2018年1月15日(月)
「森友」疑惑隠し 佐川長官が語る国税庁の“使命”
「適正・公平な課税」?
「信頼される組織運営」?
日税連会長対談で
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佐川宣寿国税庁長官が、日本税理士会連合会発行の業界紙「税理士界」(15日付)で、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」など、同庁の“使命”を大いに語っています。
佐川氏といえば、学校法人「森友学園」への国有地売却での約8億円もの大幅値引きの疑惑について、理財局長として財務省内に「記録がない」「適切に処理された」などと繰り返し、具体的説明を拒否し続けた人物。昨年7月には国税庁長官に“栄転”し、歴代長官が恒例として応じてきた就任記者会見も行わず、公の場では口を閉ざしていました。
その佐川氏が、長官就任後初めて紙上で応じたのが、今回の同連合会の神津信一会長との“新春対談”です。司会者から、「組織のリーダーとして心掛けていること」を問われた佐川氏は、「些細(ささい)な問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいます」「リスク管理として、必ず上司に報告するよう徹底させています」などと答えています。
「租税教育」への取り組みについての質問には、「次代を担う児童・生徒が、国の基本となる租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として、社会のあり方を主体的に考えることは、納税に対する納得感の醸成と民主国家の維持・発展にとって大変重要」だとして、「租税教育の充実」を支援するとしています。
さらに、全国の税理士会員へのメッセージや今年の抱負を求められ、「納税者や税理士の皆様から信頼される組織運営」「適正・公平な課税・徴収の実現に努めてまいります」と応じています。
疑惑隠しに貢献して出世した形での佐川氏の長官就任には、国民のあいだに怒りが広がっています。
佐川氏の長官就任後には、財務省近畿財務局が実際には存在しない地下3メートルより深い地中のゴミが大量に出たなどの値引きのための“筋書き”による「口裏合わせ」を主導していたことを示す音声データの存在が新たに判明。国有地売却をめぐる事前の価格提示や交渉を一貫して否定していた佐川氏の国会答弁は“虚偽”だったことが事実上明らかになっています。
財務省幹部として行った“虚偽答弁”について十分な説明もせず、不正な国有地売却の疑惑を放置したまま、「公平な課税」や「租税教育」「信頼される組織運営」などを語っても、「自発的な納税義務」への国民の「納得感」など到底得られないでしょう。 (林信誠)