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2018年1月16日(火)

日大 新設学部の英語非常勤講師雇い止め

授業丸投げも計画

業務委託化、文科省の原則に抵触

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 日本大学が危機管理学部とスポーツ科学部で、英語担当の非常勤講師16人全員に雇い止めを通告した問題で、学部当局側に、授業を外部業者に丸投げする計画があったことが分かりました。文科省が認めていない外部委託化で雇い止め通告した姿勢が問われます。


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(写真)日本大学危機管理学部とスポーツ科学部がある三軒茶屋キャンパス=東京都世田谷区

 授業丸投げ計画は、学部当局が雇い止めを通告した昨年11月の説明会で明らかにしたもので、非常勤講師が録音をとっていました。

 学部側は雇い止め理由について、「英語の教育課程を再構築する」と説明。非常勤講師が新しい教育課程を自分が受け持てないのかと質問すると、「プログラムを運営するところと、先生方との契約関係が発生した場合、我々が何か申し上げることはございません」「まだ、どういう業者であるとかお知らせできません」として、「業者」に運営を任せる考えを示しました。

 非常勤講師が「われわれがその業者に雇われれば、また来年度、ここで教鞭(きょうべん)を取ることができるかもしれない」と確認すると、「可能性という点では、あるかもしれません」と答えました。

直接雇用の責任

 2006年1月の文科省大学振興課の見解「大振―八」は、「学校が責任をもって教育を実施するには、実際に教育にあたる教員について、人事権、懲戒・分限権、指揮・監督権を学校が有することが必要」だと、直接雇用の原則を指摘。「請負契約による講師は、学長の権限と責任の下において、自ら授業を行うことが困難」だとして、業務委託・請負契約に歯止めをかけています。

 授業を業者丸投げにする業務委託化はこの原則に抵触し、教育の質の低下も懸念されます。業務委託化された授業の講師に、大学側が指揮命令すれば、今度は派遣法、職業安定法に違反する「偽装請負」になります。

 そのため、たとえば東京大学では非常勤講師の業務委託契約を改め、労働契約に切り替えています。

 日大の両学部は、2016年4月に新設されたばかりであり、文科省の学部新設認可は、最初の卒業生を出す20年3月の完成年度までの計画で受けています。首都圏大学非常勤講師組合は、認可不履行の雇い止め、偽装請負化だと批判して、文科省に指導を要請。文科省は昨年12月13日、日大からの聞き取り調査を実施しています。

 昨年12月27日の非常勤講師組合による団体交渉で、大学側は、「英語の授業を5人の両学部専任教員と、他学部の専任教員で担当する」と答えたものの、まだ誰にも授業担当の依頼をしていない白紙状態でした。「外部委託の可能性も考えている」とも述べました。

組合が撤回要求

 組合側が雇い止め撤回を要求すると、大学側は「非常勤講師が担当する可能性も考えている」「16人全員の交渉はどうなのか。個々の組合員について協議したい」として、組合に加入すれば雇い止め撤回を含めた協議をする考えを示しました。

 英語の担当は決まったのかなど、日大に9日、問い合わせましたが、15日までに回答はありませんでした。

 非常勤講師組合は、日大の教育の質を守るため、「偽装請負」や専任教員の負担増による穴埋めに反対し、雇い止めを撤回しようと組合加入を呼びかけています。


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