第6回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告
2022年8月2日
中央役員のみなさん、全国のみなさん、おはようございます。
私は、幹部会を代表して、第6回中央委員会総会への報告を行います。
まず、冒頭に、今回の参議院選挙で、日本共産党を支持してくださった有権者のみなさん、猛暑のなか大奮闘していただいた支持者、後援会員・サポーター、党員のみなさんに心からの感謝を申し上げます。
たたかいの先頭に立って大奮闘された比例代表と選挙区の候補者のみなさんに、熱い敬意と連帯のメッセージを送ります。
第6回中央委員会総会の任務は、参議院選挙のたたかいから総括と教訓をひきだすとともに、当面する内外情勢と日本共産党の政治的任務、党建設の抜本的前進と来年春の統一地方選挙で勝利・前進をめざす方針を明らかにすることにあります。
一、参議院選挙の総括と教訓について
まず参議院選挙の総括と教訓について報告します。
選挙戦の日本共産党の結果について
日本共産党は、選挙区選挙では、唯一の現職区だった東京選挙区で、山添拓候補の再選をかちとることができました。東京の党と後援会の大奮闘、全国からの支援によって、宝の議席を守り抜いたことは、大きな喜びであります。
沖縄選挙区で、「辺野古新基地容認・促進」を公言する自民党候補を破り、「オール沖縄」のイハ洋一候補の議席を守り抜くことができたことは、沖縄の前途にとっても、全国の共闘の発展を展望しても、重要な勝利となりました。
比例代表選挙で、日本共産党は、「650万票、10%以上、5議席絶対確保」を目標にたたかいましたが、得票は361万8千票、得票率6・82%、改選5議席から3議席への後退という、たいへんに残念な結果となりました。全国のみなさんの大奮闘を結果に結びつけることができなかったことについて、責任を深く痛感しています。
選挙後、党内外からたくさんのご意見、叱咤(しった)、激励をいただきました。全国の都道府県委員長、地区委員長、比例代表と選挙区の候補者のみなさんから、選挙戦をたたかってのアンケートを寄せていただきました。お寄せいただいたご意見に感謝しつつ、そのすべてを踏まえて総括と教訓について明らかにしていきたいと思います。
全国からのアンケートでの意見は、多岐にわたり、そのなかには宣伝活動など、中央の責任で行ったとりくみについてのさまざまな意見もあります。寄せられた一つひとつの意見は、最大限受け止めて、今後に生かすことをお約束したいと思います。
幹部会報告では、選挙戦の結果の根幹にかかわる政治的、組織的対応の中心的問題にしぼって総括と教訓を明らかにしていきたいと思います。
どういう情勢のもとでの選挙だったか、わが党はどう政治的に対応したか
なぜ比例代表での後退という残念な結果になったか。
まず、どういう客観的情勢のもとでの選挙だったか。情勢にわが党はどう政治的に対応したか。このことを明らかにしたいと思います。
昨年11月に開催した第4回中央委員会総会では、総選挙の結果に"政治対決の弁証法"という角度から深い分析をくわえ、参議院選挙を「総選挙比例票の416万票を起点に反転攻勢に転ずる選挙」にしていくことを誓いあいました。その後の情勢の展開は、たんたんとしたものではありませんでした。「二重の大逆流」との激烈なたたかいとなりました。
さらに強まった野党共闘と日本共産党への攻撃に正面から立ち向かう
野党共闘と日本共産党への攻撃は、総選挙後、さらに強まりました。支配勢力あげての「野党共闘は失敗した」、「共産党の綱領は現実離れ」、「共産党との共闘が失敗の原因」などのキャンペーンが行われました。これに対して、わが党は、党綱領の中心点を国民の疑問や関心にかみあって明らかにする「はてな」リーフを作成・活用して、正面から立ち向かい、綱領の立場を果敢に語り、積極的支持者を増やすとりくみを行いました。これは総選挙の教訓を踏まえた大きな積極的意義のあるたたかいでした。
市民と野党の共闘に対する攻撃に対して、わが党は、総選挙での共闘の成果と課題を明らかにしつつ、参議院選挙にむけて共闘を発展させるための努力を一貫して続けました。しかし参院選での共闘は、攻撃と妨害のなか、大幅な後退を余儀なくされました。全国32の1人区のうち野党が勝利した選挙区は、沖縄、長野、青森の3選挙区にとどまりました。自民党が比例代表で議席を減らしながらも、全体の議席を増やした要因、維新の会の伸長を許した要因は、主要には野党共闘の後退によるものです。参議院選挙は、自公政治を変える道は共闘しかない――共闘の重要性を逆の形で示すものとなったということを強調したいと思います。
ウクライナ侵略を契機とした大逆流に正面から立ち向かう
この大逆流に、2月24日、ロシア・プーチン政権が開始したウクライナ侵略を契機とした大逆流がくわわりました。ロシアの蛮行に乗じた日本共産党攻撃、憲法9条攻撃が荒れ狂い、軍事力大増強の大合唱が始まりました。一時期は、わが党の訴えへの冷たい反応が一挙に広がり、とりくみの足が止まるという状況が各地で起こりました。「折り入って作戦」などで協力をお願いしても、「今回の選挙では自分は入れるが、広げることはできません」などの反応が次々に寄せられるという状況が全国各地で生まれました。
この大逆流に対して、日本共産党は、節々での党の声明、4月7日に開催した参議院選挙勝利全国総決起集会への幹部会報告、4月19日に開催した参議院選挙予定候補者会議、4月29日に開かれた「大学人と日本共産党のつどい」、6月3日に開催した第5回中央委員会総会などで、党綱領の立場をふまえた理性的論陣をはってきました。その中心点は次の諸点にあります。5点ほどのべたいと思います。
――第一に、日本共産党は、この問題への対応の最大の基準に、国連憲章と国際法をすえ、それに照らしてロシアの無法を厳しく糾弾してきました。ロシアとウクライナを同列に置く「どっちもどっち」論を退けるとともに、バイデン米大統領などが唱えている「民主主義対専制主義のたたかい」などといった特定の「価値観」で世界を二分する軍事ブロック的対応を批判し、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」の一点での全世界の団結こそ、道理ある解決の道であることを主張してきました。
――第二に、核兵器使用の現実的危険が生まれるもとで、それを絶対に許さないこととともに、「核抑止論」がいよいよ無力になっていることを明らかにし、「核抑止論」の危険性・非人道性を厳しく批判してきました。核兵器の使用を止める唯一の保障は、全世界から核兵器を緊急に廃絶することしかないことを訴え、核兵器禁止条約への日本の参加を主張し続けてきました。
――第三に、「ロシアはもともとは共産主義ではないか」との攻撃や誤解に対して、「どんな国であれ覇権主義を許さない」という日本共産党の歴史と綱領の立場を語り、プーチン大統領の立場は、社会主義とも共産主義とも全く無縁であり、ヨーロッパに覇権をふるったロシア帝国の末裔(まつえい)にほかならないことを明らかにしていきました。
――第四に、ロシアの蛮行に乗じた「日米同盟の抑止力強化」「敵基地攻撃」「軍事費2倍化」「9条を変えろ」などの大合唱に正面から立ち向かう論陣を張りました。大軍拡と改憲の道が、「軍事対軍事」の悪循環をもたらす危険な道であること、暮らしを押しつぶす道であることを正面から批判しました。そして、その抜本的対案として、憲法9条を生かした外交で東アジアのすべての国を包み込む包摂的な平和の枠組みをつくる「外交ビジョン」を大いに語りぬきました。
――第五に、5中総では、ロシアの蛮行に乗じた大軍拡の動きへの根底的な批判として、NATO諸国とロシアの双方が軍事的対抗の悪循環に陥ってしまったヨーロッパにおける外交の失敗を解明し、「軍事対軍事」では平和はつくれないこと、わが党が「外交ビジョン」で提唱しているような包摂的な地域の集団安全保障の仕組みをつくることの重要性こそが、ヨーロッパの教訓であることを解明していきました。
大逆流に正面から立ち向かってわが党が提起してきたこれらの論点は、そのどれもが、日本共産党ならではの先駆的意義をもつものであり、そのどれもが、今日、世界と日本の平和にとって、いよいよ重要な意義をもつ論点になっていると考えます。
そして、日本共産党が、こうした論戦を展開することができた根本に、2020年の第28回党大会で一部改定した綱領の力――とくに綱領の世界論の力があったことを強調したいと思います。
全国のみなさんは、これらの論点をつかみ、自らの平和への熱い思いと重ねあわせて、宣伝でも対話でも大いに語り、大逆流と正面から立ち向かって大奮闘しました。こうして、わが党の論戦は、徐々に相手を追い詰め、論戦のリードをつくっていきました。国民世論に影響を与え、国民の共感を広げていきました。
「二重の大逆流」を全党の大奮闘によって押し返す過程での一断面
全国の都道府県・地区・候補者のみなさんから寄せられたアンケートでも、「二重の大逆流」を押し返すたたかいを行ったことへの確信が、たくさん語られています。埼玉県の荻原初男県委員長からは次のような報告が寄せられました。
「総選挙以来の大逆流に対して押し返すたたかいをすすめてきたという実感は強く持っています。ロシアのウクライナ侵略当初にたたかわれた県内の中間選挙で議席と得票を大きく減らし、参院選挙は一体どうなってしまうかという大きな不安を持ちながらたたかいましたが、攻勢的論戦を必死で学び、選挙本番では多くの党員が攻勢的訴えを展開するまでに至りました。すごい変化だと思っています」
また、国民生活を襲った物価高騰のもとで、日本共産党が、「弱肉強食の新自由主義を転換して『やさしく強い経済』をつくろう」と訴え、消費税の減税、政治の責任で賃上げをはかる、社会保障と教育の充実、気候危機打開、ジェンダー平等など、建設的で具体的な対案を、責任ある財源も示しつつ語ったことは、国民の願いにこたえたものであり、共感を広げたことが、全国から報告されています。
