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2018年1月20日(土)

稲嶺氏 再編交付金に頼らない

名護市長選

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 28日の告示が迫る沖縄県名護市長選(2月4日投票)で、辺野古新基地と引き替えの再編交付金に頼らない街づくりを進める稲嶺ススム市長に対し、安倍政権丸抱えの自民候補が「新基地建設に反対しているから名護市は再編交付金がもらえず、お金がなくて何もできない」などと攻撃しています。自民候補は新基地と引き換えの米軍再編交付金を「受け取る」と宣言。街づくりのあり方が問われています。(柳沢哲哉)


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(写真)「再編交付金に頼らないまちづくりを進めます」と訴える稲嶺ススム名護市長

受け取る代償は新基地 

 米軍再編交付金は、全国で基地強化を進める再編計画を受け入れた市町村への「見返り」として交付されます。協力の度合いに応じて、原則10年間、段階的に交付される仕組み。名護市の場合、辺野古新基地建設への協力が前提になり、自民候補の「受け取る」発言は、事実上の「新基地受け入れ宣言」です。

 再編交付金は、「再編事業の進捗(しんちょく)に支障が生ずる場合には、交付額を減額し、または交付額をゼロとすることができる」としており、再編計画に伴う基地増強に反対したり、慎重姿勢を示す自治体を屈服させるアメとムチの性格を持ちます。

 名護市では、島袋吉和前市政が辺野古沿岸部を埋め立ててV字形滑走路の新基地を造る計画を全面的に受け入れたことで08年から交付され、それに基づく事業が始まりました。

 しかし、新基地建設に反対する稲嶺ススム市長が10年に誕生すると、防衛省は「名護市の理解と協力が示されず、駐留軍等の再編の実施に向けた措置の進捗に支障が生じていると認めざるを得ない」として、09年度の繰り越し分と、前市政が交付を見込んで進めていた事業の10年度分の交付を停止しました。

なくても予算大幅拡大 

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(写真)名護市内の小中学校で、クーラーの設置やトイレの改修、耐震化が進みました

 これに対し、稲嶺市政は、再編交付金の活用を予定していた事業を精査し、文部科学省の補助金や一括交付金、地域活性化交付金などを活用して財源を確保。17年6月時点で、(1)一部完了を含めて9事業が完了(2)2事業は実施中(3)1事業は中止(4)2事業は財源確保まで保留―という形となっています。

 稲嶺市政は、新規の再編交付金事業は予算計上せず、新基地と引き換えの再編交付金に頼らない市政を推進。09年度一般会計当初予算約261億円から、17年度当初予算約382億円へと予算を大幅に拡大してきました。

 全学校へクーラーを設置し、校舎の耐震化は4月までに100%に、県内11市で初めて中学卒業まで医療費無料化を実施するなど、市民のための政策を進めました。県内11市で1世帯あたり国保税は一番低く、経済成長率は県内11市で2位(「14年度沖縄県市町村民所得」)などとなりました。

 再編交付金は限られた自治体のみが対象で、防衛省の17年度再編交付金実施計画によると、対象は14市町村のみです。市の担当者は、再編交付金がなくても「特に支障はない。他の自治体と同じ状況でメニューを整備している。これがないから市は大変だということにはならない」と断言します。

 むしろ、再編交付金は「麻薬のようなもの。もらった瞬間は楽でも後には巨大基地という地獄が待っている」(日本共産党の志位和夫委員長)のです。

 再編交付金を受け取れば、耐用年数200年、垂直離着陸機オスプレイ100機、強襲揚陸艦が運用可能な巨大基地という大きな代償を支払うことになります。しかも交付金は期限付き。さらに受け取ろうとすれば、新たな基地を受け入れるしかありません。

 志位委員長は12日の市民集会でこう述べました。「一時の金で名護の未来を売るようなことは決してしない。稲嶺ススム市長の姿勢こそ、子や孫に責任を負う、本物の政治家がとるべき姿勢なのではないでしょうか」


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