のゴミ」という点からも、再稼働路線は完全に行き詰まっています。高速増殖炉「もんじゅ」が問題となっていますが、冷却材に使われていたナトリウム――これは放射能で汚染されているわけですが、取り出す方法がないということが最近明らかになりました。あらゆる点で無責任きわまる原子力行政の問題点が噴き出しています。
国民の強い批判を受けて、総選挙で野党と市民連合の間で、「福島第1原発事故の検証のないままの原発再稼働は認めない」ことが政策合意されたことは、原発ゼロをめざす運動を励ましています。ここでも市民と野党の共闘を発展させ、安倍自公政権に、再稼働路線の中止、原発ゼロの決断を迫るたたかいをすすめようではありませんか。
第五は、基地のない平和で豊かな沖縄をめざすたたかいです。
総選挙では、沖縄の四つの小選挙区のうち、1、2、3区で、辺野古新基地に反対する「オール沖縄」の候補者が勝利しました。ところが政府は、そのわずか2週間後に新たな護岸工事の建設に着手しました。地元紙は政府の暴挙を「沖縄には民主主義は適用しないという宣言」と糾弾しましたが、沖縄の基地問題で問われているのは、日本という国の民主主義にほかなりません。
沖縄では、昨年のオスプレイの墜落事故のさいにも、今年の米軍ヘリ炎上・大破事故のさいにも、日本の警察・海上保安庁がまともな捜査ができないという事態が続き、「これで独立した主権国家といえるか」という怒りが広がっています。この屈辱的な現状をただすために、日米地位協定の抜本改定は急務となっています。
安倍政権は、なりふり構わぬ新基地建設の工事強行によって、県民をあきらめさせ、分断を持ち込むという卑劣な強圧をふるっています。それに対して沖縄県民は「勝つ方法はあきらめないこと」を合言葉に不屈のたたかいを続けています。
来年は、2月の名護市長選挙、11月の沖縄県知事選挙と、重要な選挙戦が連続してたたかわれます。絶対に負けられない選挙であります。全国のみなさんが、翁長(おなが)知事を先頭にした「オール沖縄」のたたかいと連帯し、あらゆる支援を集中し、勝利のために全力をあげることを心から訴えるものであります。
第六に、核兵器禁止条約について訴えます。
7月7日、国連で歴史的な核兵器禁止条約が採択され、9月から各国の署名が開始されました。条約の成立は、国際政治に新たな変化をつくり出しつつあります。国連で軍縮問題を扱う第1委員会では、10月27日、核軍縮に関連する20本の決議案を採択しましたが、その半分が核兵器禁止条約の採択に言及するものとなりました。なかでもすべての加盟国に禁止条約への署名と批准を求めた決議案「多国間核軍縮交渉の前進」が、国連加盟国のほぼ3分の2の賛成で採択されたことは、大きな意義があります。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞の受賞、被爆者とローマ法王との会見など、被爆者を先頭とする市民社会の役割が国際的にも高く評価されていることも、歓迎すべき動きであります。核兵器禁止条約の採択に大きな力を得て、世界が核兵器禁止・廃絶にむけて大きく動きつつあります。
そうしたなかで、日本政府が、核兵器禁止条約に反対し、核兵器大国に追随する姿をむき出しにしていることは、恥ずべきことです。日本政府が、国連第1委員会に提出した核軍縮決議案は、核兵器禁止条約に一言も触れないばかりか、NPT(核不拡散条約)第6条の核保有国の核軍縮義務が削除されるなど、日本の昨年の決議からも大きく後退し、各国から異例ともいえる多くの批判的意見が集中しました。
核兵器禁止条約を発効させ、禁止から廃絶へと前進するうえで、核保有国と同盟国の政策転換を実現する世論と運動――とりわけ被爆国・日本の政府の姿勢を変えさせるたたかいは、決定的に重要となっています。「ヒバクシャ国際署名」を2020年までに全世界で数億の規模で集めるとともに、日本政府に核兵器禁止条約へのサインを迫るたたかい、そして禁止条約にサインする政府をつくるたたかいに、大いにとりくもうではありませんか。
