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2018年1月8日(月)

2018年 日本共産党はいかにたたかうか

NHK「日曜討論」 志位委員長の発言

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 7日放送のNHK「日曜討論」各党党首インタビューでの日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。聞き手は、島田敏男解説委員と牛田茉友アナウンサーです。


 牛田 次は日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いします。

 島田 よろしくお願いします。

 志位 よろしくお願いします。

今年どう取り組むか

共闘の本格的発展、共産党の新たな躍進をめざす 

 島田 志位さん。冒頭から聞きづらいことを聞きますけれども、昨年の衆議院選挙で議席が減りましたよね。今年、党勢回復の年だと思うんですけれども、どう取り組みますか。

 志位 私たちの議席を減らしたのは残念で、力をつけて、次は躍進を期したいと思っております。ただ、同時に、市民と野党の共闘を一歩前進させることはできたと。これをさらに本格的に発展させる年にしたいと考えております。

 何よりも、憲法9条改定反対をはじめとする野党の共通公約を実現するために、国会内外での共闘を大いに強めたい。

 そして、来年の参議院選挙では、全国32の1人区のすべてで野党統一候補を実現し、勝利をめざす。そのために、この間(国政選挙を)いっしょにたたかってきた立憲民主党、社民党、自由党、民進党のみなさんに、真剣な政策対話と候補者調整のための協議を開始することを呼びかけたいと思います。

 私たち自身の問題について言いますと、共産党の良さを丸ごと理解していただく取り組みを大いに強める。そして、自力をつけて、新しい躍進を期したいと決意しております。

 島田 いま、連携の相手方として名前をあげたなかには、やはり希望の党と日本維新の会は入っていませんでしたね。やはり、この両党とは考え方の開きが大きすぎるというお考えですか。

 志位 希望の党については、ご承知のような経過で、安保法制を容認する、あるいは9条改憲を進めるというお立場ですので、私たちは「自民党の補完勢力」だと批判してきましたが、これを変える根拠はないと思っております。

経済政策をどうする

消費税10%中止、社会保障を削減から拡充に、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を 

 牛田 アベノミクスについてなんですけれども、志位さんは賃金と消費という一番の土台が細っていると批判していますよね。消費を上向かせるためには、いまどのような政策が必要だと考えますか。

 志位 まず、来年10月からの消費税10%は中止する。そして、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって財源をつくる、これが必要だと思います。やはり、消費と所得を押し下げてしまったのは、この前の(消費税)8%増税をやったことが大きかったですから。

 そして、同時に、いま子育て世帯を標的にした生活保護の切り下げが問題になっていますでしょう。社会保障の削減路線は中止して拡充に転換する。

 さらに、「残業代ゼロ法案」など過労死をひどくする方向は許さないで、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」をつくるために、きちんと雇用のルールを整備していく。

 こういう一連の改革を求めていきたいと思います。

 島田 そこで社会保障などの実現のための財源の問題ですね。消費税(10%増税)はいま反対だということですけど、そうしますと、やはり富裕層の課税というのは、かなり厳しくしていくということをお考えなんでしょうか。

 志位 この富裕層の課税ということを考えた場合に、証券取引などへの税金が軽い、海外に比べても特別に軽いわけですね。これを世間並みにしただけでだいたい1兆円は出てきます。

 それから大企業の(課税の)問題は、大企業に対するいろいろな優遇税制があるために、中小企業より大企業のほうが(法人税の)実質税負担率が低くなってしまっている。これを中小企業並みにしますと、4兆円ぐらい出てくる。

 ですから、この二つをやっただけで、消費税2%(分)ぐらい出てきますから、こっちの方向をとるべきだと思います。

憲法改定への対応は

9条改憲案の国会発議を許さない―この一点での揺るぎない国民的多数派を

 島田 そして、憲法です。昨年の衆議院選挙の結果、衆議院では与党、そしてまた憲法改正に前向きな勢力、そうしたものを合わせますと、8割近くということになりますよね。今後の議論に、共産党はどういう姿勢で臨みますか。

 志位 たしかに国会のなかでは改憲派が多数ですけれども、国民のなかではどうか。この前(昨年12月)、日本世論調査会が世論調査をやっていますが、9条改憲に反対という方が53%、(改憲の国会論議は)「急ぐ必要はない」という方が67%なんですね。急いでいるのは安倍さん1人です。国民が望んでもいないものを、安倍さんの都合で、期限を決めて押し付けるということは許されないという、この一致点をしっかりつくっていく。

 9条改憲(案)の(国会)発議は許さないという、この一点で揺るぎない国民的多数派をつくって、安倍さんの側が、恐ろしくて発議ができないという状況をつくる。いま(安倍9条改憲反対の)「3000万署名」に取り組んでいますが、ぜひこれをやりきりたいと思っています。

 島田 安倍総理が提起した9条に自衛隊の存在を明記すると、安倍さんは、ただそれだけであって、9条の平和主義の精神は変わらないというふうにおっしゃるんですが、志位さんはどうみますか。