平和の問題でも、暮らしの問題でも、参議院選挙でわが党が行った政治的・政策的訴えは、全体として、世界の道理に立ち、国民の願いにこたえたものであり、訴えが伝わったところで共感を広げたことは、間違いないのではないでしょうか。
参議院選挙で得た361万8千票は、たいへんに残念な後退ですが、これを総選挙票からの単純な後退と見るべきではありません。「二重の大逆流」によって、総選挙の到達点よりもさらに大きく押し込まれた地点から、全党の大奮闘によって押し返す過程での一断面ととらえるべきではないでしょうか。
4中総では、総選挙の結果を"政治対決の弁証法"の見地からとらえましたが、この弁証法は、この半年間余も、より激烈な形で展開し、大逆流と正面から格闘する過程での一断面として、今回の結果をとらえるべきだと考えるものです。
何よりも、この半年余を振り返って、私が強い感動を覚えるのは、全党の支部と党員のみなさんが、後援会員や支持者のみなさんとともに、「二重の大逆流」に勇気をもって正面から立ち向かう大奮闘をされたことであります。これは、時流に決して屈しない、流されない、日本共産党ならではの不屈性が発揮されたものであり、私は、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思うのであります。
中央の指導的イニシアチブの弱点――「折り入って作戦」について
同時に、「二重の大逆流」を押し返しつつありましたが、押し返し切れなかったことも事実であります。広い有権者に、わが党の政治的な訴えが伝え切れなかった、わが党の主体的活動が大きく遅れ、やるべきことをやりきれなかったことへの痛恨の思いは、全国から寄せられたアンケートで共通して語られています。
全国のみなさんが、逆流と困難のもとでも、懸命の奮闘をされました。それを結果に実らせることができなかったことについて、7月11日に発表した常任幹部会の声明では、自らの指導責任の問題として二つの点をのべました。幹部会報告では、この点をさらにふみこんでのべたいと思います。
参議院選挙の活動の到達点と、中央のイニシアチブの問題
第一は、「勝利に必要な規模と速度に運動を広げ切るうえでの指導的イニシアチブを十分に果たせなかった」ということです。
参議院選挙の活動の最終の到達点は、対話は860万人、支持拡大は650万人、「折り入って作戦」で働きかけた人は96万人にとどまりました。総選挙の最終の到達点と比較しても、対話で83%、支持拡大で88%、「折り入って作戦」で働きかけた人は78%であります。
この根本には、党の自力の問題がありますが、同時に、いまの自力であっても遅れを打開するために知恵をしぼり、力をつくしたか。この点で中央のイニシアチブが十分に果たせなかったことは、大きな反省点であります。
「折り入って作戦」の決定的意義を全党のみなさんに伝えていく活動に弱さが
とくに「折り入って作戦」のとりくみが、個々にはすぐれた経験もつくられましたが、全体として昨年の総選挙と比べても十分にとりくめなかったことが報告されています。ここには、中央の指導的イニシアチブの問題がありました。
その一つは、「折り入って作戦」とはそもそもどういうとりくみか、その意義がどこにあるのかについて、全党にしっかりと伝えていくとりくみの弱さです。
「折り入って作戦」とは、"後援会員、支持者、読者に「折り入って」と協力を率直にお願いし、ともにたたかう選挙"にしていくということです。それは、現在の自力のもとでも勝利をつかむうえでのカナメをなす活動として、また、「国民とともに政治を変える」という党綱領路線にもとづく選挙活動の大道に立った方針として、昨年の都議選、総選挙のとりくみから重要な教訓として導き出したものです。その決定的な意義を、全党のみなさんにしっかり伝えていく中央としての活動に弱さがありました。
この運動のもつ大きな可能性をイメージ豊かに伝えていくとりくみの弱さ
いま一つは、このとりくみが、たいへん立ち遅れたにもかかわらず、どうすれば打開できるのかを、全国のすぐれた経験に学びながら、現場が苦労していることにも心を寄せて明らかにし、この運動のもつ大きな可能性をイメージ豊かに伝えていくためのとりくみの弱さであります。
選挙後寄せられた全国からのアンケートでは、「折り入って作戦」のすぐれた経験が報告されています。京都府の伏見地区の鈴木貴之委員長からは、次のような報告が寄せられました。
「『折り入って作戦』を今回の選挙戦で3~4回と繰り返し行い、直接訪問を支部が行うことを重視しました。対話を通じて党勢拡大に結び付き日刊紙、日曜版で連続前進につながりました。5月~7月『折り入って作戦』と『集い』を繰り返す中で6支部7人の入党者、そのうち50代以下5人を迎えることができました。繰り返し『折り入って作戦』を行うことで、『積極的支持者』をつくることができたことは大きい。選挙最終盤、選挙後も『はがきをもらい、勇気が出た。私も10人に訴えた』『家族にも広げた』『投票所に連れていった』などの多くの反応が出されました」
ここには「折り入って作戦」を、「"気軽に""率直に""何度でも"を合言葉」(5中総決定)にとりくむことがいかに大きな力を発揮するかが、生きた形で示されています。直接訪問して対話すること、「集い」を繰り返し開いて結びつきを広げることの重要性が語られています。中央として、こうしたすぐれた経験を全党にかえすために、交流会を開催することなど、さまざまな努力が必要だったと痛感しています。
中央のイニシアチブの弱さともあいまって、「折り入って作戦」によって多くの協力者を広げながらたたかう選挙にしきれなかったことは大きな反省点であります。この教訓を、当面する統一地方選挙勝利をめざす活動に、ただちに生かしていく決意を申し上げたいと思います。
質量ともに強い党をつくる――「党大会第二決議」にたちかえり、全党が実践を
第二は、より根本にある「自力をつけるとりくみ」の問題――質量ともに強い党をつくるとりくみの問題であります。
党員拡大のとりくみでは、第28回党大会後の2年6カ月で、日本共産党は9300人の新しい同志を党に迎えました。激動の情勢のもとで新しく党にくわわったみなさんに、第6回中央委員会総会として心からの歓迎のあいさつを送ります。
同時に、入党運動の規模は、全国で、月平均、300人余です。毎月、現勢で前進するためには1千人前後の入党が必要です。党員の現勢は、党大会時比で1万4千人余の後退となっています。「しんぶん赤旗」読者は、党大会以来、日刊紙で1万2千人弱の後退、日曜版で5万2千人余の後退、電子版で2千人余の前進となっています。
党員でも、読者でも、後退から前進に転ずることができないもとで選挙をたたかったことが、参院選での悔しい後退の根本にあることは、全党のみなさんが共通して強く実感されておられることだと思います。全国から寄せられたアンケートでも、党づくりの困難な現状、実態が報告されるとともに、この弱点を何としても打開したいという思いにあふれているのが最大の特徴であります。
「第二決議」にそった活動方向に党建設前進の展望を見いだしている報告が
それでは、党建設の弱点をどうやって打開していくか。私たちは打開の方針をもっています。それは、第28回党大会の「第二決議(党建設)」であります。この方針の重要性を、全国から寄せられたアンケートを読んで、あらためて強く実感しました。
全党の経験と英知を結集してつくりあげた「第二決議」には、法則的な党建設の方向が、全面的に明らかにされています。どの内容も重要ですが、党づくりの方針として冒頭に強調されているのは、「変化する国民、新しい運動、新しい層に目を向け、足を踏み出そう」――党員がもっている結びつきに光をあて、新しい結びつきを広げ、党としての結びつきに発展させるということであります。次に強調されているのは、「一人ひとりの党員の初心と可能性が生きる党になろう」――「ともに学び、ともに成長する姿勢で、入党を働きかける」、「『楽しく元気の出る支部会議』の努力を発展させる」ということであります。これらには「第二決議」の「根本精神」ともいうべき内容が込められています。
全国からのアンケートでも、こうした「第二決議」の「根本精神」にそった活動方向に、展望を見いだしているという報告が寄せられていることは、重要であります。大阪府の枚方・交野地区の折口勲地区委員長は、次のような報告を寄せています。
「強く大きな党をつくるうえで大切だと考えることは二つあります。一つは、一人ひとりの党員がもっている結びつきや支部がすすめている要求運動に光をあてることです。参院選の活動でも、支持拡大目標を突破した支部がいくつかありました。そうした支部に共通している点は、『マイ名簿』による支持拡大、党員が結びついた方への『折り入って作戦』でした。どんな党員でも、社会でいろいろな人と結びつきをもっています。その結びつきに光をあて、党への結びつきへと発展させることができれば支持拡大だけでなく、党づくりの大きな力にすることができると考えています。
もう一つは、党員の結びつきを党への結びつきに発展させる力を引き出すうえで、支部会議や支部活動を楽しいものにしていくことが重要だと思います。『学ぶ』こととともに、『重い荷を背負った活動』と受け止められるような活動でなく、党員同志のリスペクトを大切にし、お互い励ましあい、協力しあう人間関係をつくることが大事と思います」
ここで述べられていることは、「第二決議」の「根本精神」そのものであり、この立場で党建設を前進させていこうという決意であります。
中央のとりくみに弱さがあった――具体化・実践の先頭に立つ決意