これらの国民運動を発展させるうえでの、私たち日本共産党の構えとして、二つの点を強調したいと思います。
第一は、市民と野党の共闘で、すでに確認されている共通の課題について、それぞれのたたかいを発展させる先頭に立って奮闘するとともに、たたかいを通じて共闘を豊かに発展させるために力をつくすということであります。
直面するたたかいの課題のうち、「安倍政権による憲法9条改定に反対」、「秘密保護法、安保法制、共謀罪法などの白紙撤回」、「福島第1原発事故の検証のないままの原発再稼働は認めない」、「森友・加計疑惑の徹底究明」、「雇用の不安定化と過密労働を促す『働き方改革』に反対し、8時間働けば暮らせるルールを実現する」などは、野党が市民連合と交わした政策合意のなかに明記されていることです。野党は、国民に対して、これらの共通公約を実行する共同の責任を負っています。日本共産党は、これらの課題で共同のたたかいを前進させるために、市民連合のみなさんとも協力して全力をあげて奮闘するものです。
さらに「19年10月の消費税10%増税は認めない」、「核兵器禁止条約への署名を迫る」などの課題でも、野党間で前向きの一致が得られる可能性があります。たたかいのなかで、共闘の課題を豊かにしていくための努力をはかりたいと思います。
もともと、今日の市民と野党の共闘を生み出した原動力は、2015年に日本列島にわき起こった安保法制=戦争法に反対する空前の市民運動でした。共闘を発展させる原動力は、国民のたたかいにあります。このことを銘記して大いに奮闘しようではありませんか。
第二は、安倍政権の暴走政治のどんな問題も、その根っこには異常な「対米従属」「財界中心」という自民党政治のゆがみがあること、そのゆがみをただす改革にとりくんでこそ日本の前途は開けることを明らかにする、日本共産党独自の活動にとりくむことであります。
北朝鮮問題での軍事的対応へののめり込み、憲法9条改定への熱中、沖縄基地問題での民意無視の強権政治、核兵器禁止条約に背を向ける恥ずべき姿勢――安倍政権によるこれらの暴走政治の根本には、異常なアメリカ言いなりの政治があります。日米同盟を絶対視し、日米同盟をあらゆるものに優先させる姿勢を続けていいのかが問われています。世界でも異常な従属体制――日米安保条約を廃棄し、独立・平和・中立の日本をつくることにこそ、日本の未来があることを、大いに語ろうではありませんか。
社会保障大改悪、消費税増税、「残業代ゼロ法案」など働き方改悪、原発再稼働など、国民の命と暮らしを脅かす暴走政治の根本には、異常な財界中心の政治があります。それは、総選挙後、経団連会長が、「国民に痛みを伴う改革」に「勇気をもって」とりくめと、これらの課題の推進の号令をかけたことからも明らかです。1%の富裕層と大企業の利益を最優先させ、99%の国民に犠牲を強いる政治を続けていいのか。これが問われています。大企業の横暴を抑え、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」をつくることにこそ、国民すべてが尊厳をもって生きることができる日本をつくる大道であることを、大いに語ろうではありませんか。
日本共産党が、市民と野党の共闘が掲げる課題に、最も誠実・真剣にとりくむとともに、党綱領にそくして先々の展望を大いに明らかにする独自の活動にとりくむことは、共闘を発展させるうえでも貢献となることを強調したいと思うのであります。
報告の第三の主題として、参議院選挙、統一地方選挙での新たな躍進をめざす党活動と党建設の方針についてのべます。
次の全国的選挙は、2019年春の統一地方選挙と、7月の参議院選挙となることが想定されます。統一地方選挙と参院選が連続的にたたかわれるのは、12年ぶりとなります。二つの全国的選挙で新たな躍進をかちとることを前面にすえて、党活動と党建設の新たな発展をかちとるために全力をあげます。
