日本共産党

2003年10月30日(木)「しんぶん赤旗」

総選挙の焦点 働くルール

異常な長時間、少ない年休取得

欧州とこんなに違い

後絶たない過労死、自殺…


 自民党政治のもとで大企業の身勝手が野放しにされ、過労死や過労自殺を生む長時間・過密労働が常態化しています。ヨーロッパと比べても異常です。日本共産党は「ルールなき資本主義」といわれる現状を打破し、人間らしい働き方をとりもどす改革を提案しています。


グラフ
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過労死

心の病が増え「自殺大国」に

 過労死は年間一万件以上と推定されています。過労死認定件数は二〇〇二年度で初めて三百件を超えましたが、氷山の一角にすぎません。

 「過労死一一〇番」が一九八八年六月に開設されて以来、この十五年間に七千件以上の相談が寄せられています。今年六月十四日実施の「一一〇番」だけでも三百三十四件もの相談が殺到し、そのうち四十四件が自殺のケースでした。

 社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所の調べでは、大企業の六割以上が「心の病」にかかる従業員が増えていると回答しています。

 「カローシ」だけでなく、いまや「自殺大国」という不名誉な国になっています。

労働時間

長時間労働日本は突出

 政府は、時間短縮がすすみ、目標である年間千八百時間をほぼ達成したとしています。

 これは、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(「毎勤」)によるものです。しかしこの調査は、賃金を支払った時間だけをまとめたもので、サービス残業(ただ働き)は含まれていません。それでも主要国でトップの労働時間です。

 実態をとらえているのが総務省の「労働力調査」(「労調」)です。賃金が支払われているか否かにかかわらず、実際に仕事をした時間を集計しています。

 「労調」でみると、二〇〇二年の週の平均労働時間は四十二・三時間。年間に換算すると約二千二百時間になります。

 これで国際比較すると、日本が突出して長いことがわかります。過労死する危険性が高い年間三千時間(週六十時間)に達する層は、三十代の男性ではほぼ四人に一人の割合です。

労働時間の規制

裁量労働制で残業「合法化」

 日本では労働基準法で一日八時間、週四十時間を定めています。しかし、労使が協定を結べば残業が可能になる例外規定があります(三六条)。

 トヨタ・グループを例にみると、デンソー千八十時間、アイシン精機九百時間、トヨタ本体七百二十時間の年間残業協定が結ばれています。

 さらに今年六月、与党三党と民主、旧自由の賛成多数で、サービス残業を「合法化」する裁量労働制の導入要件をゆるめる改悪が国会で成立しました。

 フランスでは雇用創出を主な目的として二〇〇〇年に週三十五時間労働法が施行されました。二〇〇二年六月末には三十五・七時間に短縮されています。

 ドイツでは一九九五年から産業別労働協約で週三十五時間労働制が実施されています。

年次有給休暇

とても少ない日数、取得率

 日本は、年次有給休暇(以下、年休)の付与日数が少ない上に、取得率もきわめて低いのが実態です。二〇〇一年の年休は平均十八・一日(繰り越し日数は除く)。取得日数は八・八日で、取得率は48・4%と五割を切っています。一九九三年の56・1%をピークに年々低下しています。

 ヨーロッパでは長期のバカンス休暇を取得する習慣があり、年休を完全消化するのが当然のこととされています。

 また、日本では、パート労働者の年休を付与している事業所は61・1%(二〇〇一年)にすぎず、フルタイム労働者との均等待遇が常識になっているEU諸国に大きく立ち遅れています。


サービス残業是正の先頭に日本共産党

 長時間に及ぶ残業をさせてその手当を払わないサービス残業は、過労死を生む最大の要因です。世界に例がありません。

 日本共産党は、これまで一貫して違法なサービス残業の根絶にとりくんできました。衆参両院で二百回以上の追及をおこない、最近、二度にわたって政府に根絶「通達」をださせ、全国で百五十億円を超える不払い残業代を支払わせる前進をかちとってきました。

 野党四党(当時)の共同要求とするために努力し、昨年度の補正予算要求、今年二月の政府予算の組み替え要求では、「サービス残業是正のための対策強化」が盛り込まれました。

特別措置法で制裁金を課す

 サービス残業は、もともと労働基準法で懲役六カ月以下または三十万円以下の罰金が科せられている犯罪行為です。党の法案は犯罪行為のやり得を許さないためのもので、骨子は次の通りです。

 (1)使用者に実際の労働時間を把握し、記帳する義務を負わせます。こうすれば、労働基準監督官が調査に入れば、ただちに違法を摘発することが可能になります。記帳していなければ、それ自体が法違反として罰せられます。不正な記載を許さないために、労働者のチェックを受けさせる制度も盛り込みます。

 (2)サービス残業が発覚したら、使用者は労働基準法で定められた割増賃金とは別に制裁金を労働者に支払わなければならないようにします。これによって、サービス残業は使用者にとって割に合わないものになります。


過労死した29歳の息子

 秋田県大曲市の大森光子さん(66)の話

 私は二十九歳の息子を過労死で亡くしました。厚生労働省にことあるごとに訴えてきたことがあります。それは労働基準法の一日八時間、週四十時間労働が絵に描いたモチになっており、まったく守られていないということです。守られていたら息子も過労死せずにすんだのです。

 息子は京セラに入社し、中国の工場に出張中に倒れました。一日十五、六時間も働き、土、日曜もほとんど休んでいませんでした。でなければ二十九歳の若者が死ぬはずがありません。倒れない方が不思議です。しかもいくら残業しても手当は出ませんでした。サービス残業でした。

 今、若い人たちの過労死が増えています。何度でもいいたいです。一日八時間、週四十時間労働を企業に守らせてください。サービス残業をなくしてください。

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