 志位 そうなりませんね。法律の世界では、後からつくった法律は前の法律に優先するというのが一般原則とされています。ですから、仮に9条2項(戦力不保持)を残したとしても、後から自衛隊を明記する項目をつくりますと、こっちが優先して、2項が死んでしまう。9条を9条たらしめている一番の命は2項です。これがあったために、(自衛隊は)1人の外国人も殺さず、1人の戦死者も出してこなかった。これを取り払ってしまう、あるいは死文化してしまうということになりますと、無制限の海外での武力の行使が可能になりますから、絶対これは反対だということで頑張りたいと思います。

森友・加計疑惑

安倍昭恵氏と加計孝太郎氏を国会招致し、徹底的な真相究明を

 島田 そして、森友学園、加計学園をめぐる問題なんですが、共産党は絶対にあいまいにしてはいけないという主張を続けていますけれども、具体的には次はどういう点を追及していくんですか。

 志位 森友(学園の)疑惑については、財務省の側が森友学園に対して値引き売却の提案をし、「口裏合わせ」までやっていたということを示す「音声データ」が出てきて、その存在を政府も認めざるを得なくなりました。なぜ、売る側(の財務省)が売却にさいして値引きを提案するという異常なことが起こったのか。この背景に、安倍昭恵氏(安倍首相夫人)の関与があったのではないかという疑惑はいっそう深まったと思います。これを追及していきます。

 加計学園(の疑惑)については、2015年6月の国家戦略特区諮問会議のワーキンググループの会合で、加計関係者が出席・発言していた事実が隠され続けていた。速記録も廃棄されていた。つまり、1年半も前から「加計ありき」だったということが明らかになっています。

 ですから、これは、昭恵さんと(加計学園理事長の)加計孝太郎さんに国会にきていただいて、徹底的な真相究明が引き続き必要です。

どうする沖縄基地問題

辺野古新基地断念へ―名護市長選・県知事選で必ず勝利を勝ち取る 

 島田 そして、沖縄の問題です。アメリカ軍基地の移設計画をめぐって政府と沖縄県の対立がいまも続いていますね。これを解消するために、政府にどういう姿勢を求めるのか。この点いかがでしょうか。

 志位 普天間基地――「世界一危険」と言われる普天間基地は無条件に撤去する、そして辺野古(名護市)の新基地建設は断念するということを強く求めたいと思います。

 いまの沖縄の状況というのは、昨日も米軍ヘリの不時着事故が起こりましたが、この間、米軍のオスプレイの墜落、米軍ヘリの炎上・大破、米軍ヘリから部品が保育園に落ちる、窓枠が小学校に落ちる、こういうとんでもないことが起こる。にもかかわらず、米軍はすぐに飛行を再開する。日本政府は(飛行再開に)抗議の一つもしない。こういう事態が続いています。独立国でこんなことが許されるのかということだと思うんですね。

 この問題では、新基地建設反対を貫く名護市長と県知事がいる限り、辺野古の基地は絶対につくれないと思うんです。ですから、2月の名護市長選挙、11月の県知事選挙で必ず勝利を勝ち取るために頑張りたいと決意しています。

トランプ米政権との関係

対米従属外交をあらためていくことは、いよいよ急務になっている 

 島田 そして、トランプ大統領のアメリカとの付き合い方、いまの安倍さんの“日本の安全のためには、親密なことが必要だ”という先ほどの発言をどう聞きましたか。

 志位 トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」ということでやっていることを言いますと、結局、(アメリカは)「米国主導の国際秩序」を戦後ずっとつくってきたわけですが、その「責任」を自ら投げ捨てるということをやっていると思うんです。

 たとえば、地球温暖化防止の「パリ協定」から、米国ただ1国が離脱するということが起こりました。それから、エルサレムをイスラエルの首都に認定するという無法なこともやった。

 そういうときにですね、安倍首相だけが「トランプ・ファースト」でいいのか。これが問われていると思うんですね。私は、トランプ大統領の登場のもとで、対米従属外交を改めていくということは、いよいよ急務になっているということを言いたいと思います。

北朝鮮問題への対応は

南北対話の動きを歓迎、国際社会が協力して成功させていくことが大事 

 島田 最後に、北朝鮮への向き合い方です。対話の兆しが、年が明けて少し出始めたようにも見えますが、安倍総理は“まだまだ、対話のときじゃない”と言っています。志位さんはいかがですか。

 志位 私は、いまの(南北)対話の動きを歓迎したいと思うんですね。もちろん、北朝鮮の核・ミサイル開発は絶対に認めるわけにはいきません。同時に、戦争は絶対に起こしてはいけないということは、みんなの願いだと思います。そうしますと、「対話による平和的解決」、これが唯一の解決策だと思います。

 今度の対話の動きというのは、(韓国の)文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、(トランプ大統領との電話会談で)「まず南北で対話することが、米朝対話の雰囲気づくりにつながる」ということもおっしゃっている。ですから、これは、私は歓迎すべき動きで、ぜひこれは(国際社会が)協力して成功させていくことが大事だと思っております。

 島田、牛田 ありがとうございました。

 志位 どうも、ありがとうございました。


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