参議院選挙では、次の二つの大目標に挑戦します。
第一に、市民と野党の共闘を本格的に発展させ、19年参院選でも選挙協力を行い、自民・公明とその補完勢力を少数に追い込むことをめざします。
全国32の1人区のすべてで、市民と野党の共闘の実現と、その勝利をめざします。共闘を成功させるために、(1)豊かで魅力ある共通公約をつくる、(2)本格的な相互推薦・相互支援の共闘を実現する、(3)政権問題で前向きの合意をつくる――などの諸点で、野党間、野党と市民連合間でしっかりした協議を行い、本格的な共闘の実現をめざします。
これまでの2度の国政選挙――16年参院選、17年総選挙では、わが党は、共闘体制構築のために、一部をのぞいて、候補者を一方的に降ろすという対応を行い、それは適切なものでした。同時に、本来、選挙協力は相互的なものであり、そうしてこそ力を発揮することができるし、持続・発展することができます。次の参院選では、過去2回のような一方的な対応は行いません。あくまで相互推薦・相互支援の共闘をめざします。
第二に、日本共産党の新たな躍進を必ずかちとるために、全力をあげます。「比例を軸に」を貫き、「全国は一つ」でたたかい、比例代表で「850万票、15%以上」を目標にたたかいます。選挙区選挙では、現有3議席(東京、京都、大阪)を絶対に守り抜き、議席増をめざしてたたかいます。
今回の総選挙で比例代表で440万票へと後退し、13年参院選の515万票、16年参院選の601万票を下回ったことは、党の現状としてリアルに直視しなくてはなりません。同時に、今回の総選挙での得票の後退は、かつてのような「共産党排除の壁」に追い詰められての結果ではありません。共闘を貫いた党の姿に共感して、新たに支持してくださった方も少なくありません。総選挙後、各界の識者の方々から、党のとった態度への評価とともに、「今回醸成された信頼感はいずれ生きてくる」などの激励が寄せられましたが、こうした激励に応える必要があります。「850万、15%以上」は、大きな目標ですが、頑張りいかんで実現は可能であります。全党が、新たな決意で、新たな躍進に挑戦しようではありませんか。
統一地方選挙の意義と目標は、党大会決定ですでに明確にしています。
――前回の統一地方選挙では、全都道府県で議席を獲得するという、党史上初めての到達を築きました。2017年の東京都議会議員選挙では、東京都党組織の大奮闘と全国の支援で、難しい条件のもとで17議席から19議席への重要な躍進をかちとりました。
2019年統一地方選挙では、これらの到達点を踏まえ、道府県議会で新たな空白を絶対につくらず、すべての道府県議会での複数議席実現、議席増に挑戦します。
――県議空白の政令市(20政令市中6市)での県議議席獲得、政令市の市議空白区(175区中46区)の克服、道府県議、政令市、東京特別区、県庁所在地、主要な地方都市での議席増を特別に重視します。
――一般市議、町村議の議席増、空白議会(43市、343町村)の克服に挑戦します。党員拡大を根幹にすえた党勢拡大にとりくみ、移住も含め早く候補者を決め、候補者を先頭にした計画的・系統的とりくみを行います。
――党議員団が議案提案権をもつことは、住民の要求実現にとって大きな意義をもちます。現在、半分近く(46・59%)の自治体でもっている議案提案権を、都道府県ごとの拡大目標をもち、全国的には、3分の2以上の自治体でもつことをめざします。
統一地方選挙は、その直後に行われる参議院選挙の前哨戦(ぜんしょうせん)としても、重要な意義をもつものとなります。この目標に、正面から挑戦し、必ずやり抜こうではありませんか。そのために遅くとも来年3月までに予定候補者を決定し、勝利にむけたとりくみをスタートさせることを強く訴えるものであります。
