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2018年1月15日(月)

南スーダンPKO 精神不安・不眠

戦場の恐怖 隊員襲う

元陸自衛生科幹部“戦闘激化が心身破壊”

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 南スーダンPKO第10次派遣部隊の「衛生状況(週間報告)」で、派遣隊員を襲った精神的不安の異常が明らかになりました。報告から見えてきたものは―。


写真

(写真)「国際貢献・人道支援」を理由に派遣されながら、事実上の「内戦」状態の南スーダンPKO第10次隊として派遣される隊員を見送る家族ら。出発間際まで隊員にすがる子どもの姿もありました=2016年6月1日、北海道千歳市の新千歳空港

 「精神的不安による不眠の訴えは、ジュバでの最も激しい戦闘となった2016年7月10日を境に一気に表面化しています。見落とせないのは現地に着任した当初から、呼吸器や消化器、皮ふ系の疾患、損傷などでの受診者が断続的であるが2ケタで出ていることです」

免疫力低下

 こう指摘するのは陸上自衛隊の“有事”における隊員の惨事ストレス対処に詳しい元衛生科幹部です。

 現地の気候による体力への影響とともに、散発的であっても「戦闘」下での道路補修作業、宿営地での生活への精神的な不安の積み重ねの中での「不眠」が徐々に蓄積され、体力、気力の減衰による免疫力の低下が始まっていた、とみられます。

 この元衛生科幹部は、自衛隊員は精神科を受診すれば「精神的に弱い」とレッテルがはられ、人事考課などで不利な扱いがされるという警戒感をもっている、といいます。

 「そういう隊員が、任務地で不眠を訴えるのはよほど追い詰められている表れ。自分の将来よりも、精神的にコントロールできない状況になっているから医務室にかけこむ。それほど7月10日前後の戦闘状況が深刻でした」

 元衛生科幹部は、同10次隊の派遣隊員から聞き取りをしました。いつ、どんなときに自分の死を実感したのか―と。

戦死聞いて

 派遣隊員はこう答えたと、いいます。

 「現場で交流のあった外国軍(中国)の兵隊が姿を見せなくなり、“戦死”したと聞かされたときに自分たちも危ない、という恐怖感を覚えた」

 ジュバでは正規軍ではない普通の住民が銃をもち、内戦状態にあります。

 元衛生科幹部は力説しました。

 「何らかの任務で宿営地から出たとき、そこで銃口が自分の方向に向けられているだけで『いつ死んでもおかしくない』という恐怖に襲われ精神的に破たんするのです」


「不調訴えなし」崩れる

 南スーダンPKO派遣差し止め訴訟弁護団の佐藤博文弁護士の話 第10次隊長の中力修・第7師団第11普通科連隊長(1佐)=当時=は、新聞紙上(「毎日」2017年11月17日付)で、ジュバでの戦闘で、自衛隊宿営地に流れ弾が当たったことを認めながら、「精神面で不調を訴えた隊員はいなかった」と言い切っていました。しかし、今回の資料から、全くうそだったことが分かりました。隊長として隊員の命と健康に対する軽視は許しがたい。その結果、現地の戦闘状況はどうだったのか、隊員の安全・健康状態はどうだったのか、政府と自衛隊はすべてを明らかにし、国民・国会による検証を受けるべきです。


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