こうした大きな生命力をもった決定であるにもかかわらず、党員の読了は4割弱にとどまっています。市田副委員長が、この間、全国13カ所で、「党大会第二決議に立った党づくりのための学習交流集会」に参加して講演と質疑を行い、たいへんに好評です。多くの参加した同志から「初めて聞いた」「目からうろこが落ちた」という感想が寄せられています。市田さんは、「初めての話ではありません。みんな第二決議に書いてあることです」といいますと、びっくりされると聞きました。
そういう力をもった決定が、まだ十分につかいこなされていません。中央のとりくみも、「第二決議」を中心にすえ、その内容を全党のものにし、具体化・実践を系統的に推進するという点で、弱かったといわねばなりません。
幹部会は、参院選の悔しい結果をふまえ、「質量ともに強い党」をつくるために、「党大会第二決議」の具体化・実践の先頭に立つ決意を表明するものです。この決定を全党員が読み、みんなで実践にとりくむことを強く訴えるものであります。
青年・学生の大奮闘、選挙ボランティアの広がり――党づくりの大きな可能性を示す
「第二決議」とのかかわりで、参院選のたたかいのなかで、今後の党づくりの大きな可能性を示す、重要なとりくみが生まれていることを報告したいと思います。
一つは、青年・学生、民青同盟が、参院選で大奮闘し、全党を励ましたことです。埼玉県からは、食料支援のとりくみを通じて民青同盟員を迎え、参院選では青年がたたかいの先頭に立った経験が報告されました。政党カー「ミライ・ワゴン」を青年自身が運行し、駅頭などで対話し支持を訴え、1千人以上の人たちと対話し、10人の民青同盟員を迎えています。高知県でも、青年学生選挙チームに25人ほどの青年が結集し、SNS、青年キャラバンなどに旺盛にとりくんだことが全党を励まし、無党派層への支持を広げました。
全国的にも、この2年間、民青同盟が、新型コロナ危機のもとで、47都道府県のすべてで学生への食料支援にとりくみ、のべ13万人の学生に支援を届けるという、マスメディアも注目する活動をすすめてきました。2年連続で「学生オンラインゼミ」にとりくみ、綱領と科学的社会主義の学習に活動の7割、8割をあてながら、民青班の活動を強化してきました。これらを力に、昨年は、2006年以来の年間1300人に迫る民青同盟員の拡大をすすめ、さらに今年は、昨年を上回る速度で前進を切り開いています。参議院選挙で、7割を超える民青班が「日本共産党と一緒に政治を変えよう決議」をあげて、班ぐるみで党躍進をめざす活動に参加したことが、全党の大きな希望になっています。民青同盟の大奮闘は、昨日の幹部会会議でも、全国からたくさん報告されました。若い世代の中で生まれている希望ある流れに、党としても大いに学ぼうではありませんか。
いま一つは、市民、サポーターによる選挙ボランティアの画期的な広がりです。JCPサポーターとして選挙ボランティアの呼びかけを重視し、HP(ホームページ)からポスティングや電話かけなどのボランティアに簡単に登録できるようにし、SNSでも各都道府県事務所でボランティアを募集していることを告知しました。サポーターHPを通じたボランティアは、32都道府県228人にのぼり、そのうち20代~30代が5割と、端緒的ですが、若い自発的な党支持拡大の流れがつくられました。各都道府県でも、東京、神奈川、愛知、大阪などで、若い世代を中心としたボランティアのみなさんが、大きな役割を果たしました。
ボランティアに駆け付けた市民の動機としては、弱者に寄り添う党の政治姿勢への共感、平和を壊す「翼賛体制」への危機感、野党共闘への思い、平和・憲法・民主主義への熱い願いなどがあります。市民と対話する双方向の活動を通じて、「市民の声を聞き、政治に届け、社会を変える」という党の政治姿勢に共感したという声も寄せられました。
「党大会第二決議」では、「新しい運動、新しい層のとりくみに、思い切って参加する」ことを呼びかけましたが、参院選におけるボランティアのみなさんとの協力は、「質量ともに強い党をつくる」うえでの大きな可能性を示すものではないでしょうか。
世代的継承の前進へ――系統的なイニシアチブ発揮を教訓としたい
この間の「党大会第二決議」にもとづく党中央のとりくみで、今後の教訓にしたいのは、党の現在と未来にとっての死活的課題となっている世代的継承について、どんなことがあってもとりくみを中断させず、うまずたゆまずこの事業を前進させるために、系統的なイニシアチブを発揮していくことの重要性であります。
この点で、中央の専門部の活動として、党大会後、前向きの変化をつくってきた青年・学生分野では、節々で青年・学生の担当者の会議を系統的に開催して、経験と教訓を学びあうなど、どんな条件のもとでもとりくみを中断させない中央の系統的なイニシアチブの発揮がありました。
労働者・職場分野では中央の専門部の系統的なイニシアチブに弱点があったことを率直に反省し、この分野でも中央の努力を強め、担当者会議や決起集会などにとりくんだことが、全国から評価され、歓迎されています。
こうした教訓を踏まえ、中央として、世代的継承の3分野――青年・学生、職場、真ん中世代での系統的なイニシアチブを絶対に中断させず、全党の先頭に立って党の未来をきりひらくために奮闘する決意を表明するものであります。
東京、沖縄、高知――全党の行く手を照らす素晴らしい教訓を学ぶ
参議院選挙は、全体としては悔しい後退を喫しましたが、そのなかでも今後の全党の行く手を照らす素晴らしいとりくみが生まれました。最後にその教訓について報告したいと思います。
東京選挙区の勝利――「三つの確信」、「都議選3連勝」がつくった政治的流れ
まず選挙区で唯一の現職区だった東京選挙区での山添拓候補の勝利であります。山添候補は、得票68万5224票、得票率10・9%を獲得して第3位で当選、無党派層の中では最も多くの得票を獲得しての勝利となりました。東京都の田辺良彦都委員長からは、「三つの点が確信になっている」との報告が寄せられています。
第一は、候補者の実績と奮闘、「議席の値打ち」が都民の心をとらえたことであります。山添候補の国会質問の動画に対して広い層から大きな注目と支持が集まりました。自主的に質疑の核心をシャープにコンパクトに編集し続けてくれた方々の努力が大きな力となりました。
第二は、正確な情勢判断にもとづく党と支持者の結束した猛奮闘であります。東京都委員会は、6月30日朝、緊急の地区委員長会議を開催し、「山添候補は最後の1議席を僅差で争う大激戦。絶対に失うわけにはいかない宝の議席、必ず守り抜くために、支持の輪を3人、5人、10人と広げてください」と打ち出しました。この提起は、党内外に衝撃をあたえ、都党組織の強固な結束と、巨大なエネルギーを引き出し、党外からも支援が急速に広がりました。NHKの開票日の報道のなかで、期日前投票の7回の出口調査の結果がグラフで紹介されましたが、最初は「団子状態」の一人だった山添候補が、終盤の2回の調査ではトップになりました。都党組織と支持者のみなさんの必死の奮闘が、最終盤に3位まで急浮上させたのであります。ここにこそ、勝利の最大の教訓があることを、昨日の幹部会で、田辺同志が重ねて強調したことを、報告しておきたいと思います。
第三は、新しいボランティアなどのみなさんの熱意あるとりくみと、それを受け止める党の側の努力であります。山添事務所には、のべ745人、各地区にも10人前後のボランティアがかけつけました。その熱量は猛烈であり、「当選のために何をしたらいいのか」と迫ってくる状況でした。それを受け止めるには党の側にも努力が必要ですが、ボランティアのみなさんの熱意を生かすことができました。
これらの教訓にくわえて、私は、昨年7月の都議選で日本共産党が19議席を獲得し、「都議選3連勝」をかちとったこと、それに続く総選挙での東京での比例代表の得票数・得票率の増加と野党共闘の成功など、首都の党組織の一貫した奮闘によって、日本共産党が東京において確固たる政治的存在感をもっていることが、今回の勝利の根本にあったことを強調したいと思います。こうした政治的流れをつくりだしてきたことが、「二重の大逆流」のもとで、山添候補の勝利をかちとる大きな土台となりました。東京でのこうした政治的流れをつくるうえで、昨年の都議選において、全国のみなさんが東京のたたかいを「わがたたかい」として支援したことが、大きな貢献となったことを、私は、感謝の気持ちとともに強調したいと思います。
沖縄選挙区の勝利――"辺野古新基地押し付け"の「正面突破」をはね返した
沖縄選挙区で、「オール沖縄」のイハ洋一候補が、得票27万4235票、得票率46・9%を獲得して、自公候補を打ち破り、議席を守り抜いたことは、沖縄の今後のたたかい、全国の共闘の発展を展望しても、その意義はきわめて大きなものがあります。
今回の勝利の大きな意義は、岸田自公政権が、初めて「辺野古基地容認・促進」を公約に掲げる候補者を擁立し、権力のもつあらゆる力を総動員して、「オール沖縄」をつぶすための「正面突破」をはかってきたことに対して、それを県民とともに堂々とはね返して勝利をかちとったことにあります。辺野古新基地建設反対の沖縄県民の民意を明瞭に示した審判として、この勝利も、全党の確信とし、喜びとしたいと思います。
勝利の決定的な政治的要因となったのは、ロシアの蛮行に乗じた大軍拡の大合唱のもとで、「沖縄を戦場(いくさば)にするな」という危機感が県民のなかに急速に広がり、有権者が立ち上がっていったことにありました。
この勝利をかちとるうえで、日本共産党の果たした貢献はきわめて大きなものがありました。党は、攻勢的な政治論戦をすすめるうえで積極的役割を果たすとともに、「オール沖縄」の結束のために力をつくし、宣伝戦でも組織戦でも重要な役割を果たしました。沖縄のみなさんの不屈のがんばりに心からのエールを送りたいと思います。
高知の大健闘と躍進――共闘に誠実にとりくんできた政治姿勢が評価された