2018年は、151市、131町村、計282自治体で中間選挙が行われます。沖縄では、名護市長選挙、沖縄県統一地方選挙、県知事選挙、那覇市長選挙など、一連の重要な選挙がたたかわれます。必要な力の集中をはかりつつ、一つひとつの選挙で勝利し、議席増、得票増をめざします。中間選挙で議席と得票の上げ潮の流れをつくり出してこそ、統一地方選挙での勝利、参議院選挙での躍進をかちとることができることを銘記して、奮闘したいと思います。
統一地方選挙、中間地方選挙で着実な前進・躍進をかちとり、党大会決定が呼びかけた地方議員第1党の奪回、議席占有率10%以上をめざそうではありませんか。
選挙をたたかう方針は、党大会決議・第25項「新しい情勢にふさわしく選挙方針を抜本的に発展させる」で明らかにされています。そこで強調された、「野党共闘の前進と日本共産党躍進の一体的追求」、「『市民・国民とともにたたかう』、壮大な選挙戦」、「伝えたい相手への敬意をもち、自分の言葉を大切にして、対等な目線で語り合うという、双方向での宣伝・組織活動」、「あらゆる結びつき・つながりを生かして選挙勝利に結実させる」、「若い世代とともにたたかう選挙にしていく」などの諸点は、引き続き今後の選挙戦をたたかう指針ともなるものであり、その全面実践をはかります。
同時に、すでに明らかにした総選挙の教訓を全面的に生かすことが大切であります。報告でのべた「共闘を前進させながら、いかにして日本共産党の躍進をかちとるか」、「選挙活動をいかにして日常化するか」などの内容は、そのまま次の参議院選挙、統一地方選挙をたたかう方針として実践するようにしたいと思います。
来年――2018年は、全国的選挙は想定されません。2019年の参議院選挙、統一地方選挙で新たな躍進をかちとるために、2018年を、党と国民との結びつきを豊かに広げ、党大会決定にもとづく法則的活動を実践し、腰をすえて党の力をつける年にしていくようにしたいと思います。次の七つの点をにぎって、党活動と党建設を着実に前進させることを、呼びかけます。
第一は、生きた政治目標を決めることです。
すべての都道府県、地区委員会、支部・グループが、参議院選挙、統一地方選挙での躍進をめざす政治目標とそれを達成するための計画を、「総合計画」「政策と計画」のなかに位置づけ、決定することは、新たな躍進にむかう出発点となります。
そのさい、「わが支部(地区、県)をこう変える」という大志とロマンある、みんながわくわくするような生きた目標をみんなでよく討議して決め、みんなのものにしていくことが大切であります。
「850万、15%以上」という参議院選挙の比例代表の全国目標にそくして、都道府県、地区委員会、支部・グループで比例代表の目標を決め、それを達成することをあらゆる党活動発展の軸にすえましょう。要求活動、宣伝活動、選挙活動、党勢拡大など党のあらゆる活動を、比例代表の目標を達成することに焦点をあてて、その達成のために必要な計画をたて、日常的・意識的に追求しましょう。
第二は、草の根の運動であります。
すべての県・地区委員会、支部・グループが、国民の願いにもとづき、草の根から国民運動、市民運動を発展させる先頭にたちましょう。この活動は、国民の利益を守るために献身するという立党の精神にたった活動であるとともに、党と国民との生きた結びつき、党への信頼を広げ、選挙での躍進、党勢拡大をすすめる力の源泉ともなります。
報告でのべた、憲法、暮らしと経済、原発、米軍基地、核兵器禁止・廃絶など、国政の大問題から、日常的な職場、地域、学園の要求にいたるまで、国民の要求実現のための運動をおこし、またすでにあるさまざまな運動に参加し、要求実現の先頭にたつとともに、結びつきを豊かに広げましょう。
安倍9条改憲に反対する「3000万署名」に全国津々浦々でとりくみ、日本の命運をわけるこのたたかいで必ず勝利をかちとるために、先頭にたって大奮闘しようではありませんか。
