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2018年1月15日(月)

主張

交通機関の運行

安全最優先は貫かれているか

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 乗客乗員15人が死亡、26人が重軽傷を負った長野県軽井沢町のスキーバス事故から15日で2年です。国は再発防止策を講じましたが、観光バスなどの事故は依然発生しています。安全を最優先にすることこそ大量輸送機関の事故の教訓だというのに、昨年末にはJR西日本が東海道・山陽新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が入ったまま走行させるという、一歩間違えば大事故につながりかねない危険な事態を引き起こしました。乗客の命と安全を預かる事業者の責任と自覚はどうなっているのか―。交通事業にたずさわる関係者の姿勢があらためて問われています。

悲惨な事故からの教訓

 軽井沢バス事故は、都内から長野県内のスキー場に向かっていたバスが制限速度を超えるスピードでカーブを曲がりきれず崖に転落、大学生13人と乗員2人が死亡するなどしたものです。

 事故をめぐっては、経験が乏しい運転手をあてるなどバス会社の安全無視の姿勢が明らかになるとともに、「悪質業者」をまん延させた貸し切りバス業界の体質が大問題になりました。バス事業を免許制から許可制にして参入業者が激増し競争が激化したこと、運転手の非正規化・不安定雇用化がすすめられ長時間過密労働が強いられたこと―。歴代政府の「規制緩和」推進の結果、乗客の安全という交通にとっての大前提が崩されてきたことはあまりに重大です。

 軽井沢事故後、事業者の罰則強化などの法改定がされましたが、バス業界の法令違反は一掃されず、運転手の労働実態はいまも過酷です。昨年8月に北海道では、軽井沢事故と類似した観光バス事故が発生、39人が負傷しています。再発防止のためには、行政による監視・指導をさらに強めるとともに、安全を置き去りにした「規制緩和」路線の転換こそが求められます。

 問題はバス業界だけではありません。昨年12月、JR西日本が博多発東京行き「のぞみ34号」の車両の異変を確認しながら、乗客1000人を乗せ3時間以上も走行させたことは、異常というほかない事態です。運休後に発見された台車の亀裂はあと3センチすすんでいれば破断の恐れがありました。国の運輸安全委員会は大事故につながる危険があったとして新幹線として初めて「重大インシデント」に認定し、原因調査を続けています。

 JR西日本は2005年に乗客乗員107人が犠牲となった福知山線脱線事故後、安全憲章で「判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動」をとるとうたったはずです。それが実行できなかった背景に、余裕のないダイヤ編成のため定時運行を優先する姿勢があったとの指摘もあります。福知山事故の教訓が生かされていないことに、遺族などからJR西日本の無反省さを厳しく批判する声が上がるのは当然です。台車亀裂についても検査人員削減の影響との関係の検証も必要です。JR西だけでなく政府は徹底的な原因解明と再発防止策を講じるべきです。

「利益・効率」優先でなく

 バス、鉄道、航空機など大量輸送機関は、ひとたび事故を起こせば、その犠牲はあまりに甚大です。「利益追求・効率優先」のために安全という土台を揺るがすことはあってはなりません。悲劇を繰り返さないために、事業者と行政は役割と責任を果たすべきです。


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