高知県での選挙区の大健闘と比例代表の躍進も特筆すべき重要な成果であります。松本けんじ候補が、高知・徳島選挙区で、事実上の市民と野党の共同候補として大健闘するもとで、高知県での日本共産党の比例得票は3万7855票、得票率は14・02%と、昨年の総選挙からどちらも大きく増やし、自民党につぐ県内第2党に躍進しました。得票率14・02%は、全国の都道府県のなかで第1位であります。
その最大の教訓は、日本共産党が市民と野党の共闘に一貫して誠実にとりくんできた政治姿勢が、県民から高く評価されたことにあります。日本共産党は、昨年の総選挙では、高知県では1区、2区とも候補者を立てず、共闘勝利のために献身的なとりくみを行いました。そのことが、参院選での大健闘――比例の躍進につながっていきました。
党公認の松本候補を共同候補に押し上げることができた一因は、県内野党のなかで日本共産党の草の根の力が抜きんでていることにあります。高知県では、総選挙後、中間地方選挙のすべてで勝利して議席を増やし、党地方議員は55人と県内第1党の地歩を築いてきました。この力があったからこそ、野党共闘でイニシアチブを発揮し、比例代表での躍進をかちとることができたのであります。
東京、沖縄、高知の大奮闘は、それぞれ素晴らしい教訓があります。全国のみなさん。この教訓を全党のものにし、次のたたかいにのぞもうではありませんか。
二、内外情勢と日本共産党の任務について
次に内外情勢と日本共産党の任務について報告します。
岸田政権に正面から対決し、平和・暮らし・民主主義で希望ある日本を
内外情勢に立ち向かう基本的観点――攻めに攻めて、政治を変える国民的流れを
内外情勢に立ち向かう基本的観点として、二つの点が重要であります。
第一は、日本共産党が参院選で公約で掲げたことが、そのまま国政の熱い争点になっているということです。
岸田政権が改憲の発議を急ごうとし、軍事費を大増額しようとするなかで、大軍拡と9条改憲を許すのか、9条を生かした外交で東アジアに平和をつくるのか――戦争か平和かをめぐる対決は、いっそう激しくなっています。物価高騰がいよいよ深刻になるもとで、暮らしと営業を守る政治の責任が厳しく問われています。気候危機と原発問題、ジェンダー平等も、国政の大きな対決点になっています。
第二に重要なことは、岸田政権は、参院選で多数を得たものの、さまざまな分野で深刻な行き詰まりと危機に直面しているということです。
岸田政権が、平和と憲法を壊す政治を具体化しようとすれば、具体化の一歩一歩が国民との激しい矛盾を広げざるをえません。また、この政権は、外交でも、経済でも、日本が直面する深刻な問題を打開する責任ある方策を何一つ持っていません。さらに、安倍元首相の「国葬」の強行、反社会的カルト集団・旧統一協会と自民党などとの癒着は、国民の強い批判の新たな集中点となっています。
こうした情勢のもと、日本共産党は、岸田政権と正面から対決し、参院選で訴えた責任ある対案を高く掲げて、あらゆる分野で国民要求にこたえた活動にとりくみ、国民的運動と共同を広げるために奮闘します。全国のみなさん。大いに意気高く、攻めに攻めて、政治を変える太い国民的な流れをつくろうではありませんか。
新型コロナ「第7波」から命を守るとりくみ
新型コロナ「第7波」から命を守るとりくみについて報告します。
新型コロナは、さらに感染力の強い変異株への置き換わりの影響もあり、急激な感染拡大の「第7波」が起こり、医療・介護・保健所などの現場はきわめて深刻な危機的状況に陥っています。新しい感染拡大に対する備えを怠ってきた政府の責任は重大であります。
政府は、感染拡大の「第6波」で、救急搬送困難事例は過去最多、死者数も1万人超という最悪の事態を招いたことを直視し、なりゆきまかせの対応への根本的反省のうえに、国民の命を守る政治の責任を真剣に果たすべきであります。
日本共産党国会議員団は、7月22日、岸田首相あてに、「新型コロナ感染症『第7波』から、国民のいのちを守るための緊急要請」を提起しました。政府に対し、現在の変異株に対する根拠のない過小評価にくみすることなく、自治体まかせ、個人まかせでなく、政府の責任で、変異株の特性を踏まえたパッケージでの感染症対策を早急に示し、検査、医療、保健所、ワクチンなどの体制を抜本的に強化することを強く求めます。国会議員団と地方議員団が連携して、全国のすみずみで、緊急要請の方向で国民の命を守るために力をつくすことを、強く訴えるものであります。
「戦争させない、9条変えるな」――この一点でゆるがない国民的多数派を
大軍拡に反対し、憲法9条を守り生かすたたかいについて報告します。
岸田首相は、参院選後、改憲に向けた「民意」が示されたなどとのべ、「できる限り早く(憲法改定の)発議に至るとりくみを進めていく」と宣言しました。参院選の結果、衆参両院で、自民党、公明党、維新の会、国民民主党など軍拡と改憲を推進する「翼賛勢力」が3分の2以上となっています。自民党はかねてから9条改憲の野望を追求してきましたが、その現実的な危険は、戦後もっとも重大になっているといわなければなりません。
同時に、このくわだては重大な矛盾をかかえています。何よりも強調したいのは、国民世論との矛盾であります。参院選で、岸田政権は、改憲の「信認」を得たわけでは決してありません。それは一連の世論調査で、参院選で最も重視した政策課題に「憲法改定」をあげた人がごく少数だったことからも明らかではありませんか。
さらに、年末にかけて、「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の改定が予定され、来年度予算案の編成が行われます。この過程で、政府がこれまで明確な説明をせずにごまかし続けてきた諸問題――「敵基地攻撃能力(反撃能力)保有」をどうするのか、軍事費を5年以内にGDP(国内総生産)比で2%以上に増額する大軍拡予算をその財源も含めてどう具体化するのかが、いやおうなしに問われてきます。大軍拡が暮らしを押しつぶすことが、誰の目にも明らかになってくるでしょう。大軍拡路線は、その具体化の一歩一歩で深刻な矛盾が噴き出してくるでしょう。
岸田政権はなぜ9条改憲を急ぐのか。それはいまこの政権がやろうとしていることが、憲法9条との関係でいよいよ説明がつかなくなっているからであります。
政府は、これまで、憲法9条のもとでは、「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」ということを国防の「基本方針」としてきました。ところが、「軍事費2倍」となれば、日本の軍事費は世界第3位となります。これは「他国に脅威を与える軍事大国」そのものではありませんか。
さらに、岸田政権は、安保法制で集団的自衛権を行使するさいにも「敵基地攻撃」はできるとの答弁書を決定しています。そうなると、日本が攻撃されていないのに、米軍が海外で武力行使を始めたら、集団的自衛権を発動して、自衛隊が米軍とともに「敵基地攻撃」で相手国に攻め込むことになります。その結果、日本に重大な報復攻撃を呼び込むことになります。これは「専守防衛」ではまったく説明できない話ではありませんか。
こうして、岸田政権がいま進もうとしている道が、戦争を放棄した憲法9条といよいよ両立しえないものとなっていることは、あまりにも明瞭です。だからこそ改憲勢力は、執念をもって9条を亡きものにしようとしているのであります。
いまたくらまれている9条に自衛隊を明記する改憲の動きは、改憲派が主張しているように「存在する自衛隊をただ書き込む」だけでは決してありません。それは9条、とりわけ9条2項を空文化し、自衛隊の海外での武力行使の一切の歯止めを取り払い、武力行使の完全自由化をめざすものであることを、強く告発しなくてはなりません。
日本共産党は、国民のみなさんに心から訴えます。平和を壊し、暮らしを押しつぶす大軍拡の道を断固として止めようではありませんか。「戦争させない、9条変えるな」――この一点で、ゆるがない国民的多数派をつくろうではありませんか。改憲勢力による9条改憲の発議を、国民の世論と運動の力で未然に阻止するために、政治的立場の違いを超えて力をあわせようではありませんか。
日本共産党は、大軍拡と9条改憲のくわだてに厳しく反対を貫くことと一体に、私たちの抜本的対案――9条を生かして東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」をさらに広く明らかにし、その実行を求めていきます。野党外交にとりくみ、「外交ビジョン」をさらに豊かなものにしていく努力をはらいます。
日本共産党は、参議院選挙のたたかいで、ロシアの蛮行に乗じた大軍拡と改憲の大逆流に正面から対決し、大逆流を押し返す奮闘を行いました。しかし、このたたかいの決着はついていません。その決着は、これからのたたかいにかかっています。いよいよこれからが、たたかいの正念場なのであります。
全国のみなさん。党をつくって100年、反戦平和を貫いてきた日本共産党の真価を発揮し、国民的なたたかいによって平和を壊す大逆流は許さないという決着をつけるべく奮闘しようではありませんか。
物価高騰から暮らしを守る――公約実現のたたかいをすすめよう
物価高騰から暮らしを守るたたかいについて報告します。
物価高騰がいっそう深刻になっています。その大きな原因は、アベノミクスの「異次元の金融緩和」がもたらした異常円安にあります。為替の影響だけでも輸入品価格は昨年に比べて2割も高騰しました。ところが、岸田政権は、アベノミクスの「3本の矢の枠組みを堅持する」と、異常な金融緩和を続けることを宣言し、「打つ手なし」の行き詰まりに陥っています。もはや「異次元の金融緩和」の破綻は、誰の目にも明らかであります。わが党は、金融頼みの政策をやめ、実体経済を良くすることを最優先にすえた経済政策への転換をはかることを、強く求めるものであります。