第三に、すべての支部・グループ、すべての自治体・行政区で、参院選、統一地方選にむけて、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を開きましょう。
「集い」は、党の綱領、理念、歴史を丸ごと理解してもらい、また国民が関心をもっているさまざまなテーマで日本の未来を語りあい、党を積極的に支持してくれる人たちを日常的に広げるとりくみです。また「集い」は、そこでの対話をつうじて、党員を増やし、「しんぶん赤旗」読者を増やすうえでも、重要な意義をもちます。さらに「集い」で、党への誤解をとく活動をすすめることは、市民と野党の共闘を本格的なものに発展させるうえでも、大切な活動になります。
今回の総選挙にむけて「集い」に積極的にとりくみ、それが選挙をたたかううえでも大きな力となった党組織では、共通して次のような教訓が報告されています。
――一つは、「集い」を気軽に開くことです。最初はさまざまなためらいも出されますが、「集まりを気にしないでまずとりくもう」「会場は党員宅でも」「集いを住民に知らせること自体が大事な活動」と気軽に始め、とりくみを広げています。
――二つは、「集い」を繰り返し開くことです。愛知県のある地域支部は、「集い」を毎月開き、15カ月になりました。「『集い』を続けることで、何より党員が元気になり、協力してくれる人たちが広がり、選挙が日常化することになった」との報告であります。
――三つは、「集い」は双方向でということです。話題提供は長くせず、みんなが語り合え、参加者が主役になる運営に心がけています。参加者の政治への思い、党への率直な意見・要望を聞き、ともに日本の前途を考える場としていくための努力がはらわれています。
参院選、統一地方選にむけ、「集い」を、日本列島のすみずみで、気軽に、繰り返し、双方向で開こうではありませんか。国会議員、地方議員、候補者が、党を語る先頭にたつとともに、党員一人ひとりが、自分の思いを重ね、自分の言葉で党を語りましょう。『JCPマニフェスト 日本共産党綱領』パンフを大いに活用しましょう。若い世代の中での「集い」を特別に重視し、若者の実情と願いに耳を傾け、一緒に未来を探求するとりくみとして発展させましょう。
第四は、第27回党大会決定の生命力をしっかりつかみ、この決定を全党員のものにする新たな努力を強めるということです。
党大会決定は、開始された「日本の政治の新しい時代」を前に動かすために、日本共産党はいかにたたかうかを明らかにした文書であり、綱領を今日の情勢のもとで具体化したものです。党大会から1年近くがたちましたが、決定に盛られた内容は、どの問題でも新鮮な生命力を発揮しています。
――総選挙でわが党は、重大な逆流が生まれる複雑な情勢のもとでも、市民と野党の共闘を揺るがず発展させるという立場を貫きましたが、全党がこの大仕事をやり抜けた土台には、共闘の力――統一戦線の力で日本の政治を変える道を太く明らかにし、断固としてこの道をすすむことを呼びかけた党大会決定がありました。
――党大会決定は、世界と日本の現状をどうとらえ、どう働きかけるかについて、大きな展望を指し示しました。その生命力は、核兵器禁止条約の採択という世界平和の大激動でも実証されました。党大会決定は、安倍政権に対する国民的対案を、外交、経済、原発、米軍基地、憲法、歴史問題など、あらゆる分野で明示しましたが、それは総選挙をたたかう大きな政治的指針になるとともに、総選挙後の情勢においてもそれぞれが新鮮な意義をもつものとなっています。
――党大会決定は、党建設においても、「いまなぜ党建設か」――党建設の歴史的意義を深く明らかにするとともに、どうやって党建設を本格的な前進に転ずるか、世代的継承をどうすすめるかについて、大きな方向を明らかにしました。その内容は、党を強く大きくする運動をすすめるうえでの最良のよりどころになるものであります。
