2018年1月17日(水)
ICAN事務局長迎え国会議員と討論集会
”戦争被爆国の政府が、「核抑止力論」を続けていいのか” 志位委員長が発言
核兵器禁止条約の採択に貢献し、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長らを迎え、与野党10党・会派との討論集会「核兵器禁止条約と日本の役割」(主催=核兵器廃絶日本NGO連絡会)が16日、国会内で開かれました。NGO関係者や被爆者が参加し、多くのメディアも駆けつけ大きな注目をあびました。
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司会は川崎哲ICAN国際運営委員が務め、フィン氏が報告を行いました。日本が同条約に参加することを訴えたフィン氏は、「『核抑止』は神話です。核兵器があることによって平和と安定はつくれない」と指摘し、「核兵器の非合法化は世界の流れになる」と強調しました。
日本政府から佐藤正久外務副大臣が出席し、「核廃絶というゴールは共有している」「立場の違う国々の橋渡しをしたい」としながら、「北朝鮮の脅威」を挙げ「日米同盟のもと、核兵器を有する米国の抑止力を維持しなければならない」と主張。条約には「署名できない。参加すれば核抑止力の正当性を損なうことにつながる」と非難をあびせました。
日本共産党の志位和夫委員長は、ICANのノーベル平和賞受賞を祝福するとともに、核兵器禁止条約が、核兵器を法的に「禁止」し、「悪の烙印(らくいん)」を押すことによって、それをテコにして核兵器の「廃絶」にすすもうという、「最も抜本的かつ現実的な道を示した歴史的条約」だと強調。条約への署名・批准がすすみ早期に発効するように「『ヒバクシャ国際署名』を大いに広げ、世論を国内外で広げていきたい」と語りました。
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そのうえで志位氏は、日本政府の条約不参加を批判し、核兵器禁止条約をめぐる二つの論点として、「条約に参加すると『核抑止力』の正当性が損なわれる」、「北朝鮮の核開発という情勢にこの条約はそぐわない」との日本政府の議論を批判しました。
「核抑止力論」を突き詰めて考えると、「いざというときには核兵器を使用するという『脅し』によって安全保障をはかろうというものであり、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こしても許されるという考え方」と厳しく批判。「日本政府はともかくも『核兵器の非人道性』を訴えています。『非人道性』を訴えながら、唯一の戦争被爆国がこうした『核抑止力論』を続けていいのかがいま問われています」と述べました。
また、北朝鮮に核開発の放棄を迫るうえで、核兵器禁止条約が国際的な大きな力になると強調し、「北朝鮮問題の本当の意味での解決を考えても、核兵器禁止条約という道がもっとも抜本的かつ現実的な道です。この方向で国民的合意や政党間の合意が得られ、日本政府が踏み出すことを願ってやみません」と訴えました。
さらに志位氏は「日本政府は(核保有国と非核保有国の)『橋渡し』というなら条約採択に努力された国々、市民社会の声を聞き、対話をすべきです」と述べました。
政府側、各党・会派の発言を聞いたフィン氏は、「『核抑止政策』は安定を増す政策ではありません。しかも、核兵器を使うぞと脅し、広島・長崎で起きたことが起こると脅す政策です」と語り、禁止条約の参加を重ねて求めました。
日本共産党からは吉良よし子参院議員も発言しました。
最後に司会の川崎氏は、「この討論集会では核抑止力論の是非と、禁止条約への日本政府の立場が、二つの論点となりました。今後も議論を継続できればと思う」と語りました。
討論集会にさいして、志位氏は、フィン氏とあいさつをかわし、ニューヨークでの国連会議以来の再会を喜びあうとともに、ノーベル賞受賞への祝意をつたえました。