その具体的な内容は、日本共産党が参院選で訴えた経済政策――弱肉強食の新自由主義から転換して「やさしく強い経済」をつくることにあります。わが党は、①消費税の5%への減税とインボイスの中止、②政治の責任で「賃金が上がる国」にする、③社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実させる、④気候危機打開の本気のとりくみ、⑤ジェンダー平等の視点をつらぬく――五つの大改革にとりくむことを公約に掲げてたたかいました。農業分野では、高騰する肥料・飼料代の差額を補填(ほてん)すること、水田活用交付金削減の中止などの緊急課題を訴え、食料自給率向上に責任を負う農政への抜本的な転換を訴えました。これらのどれもが、いよいよ緊急で切実な課題となっています。選挙戦で訴えた公約の一つひとつを実現するために奮闘する決意を、この機会に固めあおうではありませんか。
そのうえで、物価高騰から暮らしと営業を守るうえで、いくつかの点を強調したいと思います。
――消費税減税とインボイスの中止......消費税減税とインボイスの中止は、いよいよ待ったなしの課題になっています。政府の物価対策は、石油元売り会社への補助金や節電ポイントの付与といった、ごく一部への小手先の対策しかなく、家計を守るうえではまったく無力です。物価高騰から暮らしと営業を守るうえで最も効果的な対策――消費税5%への減税の実行を迫るたたかいを進めようではありませんか。
消費税に関する党の政策に対して、「なぜ消費税廃止でなくて5%への減税なのか」という質問が寄せられています。日本共産党は、消費税創設以来、一貫してこの税に反対してきた唯一の政党であり、消費税廃止を目標にする立場を貫いています。ただ、消費税をなくすためには、それに代わる財源をどうするのか、税制全体をどう変えていくのかも含めて、責任ある具体策が必要であり、33年かけて3%から10%に引き上げられてきたものを元に戻すためには、一定の期間が必要となります。
わが党は、その第一歩として、5%への緊急減税を求めていますが、そのさい消費税減税を含めた暮らしを良くする政策を、富裕層と大企業への応分の負担など格差拡大を是正する税制改革をはじめとした「19兆円」の財源論とセットで提案しています。消費税減税を責任ある財源論とセットで提案しているのは日本共産党だけであり、この立場を貫いてこそ、減税論が説得力をもち、実現への道が開かれることを強調したいと思います。
――賃上げを政治の責任と労働者・国民のたたかいで......働く人の賃上げを、政治の責任と労働者・国民のたたかいで実現するために力をつくします。岸田首相は、「この春、賃金が2%も上がっている」と繰り返していますが、物価上昇は賃金上昇を上回っており、実際に政府統計でも実質賃金はマイナスが続いています。そのことの自覚がないことこそ大問題であります。
中小企業支援と一体に最低賃金を時給1500円に引き上げるたたかいに力をつくしましょう。1500円になれば、1日8時間働いて、週休2日で、手取りで20万円にはなります。2300万人、非正規雇用労働者だけでなく、正社員も含めて、民間労働者の44%の賃上げになります。それ以外の労働者にも賃上げ効果がはたらき、働く人の暮らし、日本経済を良くする計り知れない力となります。
日本共産党は大企業の内部留保への時限的課税によって、大企業で働く人の賃上げとグリーン投資を促進するとともに、10兆円の税収を確保して中小企業の賃上げを支援することを提案してきましたが、この提案の意義はいよいよ重要になっています。
物価高騰とコロナ危機で国民が苦しむ一方、大企業は史上最高益を記録する企業が続出し、21年度決算では内部留保がさらに10兆円規模で増える可能性が高くなっています。本来、こうした内部留保は賃上げなどに活用されるべきですが、大企業が自ら進んで賃上げをしようとすることは期待できません。賃上げが日本経済再生のカギであることは誰もが認めることであり、大企業の内部留保の活用の意義も誰もが認めることです。ならば、日本共産党の提案を真剣に検討すべきであります。政府は、わが党の提案を拒否するというなら、対案を示すべきではないでしょうか。政治的立場の違いを超えた共同を強め、実現への道をこじあけようではありませんか。
――中小企業の経営を守るたたかい......日本経済の土台を支えてきた中小企業が、コロナ危機と物価高騰によるダブルパンチを受け、大きな逆風にさらされています。消費税減税・インボイスの中止は、最も力強い中小企業支援策になりますが、同時に、中小企業の過剰債務問題――コロナ危機のもとで積みあがっている債務の返済に行き詰まる企業が増えるという事態が深刻になっており、早急に国が責任をもった支援を行うことが必要になっています。
コロナ危機の長期化の下、最長3年間、実質無利子・無担保で借りられるコロナ融資――「ゼロゼロ融資」が活用され、その額は21年度末時点で55兆円に達し、今後、本格的な返済が迫られます。しかし、コロナ危機が継続しているうえに、物価高騰が中小企業に襲いかかってきており、返済に窮し、倒産に追い込まれる中小企業が急増することが強く危惧されます。そのときに、国として、債務の軽減・免除・返済猶予などに必要な財政的支援をまったく行っていないことは重大な問題です。
日本共産党は、支援制度の継続・拡充とともに、早急に、国として、中小企業の過剰債務を軽減・免除する仕組みをつくることを、強く求めてたたかうものです。
気候危機打開、原発再稼働に反対するたたかい――地域からの運動を重視して
気候危機打開、原発再稼働に反対するたたかいについて報告します。
世界各地で、記録的熱波、山火事、干ばつ、氷河崩落などの事態が次々に起こっています。日本でも異常な高温と水害が発生し、深刻な被害が出ています。気候危機の打開は、人類と地球にとっていよいよ待ったなしの緊急課題となっています。
日本共産党は、昨年9月に、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表し、2030年度までに二酸化炭素を最大60%削減する具体的提案を行ってきました。気候危機打開を願うさまざまな市民運動との共同を広げつつ、この人類的課題に全力をあげてとりくむことを、この総会の強い意思として確認したいと思います。
そのさい、地方自治体からのとりくみを重視して位置づけます。昨年の地球温暖化対策推進法の改正により、各自治体の領域での温室効果ガス削減計画の策定が迫られています。わが党の「2030戦略」は、地域と住民の力に依拠した再生可能エネルギーの普及、ソーラーシェアリングなど脱炭素と結びついた農業・林業の振興、自治体でゼロエミッションを進めるなど、地域からこのとりくみを進めるという視点を貫いたものとなっています。広範な住民、市民、事業者、自治体の共同で、地域から気候危機打開の運動を発展させるために力をつくそうではありませんか。
岸田政権は、「電力不足」を口実に、原発を最大9基稼働させる方針を打ち出しました。これは福島の現実をないがしろにした許しがたいものであります。原発の大事故はいまだに続いています。多くの方々が故郷に戻れず苦しい避難生活を余儀なくされています。放射能汚染水は日々増加を続けています。溶け落ちた核燃料の回収ができず廃炉の見通しもたっていません。
東京地裁は、東京電力旧経営陣に13兆円を超える損害賠償の支払いを命じた判決のなかで、原発事故は、「我が国そのものの崩壊につながりかねない」と、その異質の危険性に強い警鐘を鳴らしました。原発への固執は、再生可能エネルギーの大規模普及にとっても大きな障害になっています。
全国のみなさん。福島の大事故などなかったかのように、新たな「安全神話」をふりまき、原発再稼働を強行するくわだてに対して、断固反対を貫いてたたかおうではありませんか。
ジェンダー平等――賃金格差是正、反動的逆流とのたたかいの重要性
ジェンダー平等の日本をつくるたたかいについて報告します。
この間、政府が、男女賃金格差の情報開示の方針に踏み切ったことは、働く女性・労働者の長年の運動と、わが党の国会論戦が、政治を一歩動かした大きな成果であります。企業に格差の実態が正確にわかる情報開示を求めるとともに、是正計画の策定と公表を義務づけ、政府が監督・奨励するなどの推進体制を構築し、女性活躍推進法の抜本改正などの法整備を行い、格差ゼロが実現するまでとりくみを強めていきます。
選挙戦を通じて、自民党の根深い差別体質、個人の尊厳とジェンダー平等への敵視があからさまに示されました。自民党議員が会員約260人の大半を占める神道政治連盟国会議員懇談会で配布された「冊子」は、同性愛について、すでに科学的に否定された許しがたい差別的言説をふりまくものであり、厳しい批判が起こったことは当然であります。反社会的カルト集団・旧統一協会が、自民党との癒着のなかで、ジェンダー平等への激しい妨害を行ってきたことが明らかにされています。
これらの極右的なネットワークの根本にあるのは女性蔑視の思想であり、個人の生き方、家族のあり方という、国民一人ひとりの自由な意思にゆだねられるべき問題を、根本から、国家の思うがままの鋳型にはめ込みたい、国家のコントロールの下に置きたいという強い衝動です。それは「戦争する国」づくりへの野望と深く結びついたものであります。
こうした反動的逆流とたたかい、その影響力を日本の政治から取り除いていくことは、ジェンダー平等の日本をつくるうえでも避けて通れない課題となっていることを、私は、強く訴えたいと思うのであります。
日本の民主主義にかかわる二つの重大問題――「国葬」、「統一協会」について
日本の民主主義にかかわる二つの重大問題について報告します。
一つは、安倍元首相の「国葬」についてであります。日本共産党は、岸田首相が、安倍元首相の「国葬」を行う方針を打ち出したことに対して、ただちに反対する談話を発表しました。安倍氏の政治を全面賛美する立場で「国葬」を行うことは、国民のなかで評価が分かれている安倍氏の政治を、国家として全面的に賛美・礼賛することになります。それは憲法に保障された内心の自由を侵害して、国民一人ひとりに弔意を強制することにつながることも、厳しく指摘しなくてはなりません。