――党大会決定は、中国の国際政治における動向にあらわれた問題点を突っ込んで解明しています。日米安保条約と自衛隊に関する党攻撃への端的な反撃を行っています。党創立95周年にあたって「歴史が決着をつけた三つのたたかい」――戦前の天皇制の専制政治・暗黒政治とのたたかい、戦後の旧ソ連などによる覇権主義とのたたかい、「日本共産党を除く」という「オール与党」体制とのたたかいについてのべています。党大会決定には、党の綱領、理念、歴史を語る内容が満載されています。
党大会決定の読了の到達点は、決議で43・8%となっています。ここから先が大事であります。ここから先、全党員読了をめざして、どこまで読了を広げることができるかが、わが党の質を決めることになります。全党の英知で練り上げ、決定し、今日の情勢のもとで大きな生命力を発揮している第27回党大会決定を全党員が読了するために、パンフレットを活用し、新たな決意で力をつくそうではありませんか。党大会決定に繰り返し立ち返り、決定を力に党活動を前進させる気風を全党に定着させようではありませんか。
第五は、党勢拡大の上げ潮を必ずつくりだすことです。
党の自力をつけること――党員拡大を根幹にすえて党勢拡大を前進させることは、総選挙の最大の教訓として、全党のみなさんが最も痛切に受け止めている問題だと思います。2019年の参院選、統一地方選で新たな躍進をかちとるため、2018年にこの分野でたしかな前進を何としても築きたいと思います。今度こそ、党勢を前進させて選挙をたたかいたいと思います。
第3回中央委員会総会として、全党のみなさんが、次の目標に正面から挑戦することを呼びかけるものです。
全国の目標として、参議院選挙1年前の来年7月末までに、党員、「しんぶん赤旗」日刊紙読者、日曜版読者で、前回(2016年)参院選時を回復・突破することをめざします。これは党員で1万1千人、日刊紙読者で1万3千人、日曜版読者で6万3千人を増やすという目標となります。一つの支部・グループあたり、党員1人増、日刊紙読者1人増、日曜版読者4人増を実現すれば達成できます。都道府県、地区委員会、支部・グループが、これに見合う目標を決め、来年7月末にむけて党勢拡大の上げ潮をつくり出し、さらにそれを発展させて、2019年の二つの政治戦で必ず勝利をつかもうではありませんか。
どうやって党建設を本格的な前進に転ずるか。党大会決定をしっかり握って、決定にしがみついて実践したいと思います。党大会決定が明らかにした党建設前進の法則的方向は、全党の経験と教訓を総括して打ち出したものであり、これを本気で実践したいと思います。
――一つは、党大会への中央委員会報告で強調した「楽しく元気の出る支部会議」を全党に定着させる努力と一体に、党勢拡大の独自追求をはかることであります。
近畿のある地区委員会は、党大会決定を受けて、「楽しく元気の出る支部会議」を定着させる努力を行い、それが持続的な党員拡大の力となり、総選挙にみんなが立ち上がる力となっています。96・5%の支部が支部会議を開き、党大会決定を読了して政治的団結をはかる、支部会議に参加できていない同志については訪問して近況をつかみ交流するなどの努力をしてきました。一人ひとりの党員を大切にする気風が強まり、支部に連帯感が生まれ、「こんな活動なら誘いたい」「支部を大きくしたい」となりました。党員拡大の独自の援助とあいまって、党大会後、入党を働きかけた支部は6割を超え、34人の党員を迎えているとの報告であります。
党大会決定が提起した「楽しく元気の出る支部会議」は、支部の活力を高め、要求運動、宣伝活動、選挙活動、党勢拡大で前進する力がわきでる鉱脈であり、あらゆる支部活動発展の要であります。
支部会議の現状は、毎週開催は2割弱にとどまっています。党機関はこの現状の打開のために思い切って援助を強めましょう。一人ひとりの党員を大切にし、温かく連帯感あふれる支部をつくる努力と一体に、党勢拡大を前進させようではありませんか。
