2018年1月18日(木)
主張
消費税法強行30年
10%への引き上げは許さない
安倍晋三政権が消費税率の8%から10%への引き上げを来年2019年10月から強行することを公言し、「リーマン・ショック」級の経済変動でも起きない限り、1年前になる今年秋までに予定通りの実施を決定しようとしています。安倍政権がしきりに景気の「回復」を宣伝するのもその準備の表れです。消費税は30年前の1988年に導入が決まり、89年4月からまず3%で実施されました。その後5%から8%へと、増税を繰り返しており、導入強行から30年を2けたの税率を決める年にすることは絶対に許されません。10%への増税は中止すべきです。
税のゆがみ深刻化させた
税金は直接税が中心で、負担能力に応じた応能的なものにすべきだという戦後税制の大原則を踏みにじって、大型の間接税を導入しようという策動は、自民党の長期政権のもと、60年代から繰り返されてきました。79年には当時の大平正芳政権が税率5%の「一般消費税」を導入しようとしますが、総選挙で自民党が敗れ、中止に追い込まれました。その次の中曽根康弘政権は「大型間接税は導入しない」と国民をだましながら、「新型」の間接税だと87年に5%の「売上税」導入を持ち出してきましたが、国民の反発でこれも実現しません。その後、88年に竹下登政権が税率3%の「消費税」導入を決定しようとした際にも国民が猛反対し、それを押し切って、年末の国会で自民党が強行採決し、成立させたというのが経過です。
消費税は翌89年4月から実施され、97年には橋本龍太郎政権によって税率を5%に引き上げ、2014年には政権に復帰した安倍首相によって8%に引き上げられました。当初15年10月には10%に引き上げることも狙いましたが、経済の悪化で再三延期され、今は19年からの実施を狙っています。
大型間接税の導入にあたって自民党などは「広く薄く課税する」「社会保障の安定した財源だ」などと言いましたが、原則としてあらゆる商品やサービスに課税される税が低所得者ほど負担の重い逆進的な税金なのは明らかで、社会保障を賄う財源としてこれほどふさわしくないものはありません。
しかも、自民党などは直接税と間接税の比率を「是正する」と言って消費税を押し付ける一方、法人税や所得税については大企業や大資産家に有利なよう減税を繰り返したため、消費税による税収のほとんどはその穴埋めに回り、財政再建にも役立ちません。消費税の導入当時50%を超え、安倍政権発足時にも37%だった国税と地方税とを合わせた法人の実効税率は、今では30%を下回っています。特に安倍政権になってからは短期間で連続的な大企業減税が行われ、減税額は4兆円を超します。税制のゆがみの拡大は深刻です。
暮らしも経済も破壊する
消費税の押し付けは国民の暮らしも経済も破壊します。安倍政権になって8%に引き上げられてからほとんどの月で家計の消費支出が前年を下回っており、経済の低迷を長引かせています。深刻な消費不況が続く中で10%への大増税が強行されれば、暮らしも経済もどん底に突き落とされます。
消費税が10%になれば1万円の商品で1000円の負担です。強行から30年の今年を、10%増税中止の年にすることが重要です。