もともと「国葬」は、戦前、天皇と皇族、「国家に偉功のある者」に対して、「国葬令」にもとづいて行われ、天皇中心の専制国家を支える儀式でした。戦後、「国葬令」は失効しており、「国葬」には法的根拠がありません。
この動きは、岸田首相による死者の最悪の政治的利用であり、日本共産党は、安倍元首相の「国葬」の中止を重ねて強く求めるものであります。
いま一つは、旧統一協会と自民党などとの癒着の問題であります。安倍氏に対する銃撃事件を契機として、旧統一協会に対して、大きな社会的注目と批判が集まっています。旧統一協会は、霊感商法や集団結婚などで社会的批判をあびてきたカルト集団です。旧統一協会と一体の国際勝共連合は、手段を選ばない反共謀略活動や憲法改定運動を行ってきました。こうした反社会的集団の広告塔となり、被害を拡大してきた政治家の責任はきわめて重大であります。
日本共産党は、旧統一協会と自民党など政界との癒着の問題を、日本の民主主義の根幹にかかわる大問題として徹底的に究明していく決意であります。
市民と野党の共闘について――国民的なたたかいを前進させ、共闘の再構築を
次に市民と野党の共闘の到達点と展望について報告します。
参議院選挙における野党の選挙協力について
今回の参議院選挙における野党の選挙協力は、きわめて限定的なものとなり、従来の到達点からも大幅に後退しました。その結果、自民党は、比例代表選挙で議席と得票率をともに後退させたにもかかわらず、多くの1人区で当選し、比例代表と選挙区で合計すると自民党は8議席増になりました。野党候補の勝利は、2016年参院選の11議席、19年参院選の10議席から大きく後退し、3議席にとどまりました。この結果は、自民党政治を変える道は共闘しかないこと――共闘の重要性を逆の形で示すものとなりました。
日本共産党は、昨年の総選挙直後から、1人区での共闘体制をつくるための努力を重ねてきました。昨年11月27日に開催した第4回中央委員会総会の幹部会報告では、「共闘がどんな成果をあげたか、どういう問題点を克服すべきか、国民から見て魅力もあれば信頼もされる共闘へとどう発展させるかについて、胸襟を開いて話し合い、知恵と力を合わせてこの道をさらに前進させよう」と呼びかけました。
今年に入り、1月24日に、わが党の小池晃書記局長は、立憲民主党の西村智奈美幹事長に対して、参院選の協力に向けた正式な政党間協議を速やかに開始することを、公式に呼びかけました。その後、わが党は、再三にわたって速やかな協議開始を求めましたが、正式の政党間協議は5月9日まで行われませんでした。
ようやく行われた立憲民主党との協議の場で、日本共産党は、総選挙のさいに確認した「共通政策」と「政権協力」の合意を引き続き確認したうえで、「対等平等・相互尊重」の原則にもとづく「選挙協力」を提起しました。
しかし、「共通政策」については、市民連合主催のシンポジウムで3野党・2会派の書記局長・幹事長などが、市民連合からの「政策要望書」を受け取り、それぞれが実現への決意をのべるという形にとどまり、総選挙のときのように「共通政策」に各党党首が署名するという形にはなりませんでした。
「政権協力」については、わが党は、総選挙にあたって立憲民主党との党首会談で合意した「限定的な閣外からの協力」は国民への公約であり、維持・発展させるべきと主張しましたが、立憲民主党側は「今回は参院選なので必要ない」という立場で折り合わず、「今回は横に置く」こととせざるをえませんでした。
こうした経過のもとで、1人区における野党候補の一本化は限定したものにならざるをえませんでした。
それでも全国32の1人区のうち約半数で野党候補者が一本化され、わが党は制約された条件のもとでも勝利のための努力を行いました。しかし、候補者を一本化した選挙区においても、一部の例外をのぞいて、「対等平等・相互尊重」の選挙態勢が構築できず、野党が力をあわせて勝利をめざすという本気の共闘とはほど遠い実態に終わりました。1人区での野党の敗北は、こうしたとりくみがもたらした帰結でした。
共闘破壊の妨害に対して野党がどういう姿勢をとるか――三つの点を提起する
自民党などは、総選挙後、野党共闘に対する攻撃をいっそう強めました。一部メディアは野党共闘攻撃のキャンペーンを大々的に行うとともに、「対決型でなく提案型」こそが野党の正しいあり方だなどとあおり立てました。
一方、連合は、2月、参院選方針で、「目的が大きく異なる政党や団体等と連携・協力する候補者は推薦しない姿勢を明確にする必要がある」との決定を行いました。連合の会長は、「民主主義のわれわれと共産(党)の考え方は真逆の方向を向いている」などと根拠のない日本共産党に対する非難を行うとともに、「共産党との連携はありえない」などと野党共闘を妨害する発言を繰り返し、自民党など共闘破壊勢力への援軍となりました。
問題は、こうした共闘破壊の妨害に対して野党の側がどういう姿勢をとるかにあります。私は、この機会に、率直に提起したい問題が3点あります。
第一に、野党として現在の政治を真剣に変えようというならば、緊急の一致点で力をあわせることが必要不可欠であり、自民党や一部メディア、連合会長などによる野党共闘攻撃に対して、きっぱりと立ち向かう立場をとるべきではないでしょうか。
第二に、「野党」を名乗りながら、自民党以上の右翼的立場に立って大軍拡と改憲の先兵となり、野党共闘攻撃の先兵となっている維新の会、政府の当初予算案に賛成するなど事実上の与党となっている国民民主党など、自公政権の「補完勢力」とは、正面からたたかう立場に立つべきではないでしょうか。
第三に、「対決型でなく提案型」などと、「対決」と「提案」を対立させて、「対決」を否定する一部の議論をきっぱりとしりぞけ、平和、暮らし、民主主義を壊す間違った政治には真正面から対決する立場に立つべきではないでしょうか。「対決」と「提案」は対立するものではなく、間違った政治と真正面から「対決」してこそ、国民の立場に立った道理ある「提案」ができるのではないでしょうか。
私は、市民と野党の共闘の発展を強く願う立場から、以上3点を、率直に提起したいと思います。
野党共闘を再構築する力は、緊急の一致点での国民的運動の発展にこそある
野党共闘は、大きな困難に直面していますが、自公政治を終わらせ、日本の政治を変える道は共闘しかありません。野党共闘破壊の激しい攻撃のもとでも、7年間におよぶ共闘を通じてつくられた信頼と連帯の絆は、全国いたるところに広がっています。これまでの努力によってつくりあげてきた信頼と連帯の絆を大切にし、発展させ、共闘の力で政治を変えるためにあらゆる知恵と力をつくす。これが日本共産党の揺るがぬ立場であります。
とくに大軍拡と改憲に走る岸田政権の現状は、市民と野党の共闘の発展を強く求めていることを訴えたいと思います。すでにのべたように、安保法制と「敵基地攻撃」が結びついた場合には、恐るべき災厄を世界と日本にもたらすことになります。安保法制廃止をはじめとする緊急の課題での共闘の重要性、緊急の課題を実現するための野党連合政権の重要性は、今日の情勢のもとでいよいよ切実なものとなっています。
野党共闘を再構築する力はどこにあるでしょうか。私は、平和と暮らしの切実な願いにこたえた、緊急の一致点での国民的運動を発展させることにこそ、共闘の再構築の展望はあるということを訴えたいと思います。もともと、市民と野党の共闘は、2015年の安保法制に反対する国民的大運動のなかでわきおこってきた「野党は共闘」というコールに背中を押されて生まれたものでした。
日本共産党は、野党共闘のこの原点を踏まえ、市民連合のみなさん、総がかり行動実行委員会のみなさん、共闘の発展を願う市民のみなさん、野党のみなさんとの協力を強め、国民的運動を力に野党共闘を再構築していくために全力をあげる決意を表明するものであります。
世界の本流に立って――ウクライナ侵略と核兵器禁止条約
「軍事対軍事」の対抗か、包摂的な平和の枠組みの構築か
ロシアによるウクライナ侵略開始から5カ月以上が経過し、長期化の懸念が強まるもとで、一刻も早く戦争を終わらせるために、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」の一点での全世界の団結をという、日本共産党が参議院選挙で訴え続けた立場は、ますます重要になっています。
この危機を前にして、国際社会には、二つの道の選択が迫られています。
一つは、「軍事対軍事」の対抗をエスカレートさせる軍事ブロック的対応です。
米バイデン政権は、「民主主義対専制主義のたたかい」など「価値観」による分断を世界に押し付ける態度をエスカレートさせています。6月に開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、12年ぶりに「戦略概念」を改定し、中ロとの軍事的対立を軸とする方針に大きく転換しました。「戦略概念」が、「権威主義者は、私たちの利益、価値、そして民主的な生活様式に挑戦している」とあえて明記し、「価値観」による分断と軍事ブロック強化を一体に進めることを宣言したことは、重大であります。
岸田首相は、こうした米バイデン政権のキャンペーンにすすんで同調し、G7首脳会議やNATO首脳会議で、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」とのべて、大軍拡を誓約するなど、「軍事対軍事」をあおることに終始しています。
こうした道では決して平和はつくれません。「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガン、軍事ブロック的対応は、世界の分断を広げ、ロシアの侵略に対する国際世論による包囲をつくるうえで重大な障害となっていることを、私は厳しく指摘したいと思います。