――いま一つは、大会決議が強調した「地区委員会活動の強化」によって、支部に出かけ、支部から学び、一緒に知恵と力をつくすリーダーシップを発揮することと一体に、党勢拡大の独自追求をはかることであります。
四国のある地区委員会は、党大会決定を受けて、「大河の流れも、一滴のしずくから」を合言葉に、「すべての支部」にこだわって、支部への日常的援助を強めました。党大会後、放置されていた30の支部を地区委員会全体で分担しなおし、一つひとつに足を運び、援助を強めるなかで、新たに会議が開けるようになった支部が着実に広がっています。こうした援助を行えるよう、職場を定年退職した4人の党員に、補助指導機関の委員になってもらい、補助指導機関を再建するなど、体制強化を行いました。こうした粘り強い努力によって、党員でも「しんぶん赤旗」の読者でも党大会現勢をほぼ維持し、総選挙の対話・支持拡大は、前回を大きく超える規模となったとの報告であります。
党大会決定が明らかにした「楽しく元気の出る支部会議」「地区委員会活動の強化」――この二つの法則的方針をしっかりにぎって、党勢拡大の新たな前進をつくりだすために、知恵と力をそそごうではありませんか。
なお、「しんぶん赤旗」の読者拡大では、紙の「赤旗」読者を増やすことを基本にすえつつ、新しく党に関心や期待を寄せている人々に、広く「赤旗」を読んでいただけるよう、来年7月をめどに、「しんぶん赤旗」日刊紙の電子版を発行する準備をすすめていることを、報告しておきたいと思います。
第六は、党の世代的継承のとりくみを前進させることです。
総選挙をたたかって、党の世代的継承は、日本の未来にとって、党の事業の継承にとって、どうしても必要な課題であると全党が痛感している問題となっています。この問題でも、党大会決定の本格的実践に挑戦したいと思います。
――党大会決定は、6000万人の労働者階級のなかに党をつくる仕事を、「職場支部と全党の共同の事業」として推進する大方向を示しました。党大会後、党中央として、3月に「自治体、教職員、医療・福祉の党組織の経験を聞く会」、4月に「全党の結びつきを生かし、空白の職場に党支部をつくる事業の経験に学ぶ会」を開き、その成果は、党大会決定とともに学ばれ、労働者階級のなかでの党づくりの新たな努力が始まっています。
長時間労働に反対する労働者の新たなたたかいの発展、市民と野党の共闘によって労働者・労働組合の前向きの変化がおこるもとで、新たな活力を得て前進する職場支部が生まれ、労働運動の強化につながる動きもつくられていることは重要であります。大会決定にそくした系統的努力を本格的にすすめます。党中央として、市民と野党の共闘によって生まれている新しい条件をくみつくして、職場支部の新しい前進をはかることを目的に、「職場講座」を開催します。
――党大会決定は、若い世代のなかでの党づくりを、すすんだ党組織の努力に学び、「三つの柱」――(1)どの支部にでもできる世代的継承、(2)民青同盟への親身な援助を強め、同盟員を増やし、民青班をつくる、(3)全党のあらゆる力、結びつきを生かして、学生党員を迎え、学園に党支部をつくる――で強めることを提起しました。この方針を受けて、全党の探求・開拓が強まり、総選挙でも若い世代が大奮闘しました。
いま全党が総力をあげて、民青同盟を強く、大きくしていく仕事に、民青のみなさんと心を一つにとりくむことを呼びかけます。党大会後、中央でも、都道府県・地区委員会でも、民青との懇談が系統的にとりくまれています。民青の実情、悩み、要望をじかに聞き、「力をあわせて民青を大きくしたい」という機運が広がっています。
民青同盟は、総選挙でも、SNSなども駆使した対話活動で力を発揮しましたが、対話したところでは、日本共産党への壁がなく、働き方、学費・奨学金、憲法の問題などで、どんどん対話が進み、とりくんだ同盟員も元気になっているのが特徴です。
民青同盟は、12月8日からの全国大会にむけて、1500人の拡大目標達成にむけ奮闘するとともに、大志を持って民青を大きくする活動にとりくもうとしています。いま民青を急速に大きくする条件は大いにあります。
