2018年1月6日(土)
改憲へ野望むき出しの安倍首相
地方紙が一斉批判
「不戦の理念崩される」「安保法の既成事実化」
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年頭記者会見(4日)から改憲の野望をむき出しにする安倍晋三首相―。有力地方紙など各紙は年始から、いっせいに安倍改憲について批判、警告する社説や論説を掲げました。
熊本日日新聞(1日付)は9条改憲の動きに対し、「戦後の『平和主義』がないがしろにされかねない気配に対して、大きな懸念を覚えずにはいられない」と表明し、「悲惨な戦争を経てもたらされた『平和主義』」という「戦後日本の誇るべき社会的基盤を一変させかねない」と批判しました。
信濃毎日新聞(3日付)は、安保法制=戦争法のもとで「自衛隊はすでに専守防衛の枠をはみ出す存在」だと指摘し、「自衛隊を憲法に書き込めば、不戦の理念はさらに掘り崩される」と警告。憲法に基づき野党が要求した臨時国会召集を3カ月間たなざらしにした安倍首相に対し、「憲法と向き合う首相の姿勢を問わねばならない」と批判しました。
愛媛新聞(3日付)は「(9条への)自衛隊明記により戦力不保持の規定が空文化し、軍備増強に歯止めがかからなくなることを強く危惧する」として、「憲法をないがしろにする政権に、改憲を議論する資格があるのかも疑わしい」と強い疑問を投げかけています。
高知新聞(3日付)は戦争法について「違憲の疑いが強く残る」と述べ、「米軍との一体化」を進める自衛隊を「憲法に明記することで、安保法を既成事実化することは許されない」と厳しく批判しました。
岩手日報(3日付)は、改憲発議の権限は本来立法府の国会にあるにもかかわらず、行政府の長の安倍首相が改憲案を示し、期限を区切ったことで権力分立の「バランスが崩れた」と批判しました。
安倍首相のもとでの改憲に反対の世論が過半数に達していることを受け、各紙は「改憲を巡る世論との温度差が浮き彫り」(東奥日報4日付)、「首相の『20年施行』は独りよがり」「なぜ今改正が必要なのか、国民的理解が先決だ」(南日本新聞4日付)と批判。全国紙やブロック紙も、「発議をするのは、あくまでも国民世論が熟したとき」(「日経」5日付)、「日程ありきで議論を急ぐべきではない」(「東京」5日付)と警鐘を鳴らしました。