もう一つは、国連憲章にもとづく平和秩序を回復していくという道であり、とくに地域のすべての国々を包摂する平和の枠組み――地域の集団安全保障の枠組みを構築していこうという道です。それはASEAN(東南アジア諸国連合)が粘り強く追求している道であり、日本共産党が提唱してきた「外交ビジョン」がめざすものです。
ニュージーランドのアーダーン首相は、ロシアの侵略を厳しく批判しつつ、7月7日の講演で、「これを民主主義対専制主義と決めつけないようにしましょう。そうではありません」とのべ、「インド太平洋地域を含め、緊張が高まっている今、外交は最も強力な手段であり、緊張緩和を強く訴えなければなりません。しかし、われわれが関与しようとする当事者がますます孤立し、われわれの住む地域がますます分裂し、分極化するならば、われわれは成功しないでしょう」と強調し、包摂的な外交努力の重要性を強調しています。
全国のみなさん。日本共産党が提唱している「外交ビジョン」の方向こそが、世界の良識ある声とも共鳴しあう道であり、世界の本流に立つものであることに確信をもって前進しようではありませんか。
「核兵器のない世界」をめざして――核兵器禁止条約締約国会議と、NPT再検討会議
6月に行われた核兵器禁止条約第1回締約国会議の成功は、きわめて大きな意義をもつものとなりました。採択された「ウィーン宣言」は、「核抑止論」がもはや成り立たず、核兵器の脅威を根絶するには核廃絶以外にないという固い決意を表明しました。日本共産党は、笠井亮国際委員会副責任者・衆議院議員を団長とする代表団を派遣し、要請文を会議議長や国連軍縮上級代表らに届け、会議成功のために奮闘しました。
この会議に、NATO加盟国のドイツ、ノルウェー、ベルギー、オランダ、米国と軍事同盟を結ぶオーストラリアなどがオブザーバーとして参加したことは、核兵器禁止条約が無視しえない現実になっていることを示すものとなりました。それだけに、唯一の戦争被爆国である日本の政府がこの重要な会議に参加しなかったことは、失望と批判の的になりました。締約国会議の議論に耳を傾けることすらできない岸田首相に、核保有国と非保有国の「橋渡し」などという資格はありません。
日本共産党は、日本政府に対して、「核抑止論」の呪縛に縛られて核兵器禁止条約に背を向け続ける恥ずべき態度を根本から転換し、条約に参加することを、重ねて強く求めるものであります。
核兵器禁止条約締約国会議成功の流れを、きょう、8月1日から開催されるNPT(核不拡散条約)再検討会議の前進に結び付けていくことが重要であります。
日本共産党は、笠井同志を団長とする代表団を再検討会議にも派遣しています。再検討会議に対して、第一に、被爆者の声に真摯(しんし)に耳を傾け、核兵器の非人道性を共通認識とし、核兵器の使用も威嚇も断じて許されないとの明確なメッセージを発すること、第二に、これまでの再検討会議で確認されてきたNPT第6条にもとづく「核兵器のない世界」をめざす一連の合意を再確認し、具体化、実行に踏み出すことを強く求め、再検討会議が前向きの成果をおさめるよう力をつくします。
全国のみなさん。「核戦争の防止と核兵器の廃絶」を綱領に高く掲げる党として、「核兵器のない世界」が実現するまで、あらゆる知恵と力をつくして奮闘しようではありませんか。
三、「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」を呼びかけます
次に党建設と統一地方選挙についての方針を提案します。
2023年統一地方選挙の意義と目標
8カ月後に迫った2023年統一地方選挙で、日本共産党が勝利・前進をかちとることは、きわめて重要な意義をもちます。
統一地方選挙は、「住民福祉の機関」として福祉と暮らしを守る自治体の役割を前進させる選挙になるとともに、地方から岸田政権が進める大軍拡と改憲ノーの平和の審判を下す選挙になります。それは各党の消長をかけた激しい党派間闘争となっており、次の国政選挙――総選挙・参院選につながる重大な政治戦になります。
日本共産党は、統一地方選挙で次の目標の達成をめざして奮闘します。
――道府県議選挙でも、政令市議選挙でも、市区町村議選挙でも、現有議席を絶対に確保し、前進をめざします。
――都道府県ごとに、「議席占有率」「議案提案権」「空白克服」の三つの目標を具体化し、必ず達成します。
――道府県議選で、空白県(愛知県)を克服し、新たな議席空白県を絶対につくらず、全都道府県で議席を持つようにします。
全国のみなさん。統一地方選挙で今度こそ反転攻勢をかちとるために、党の総力をあげて奮闘しようではありませんか。
第29回党大会開催の時期についての提案
ここで第29回党大会の時期について提案します。党規約第19条は、「党大会は、中央委員会によって招集され、二年または三年のあいだに一回ひらく。特別な事情のもとでは、中央委員会の決定によって、党大会の招集を延期することができる」としています。この規定では、通常は2023年1月までに次期党大会をひらくことになりますが、来年4月に行われる統一地方選挙の重要性という「特別な事情」を考慮し、党大会の招集を延期し、2024年1月に次期党大会をひらくことを提案します。
かりに23年1月に党大会をひらくことになると、それにともなって中央、都道府県、地区の機関体制を変更することになります。統一地方選挙の前に機関体制を変更することは、この選挙で勝利・前進をかちとるうえで適切とはいえず、基本的には現体制で統一地方選挙勝利に全力をあげることが適切だということが、幹部会が延期を提案する理由であります。
「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」に挑戦しよう
次に「特別期間」の提案を行います。
わが党の現在と未来にとって死活的課題となっている党づくりの遅れを抜本的に打開し、統一地方選挙で必ず勝利・前進をかちとる土台をつくるために、第6回中央委員会総会として、8月~12月の5カ月間を、「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」に設定し、次の課題をやり抜くことを呼びかけます。
1、世代的継承を中軸とする党員拡大を根幹とした党勢拡大の前進をはかります。
●すべての支部が、新しい入党者を迎えることをめざして、入党の働きかけにふみ出します。党員現勢で毎月前進することをめざし、全党的に毎月1万人以上(5カ月間で5万人以上)に働きかけることを目標にし、毎月1000人以上の新入党者(5カ月間で5000人以上)を迎えることを目標とします。新入党者のなかで青年・学生と労働者、30代~50代の入党者が半数以上になるよう力をつくします。新入党員教育を100%やり抜きます。民青同盟との共同事業として、年間1500人以上という民青同盟自身が決めた拡大目標を早期に突破し、さらなる前進をめざします。
●「しんぶん赤旗」読者拡大では、大会現勢回復・突破を目標にします。12月末までに大会現勢を回復・突破し、統一地方選挙までに前回統一地方選挙時の回復・突破をめざします。
2、統一地方選挙の独自のとりくみを前進させ、勝利の土台を築きます。
●どんなに遅くとも10月末までに予定候補者を決め、選挙をたたかう体制をつくり、候補者を先頭にして全有権者対象の大量政治宣伝に打って出ます。予定候補者の決定状況は、道府県議選、政令市議選、東京特別区議選では未決定はわずかとなっていますが、市町村議選は、決定・内定が690人で、前回立候補数1028人に対して338人少ない状況にあります。中央、都道府県、地区、支部が一体になって、一刻も早く予定候補者を決めることは、選挙勝利の大前提であり、必ずやり抜きます。
●選挙区ごとに得票目標、支持拡大目標を決め、組織活動に踏み出します。「折り入って作戦」を選挙必勝の組織活動のカナメとして重視し、12月末までにすべての後援会員と読者に働きかけ、選挙の協力をお願いします。「折り入って作戦」と一体に「マイ名簿」など結びつきを生かした対話を広げ、12月末までに支持拡大で得票目標を突破します。
●すべての支部が単位後援会をつくり、発展させ、力をあわせて選挙をたたかいます。インターネット・SNSも活用して、JCPサポーターを広げ、選挙ボランティアを大胆につのり、ともに選挙をたたかう楽しい選挙戦にしていきます。
3、すべての支部が、「政策と計画」をつくり、要求運動、「集い」、学習にとりくみます。
●すべての支部が、12月末までを一つの節にして、国政問題とともに、身近な住民要求・地域要求にもとづく運動にとりくみ、地方議員団・候補者と協力して、その実現のために力をつくします。
●すべての支部が、党綱領・国政と地方政治などをテーマに「集い」にとりくみ、双方向の対話を通じて、積極的支持者を増やし、選挙をともにたたかう「担い手」を増やし、党員拡大を根幹とした党勢拡大を前進させます。
●一人ひとりの党員が初心を生かし、ともに成長する党になることをめざし、「楽しく元気の出る支部会議」の努力を発展させるとともに、支部活動の中心に綱領学習を太く位置づけ「学びつつたたかう選挙」にしていきます。
「特別期間」をどうやって成功させるか――四つの留意点を握って奮闘しよう
「特別期間」をどうやって成功させるか。中央と全国の党組織が双方向で経験を学びあい、探求し、開拓しながら、目標をやりとげていきたいと思います。幹部会報告では、次の四つの留意点を握って奮闘することを呼びかけたいと思います。
党勢拡大、選挙活動、要求運動――三つの目標を一体にとりくみ、豊かな成果を
