2018年1月17日(水)
ICANと国会議員との討論集会
フィンICAN事務局長の報告(要旨)
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が、国会議員との討論集会の冒頭で行った報告(要旨)は次の通りです。
|
被爆者の経験と素晴らしい運動がICANの活動の土台をつくり、今回のノーベル平和賞受賞につながりました。日本は唯一、核戦争による倫理、経済、社会的な代償を知る国です。私は広島と長崎で多くの被爆者とご家族と話しました。人類における最悪の出来事の記憶を引き継いできた方々に、深い敬意を表したい。これ以上の被爆者を生みだすことは決して許されません。
私は、核保有国や条約に反対する国々から圧力を受けました。日本にも条約参加に反対する議論や懸念がありますが、条約は新しい国際規範として多くの国が支持を表明しています。核兵器の非合法化は世界の流れです。日本は国際社会と市民社会から「倫理的義務を果たしていない」と強い圧力がますますかかっていくでしょう。日本は唯一の被爆国として禁止条約に参加することで、世界の核軍縮のリーダーとなりえます。
何百万人もの罪のない一般市民を殺戮(さつりく)する核兵器は、安全保障の中核にはなりえません。もし核抑止がベストな安全保障政策であれば、命は失われないし、紛争も防げる、安全性も高まるはずです。核兵器をめぐる歴史は、それと反対の結果を招いたことを証明しています。
北朝鮮情勢も非常に危険な状況ですが、核兵器による抑止ではなく、いかに禁止するかが重要です。核抑止は「神話」です。現実をみれば北朝鮮の核開発は阻止できなかったし、核拡散につながった。核兵器は誰のもとにあっても、平和と安定をつくれないものです。
核兵器の退場は、安全保障政策にとって必要なステップであり、安定をもたらすものです。国際法で違法とされた兵器を製造、保有すればその国の政治的地位は落ちます。世界ではすでに大手の金融機関などが核兵器を製造する企業に投資をしなくなっている流れができています。
いまや安全保障を核兵器に依存することは恥ずかしいことです。まず日本には条約そのものに向き合い、批准した場合はどのような影響を与えるのか、調査に踏み出してほしいと思います。