中央から県、地区にいたるまで、党と民青との懇談を系統的に行い、民青同盟員の拡大と民青班づくりの目標と計画を具体化し、力をあわせてやりとげましょう。『日本共産党綱領セミナー』、『マルクスと友達になろう』などを活用した懇切な学習の援助を行いましょう。とくに民青の県委員会が定期に会議を開き、会議を通じて成長していけるよう、親身な援助を行うことが大切であります。
昨年の参院選から18歳選挙権が実施されたもとで、高校生のなかで、主権者として「政治や社会のことを学びたい」「自分の意見を持ちたい」といった前向きな変化が生まれています。こうした動きにこたえる活動を強め、高校生のなかで民青同盟員を増やし、民青班をつくる活動に、党が民青のみなさんと力をあわせてとりくみます。全国どこの党の地区委員会にも高校は存在します。職場・地域の党員の結びつきに高校生があがることも少なくありません。一番“身近”な若者は高校生です。退職教員の同志の力を借りるなど、党のもつあらゆる可能性を生かして援助の態勢を強め、高校生のなかに民青同盟をつくるとりくみに挑戦しようではありませんか。
第七は、財政活動の抜本的強化であります。
全国の支持者・党員から中央に寄せていただいた総選挙募金は、新聞広告募金も含めて、1回の選挙の募金としては2000年代最高となりました。ご協力いただいた方々に中央委員会として心からの感謝を申し上げます。
総選挙をたたかい、財政の現状は、中央も地方党組織も、「4原則の財政活動」の一つひとつの抜本的強化を必要とする状況にあります。その根幹は、党費の強化であります。党費納入党員を増やし、「実収入の1%」の党費納入を徹底・定着させる努力を強めましょう。「しんぶん赤旗」の活動で対読者100%集金をやりきりましょう。そのうえで、三つの点を訴えたいと思います。
――一つは、「しんぶん赤旗」日刊紙の発行を全党の努力で支える意識的な努力を強めることであります。日刊紙は長期にわたって赤字の事業となっています。日刊紙読者を増やして黒字化する努力とともに、日曜版読者や『女性のひろば』など定期雑誌を増やし、日刊紙発行を党の機関紙誌発行事業全体で支え守っていく努力を呼びかけます。
――二つは、選挙財政の計画的な備蓄のための全党的努力を強めることです。参院選、統一地方選での躍進をかちとるための資金は、そのときだけの募金では間に合いません。計画的な備蓄が必要です。
――三つは、大会決定は、専従活動家は「全党の宝」であり、「現在に倍する専従者によって支えられる党機関をつくることが、綱領実現に不可欠」と訴えました。この方向にむかって前進するためには、財政面と人材の面の双方での裏付けが必要であります。中央・地方が一体となった努力をさらに強めることを、訴えたいと思います。
党大会決議は、次のように呼びかけています。
「5年後には、日本共産党は党創立100周年を迎える。
私たちは、いま、野党と市民の共闘によって、日本の政治を変えるという、かつて体験したことのない未踏の領域に足を踏み入れつつある。95年のたたかいを経てつかんだ成果、切り開いた到達点に立って、開始された新しい統一戦線を発展させ、安倍政権を倒し、野党連合政権に挑戦しよう」
私たちの挑戦は、まさに「かつて体験したことのない未踏の領域」への挑戦であります。そこには、新たな困難、新たな苦労もあります。しかし、それは歴史をひらく、苦労のしがいのある苦労ではないでしょうか。
全党の同志のみなさん。総選挙のたたかいから教訓と課題をつかみとり、党創立100周年にむけた5年間の最初の年――2018年を、2019年の二つの全国的政治戦――統一地方選挙と参議院選挙での新たな躍進を準備する実り多い年とするために、全力をあげようではありませんか。
中央役員のみなさんの討論によって、報告の提起が深められることを訴えて、幹部会を代表しての報告を終わります。