2018年1月15日(月)
進む軍産学共同
防衛省の委託研究 分担機関に6大学
藤野議員への回答で明らかに
防衛省が2015年度から実施し“研究者版の経済的徴兵制”と批判されている「安全保障技術研究推進制度」に、制度開始以降6大学(研究課題7件)、5国立研究開発法人(6件)が分担研究機関として参加していることが分かりました。日本共産党の藤野保史衆院議員に同省が明らかにしました。
同制度は、防衛省が大学や企業、研究機関に資金を提供して研究を委託し、同省職員が研究の進捗(しんちょく)状況を管理するもの。分担研究機関は、防衛省の研究を受託した代表研究機関とともに研究を進めるパートナーです。日本学術会議は昨年3月、同制度について「政府による研究への介入が著(いちじる)しく、問題が多い」と批判する声明を発表しました。それにもかかわらず、安倍政権は18年度予算案でも17年度並みの101億円を計上しています。
同省はこれまで、代表研究機関と17年度の分担研究機関は公表したものの、15、16両年度の分担研究機関は明らかにしてきませんでした。
明らかにされた資料からは、同制度を通じて軍産学共同が本格的に始まっていることが読み取れます。
これまでに採択された研究課題33件のうち、分担研究機関を伴っているのは18件でした。そのうち7件で企業と大学、国立研究開発法人が共同して研究を実施。うち4件は企業が代表研究者として主導権を握っています。特に、1件当たりの予算が5年間で最大20億円という大規模研究課題(17年度開始)でその傾向が強くなっています。
学術会議の声明や軍学共同に反対する市民の運動が広がるもとで、防衛省関係者からは、企業が前面に立つことで批判を恐れる大学を参加しやすくするとの発言がでています。企業を通じて軍事研究資金が大学や研究所に流れる動きがこのまま進めば、日本に軍産学複合体が形成される恐れが強まります。
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