第一は、なぜ三つの目標を掲げて「特別期間」にとりくむのかということについてです。一つ目の目標――党勢拡大と、二つ目の目標――選挙勝利の独自のとりくみは、それぞれが統一地方選挙勝利にとって絶対に不可欠な課題であることは、全党のみなさんが強く感じておられることだと思います。それぞれの課題をやりきるためには独自追求――独自の手だてが必要になります。独自追求をしっかり行い、必ず目標をやりきりたいと思います。
幹部会の提案では、この二つの目標にくわえて、三つ目の目標として、すべての支部が要求運動、「集い」、学習にとりくむことを、「特別期間」の目標にすえています。それは、この課題にとりくむことが、党勢拡大でも、選挙活動でも、党が新しい結びつきを広げ、新鮮な活力をえて前進する源泉にもなるからであります。
すべての支部が「政策と計画」をもち、充実させて、要求運動にとりくみましょう。そのさい、国政の要求とともに、身近な住民要求・地域要求を重視しましょう。いま全国各地で、学校給食無償化、公的医療充実、国保料値下げ、公共交通を守る、同性パートナーシップ制度など、さまざまな要求運動がとりくまれています。地域ごとの多様な願いにこたえた運動にとりくみ、地方議員団・候補者と協力して実現のために力をつくしましょう。
一人ひとりの党員は、すでにさまざまな要求運動にとりくんでいます。党員のもつ結びつきに光をあて、党としての結びつきに発展させていく努力をはかりましょう。ジェンダー平等、気候危機打開などで、党に新たな関心・期待を寄せている人々との協力・共同をすすめ、そういう人々を迎え入れることのできるような党への成長・発展をめざしましょう。
すべての支部が「綱領を語り、国政と地方政治の未来を語り合う集い」にとりくみましょう。「集い」では、綱領を大いに語るとともに、国政の問題とあわせて、地域経済をどうするのかなど地方政治の焦点になっている問題も重視しましょう。
党勢拡大、選挙活動、要求運動――三つの目標を一体にとりくみ、「特別期間」の豊かな成果につなげていこうではありませんか。
参議院選挙の教訓を、すべて党建設と統一地方選挙に生かし、さらに発展させよう
第二は、参議院選挙の教訓を、すべて党建設と統一地方選挙に生かし、さらに発展させようということであります。
幹部会報告の第1章では、参議院選挙の経験を総括し、確信にすべき点とともに、反省点と強化方向も明らかにしました。それをあらためて列挙しますと――
――「二重の大逆流」を全党の大奮闘によって押し返したことは確信にすべきですが、まだ押し返し切れたとはいえず、引き続く奮闘が大切であること。
――「折り入って作戦」を、現在の自力のもとでも勝利をつかむうえでのカナメをなす活動として、また、「国民とともに政治を変える」という党綱領路線にもとづく選挙活動の大道に立った方針として重視し、中央と全国が一体になって推進すること。
――「党大会第二決議」を党づくりの大方針にあらためてすえ、この決定を全党員が読み、学び、みんなで実践し、さらに発展させること。
――青年・学生の大奮闘、市民・サポーターによる選挙ボランティアの画期的広がりなどを生かし、その自発的で創意的な奮闘に学び、ともにたたかう選挙にしていくこと。
――世代的継承について、中央として、青年・学生、職場、真ん中世代でのとりくみの前進のために系統的なイニシアチブを発揮し、全党と一体に推進することなどであります。
こうして幹部会報告の第1章は、参議院選挙の経験の総括にとどまらず、そのまま党建設をどう前進させるか、統一地方選挙をどうたたかうかの方針ともなっています。そのすべてを生かし、さらに発展させようではありませんか。
支部活動の中心に綱領学習を太く位置づけよう
第三は、支部活動の中心に綱領学習を太く位置づけることであります。総選挙後の「二重の大逆流」に対して、綱領学習に力をそそぎ、それを力にたたかったという経験が、全国各地から寄せられています。この努力を、統一地方選挙にむけても、さらに大きく発展させていきたいと思います。
「二重の大逆流」とのたたかいは、決着がついたわけでなく、なお途上にあります。そして、統一地方選挙で問われるのは、地方政治だけではありません。国政が問われ、さらにその根本にある各党の政治的立場の基本が問われる激しい党派間闘争の場になります。「二重の大逆流」と正面からたたかい、綱領の立場を国民に広く明らかにし、積極的支持者を増やすことは、統一地方選挙勝利にとって不可欠となることを強調したいと思います。
そのためにも学習によって政治と理論に強い党になることが大切です。改定綱領を、文字通り全党員が読了しましょう。4中総での確認にもとづいて作成した『新・綱領教室』などの資材も活用していただければと思います。9月に、「日本共産党創立100周年記念講演会」を開催する予定です。その内容も活用していただければと思います。
中央の姿勢―― 一番苦労している問題、困っている問題を、ともに解決していく
第四に、「特別期間」の3目標を総達成するためには、中央の指導と活動の姿勢が決定的に重要になるということを肝に銘じて奮闘します。
「第二決議」は、中央の活動姿勢として、次のようにのべています。
「中央委員会は、都道府県委員会・地区委員会・支部に足を運んで、その努力と苦労、実情と課題をありのままにつかみ、党づくりの方向をともに探求・開拓していくことを最優先の活動姿勢とする」
中央としてこの姿勢を貫いて奮闘します。
全国からのアンケートでは、次のような困難が率直に報告されています。
「支部会議の開催に苦労している支部、支部長や支部指導部の体制が崩れている支部が、支部員の高齢化に伴い増加している」
「方針を熟知し、支部に知らせて討議し、活動を組み立てられる機関役員が少ないことが、党員拡大に行動する支部がごく少数しか生まれない大きな要因になっている」
中央として、現場で頑張っているみなさんが、一番苦労している問題、困っている問題、打開を切実に求めている問題を、現場に足を運び、リアルにつかみ、心を寄せ、ともに解決していくという姿勢を何よりも重視して奮闘します。
中央として、「特別期間」の成功のために、オンラインを活用して、さまざまな課題での交流会・学習会を開催し、積極的イニシアチブを発揮することを、お約束するものです。
すべての地方議員・候補者のみなさんが、住民要求実現の先頭に立ち、議会活動、候補者活動に生き生きととりくめるよう、党機関による親身な援助を強化します。中央として、適切な時期に、地方議員・候補者のみなさんの活動への援助と経験交流を目的に全国会議をもつことにします。
全国のみなさん。中央と全国が心一つに、「特別期間」を必ず成功させ、党建設の抜本的前進、統一地方選挙勝利・前進の道を切り開こうではありませんか。
沖縄県知事選挙、沖縄統一地方選、中間選挙での勝利を
沖縄では、県知事選挙(8月25日告示、9月11日投票)と統一地方選挙(9月6日告示、11日投票)など、連続して重要な選挙がたたかわれます。
自民党は、参院選の結果を受けても、「辺野古移設こそ唯一の解決策」(松野官房長官)と言い張り、「本丸は知事選」などと、危機感に燃え、参院選に倍する構えでのとりくみで県政奪還に執念を燃やしています。
この攻撃を打ち破り、沖縄県知事選挙、統一地方選挙に必ず勝利するために、全国のみなさんの沖縄への熱い支援を心から訴えます。
統一地方選挙までに、12月の茨城県議選、10月の青森市、11月の鳥取市の市議選を含め、1県67市50町村で中間地方選挙がたたかわれます。必ず勝利をかちとり、統一地方選挙での勝利・前進につなげていこうではありませんか。
四、創立100年――「なぜ1世紀にわたって生命力を保ち続けたか」
全国のみなさん。今年、日本共産党は創立100周年を迎えました。わが党は、7月14日、創立100周年にあたっての談話を発表しましたが、記者会見の場で、記者団から、「党創立100年は称賛に値するものだと思うが、なぜ100年続いたのか」という質問が寄せられました。談話でものべていることですが、日本共産党の100年を貫く特質について、3点ほど強調しました。
第一は、どんな困難のもとでも国民を裏切らず、社会進歩の大義を貫く不屈性であります。この不屈性は、激しい迫害のもとで「侵略戦争反対」「国民主権」の旗を掲げ続けた戦前の先輩たちのたたかいに刻まれました。戦後も、わが党は、多くの苦しい時期を経てきましたが、今回の参院選での「二重の大逆流」に対する全党のたたかいも、わが党の不屈性を発揮したたたかいとして記録されるべきものだと考えます。
第二は、科学的社会主義を土台にして、つねに自己改革の努力を続けてきたことであります。その最大のものは、スターリンなどの干渉によって引き起こされた党の分裂という深刻な危機をのりこえて、自主独立の路線を確立し、政治的・理論的にこの路線を発展させてきたことにあります。今回の参院選のたたかいも、わが党に自己改革の努力を求めるものとなりました。報告でその中心点を明らかにしましたが、科学的社会主義と綱領を土台に、真剣な自己改革の努力を続けるならば、どんな困難ものりこえることはできると、私は確信するものであります。
第三は、どんな情勢のもとでも、国民との共同――統一戦線で政治を変えるという姿勢を貫いてきたことであります。1961年に現在の綱領路線の土台を築いたのちも、わが党の進路はたんたんとしたものではありませんでした。61年以降で見ても、日本共産党は、60年代後半から70年代、90年代後半、2010年代前半と、3回の躍進の波を記録していますが、そのたびに、支配勢力からの反共キャンペーン、統一戦線破壊の攻撃に直面しました。しかし、わが党はどんな情勢のもとでも、国民との共同で政治を変えるという姿勢を貫き、統一戦線の方針を情勢に即して発展させてきました。
全国のみなさん。不屈性、自己改革、国民との共同――これらの特質こそ、日本共産党が100年の歴史の試練にたえて、今日、生命力を発揮している根本にあるものではないでしょうか。この党の歴史に誇りと確信をもち、未来にのぞもうではありませんか。
以上で、幹部会を代表しての報告を終わります。