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2018年1月7日(日)

辺野古新基地 新見解の正当性探し

岩礁破砕許可なしの違法工事 水産庁「内々」に前例確認

本紙が内部資料入手

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 沖縄県名護市での新基地建設をめぐり、漁業権が一部放棄されたことで、「県への岩礁破砕許可申請は必要ない」とした“新見解”を2017年3月に示した水産庁が、それと同様な工事を行った事例の確認を、その6カ月後に内閣府沖縄総合事務局に対し「内々に」依頼していたことが本紙の入手した内部資料で6日、分かりました。漁業権が一部放棄されても「漁業権は存在し、都道府県への申請は必要」としてきた従来の見解を投げ捨てる“新見解”の正当性の材料探しの「内々の確認依頼」に、県民世論の新たな反発は避けられません。(山本眞直)


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(写真)K1護岸工事で、波打ち際に石材を投入する作業員=2017年11月6日、沖縄県名護市辺野古

 内部資料は、水産庁から確認依頼を受けた内閣府沖縄総合事務局の農林水産部が17年9月に、関係部へ送信した照会メールです。タイトルは「(情報提供依頼↑農水部農政課)水産庁からの確認事項」。

 メールには、「辺野古移設工事に関連し、水産庁本庁から当部に内々の以下の確認依頼がまいりました」と明記。「あくまで内々なので、今回の確認については対外秘でお願いいたします」と取り扱い上の注意まで記されています。

 辺野古移設=米軍新基地建設をめぐっては仲井真弘多・前沖縄県知事が普天間基地の「県内移設ノー」という公約を投げ捨て、辺野古・大浦湾を埋め立てる沖縄防衛局の申請を承認し、岩礁破砕許可を17年3月までの期限付きで認めました。

 沖縄県は、同年4月以降については、岩礁破砕許可申請が必要との判断を示しました。

 しかし、沖縄防衛局は、許可申請は不要とし、工事を続行。水産庁長官が、これまでの見解を投げ捨て沖縄防衛局に同調し、“新見解”を表明。沖縄防衛局の岩礁破砕許可申請なしの埋め立て工事を「追認」しました。

 一方で、水産庁はなぜ、沖縄総合事務局に岩礁破砕許可申請なしの工事事例の確認を求めるのか。本紙の取材に、水産庁漁業調整課は「過去にも、今後もそうした確認依頼の事実はない」とし、沖縄総合事務局農水部農政課も「確認依頼の事実、形跡は確認できなかった」と否定しました。

前例なき無申請工事

米軍新基地建設

「岩礁破砕許可不要」の新見解 根拠示せず

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(写真)違法な岩礁破砕工事の即時ストップを訴え、シュプレヒコールする集会参加者=2017年4月1日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前

 漁業権が一部放棄され、「岩礁破砕許可の都道府県への申請は必要ない」との“新見解”は、水産庁の独自の判断ではありません。当時の佐藤一雄水産庁長官が「県への申請は必要ない」と沖縄防衛局に回答(17年3月14日)する直前の3月8日、官邸で安倍首相、和泉洋人首相補佐官、高橋憲一防衛省整備計画局長、定塚誠法務省訟務局長と協議しています。

 しかし、佐藤長官は国会質疑で、官邸での「意思統一」にもかかわらず、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の「これまでこの(新見解)ような見解を示したことがあるのか」との追及に、「断定的には申し上げられない。事実を確認させてほしい」と答弁(17年4月18日、衆院安全保障委員会)し、前例を示すことができませんでした。

 沖縄総合事務局に事例確認を求めた水産庁の長官は7月の内閣改造で交代した長谷成人長官。水産庁の今回の岩礁破砕許可をめぐる漁業権一部放棄のみでの工事事例の確認依頼は、「前例探し」作業の一環と見ることができます。しかし、沖縄総合事務局の関係者は本紙の取材に「この5年間の範囲で見ても、そうした事例は、水産庁長官の見解表明以前では無い」としました。

 岩礁破砕許可申請なしの米軍新基地建設工事が極めて異例な措置であることが判明しました。

 それどころか国の直轄事業である那覇空港の第二滑走路拡張工事では、事業担当である沖縄総合事務局は昨年1月、地元漁協が漁業権の一部放棄をしていながら、沖縄県に岩礁破砕許可を申請しています。

 沖縄県水産課も「沖縄防衛局の辺野古工事、(昨年10月に岩礁破砕許可が切れた)国直轄工事である石垣港の大型クルーズ船の岸壁整備工事以外はすべて県への岩礁破砕許可申請が出ている」としています。


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