2018年1月4日(木)
主張
2018年の憲法
安倍改憲許さない正念場の年
新しい年2018年は、憲法をめぐり、憲法を守り生かす勢力と、改憲に固執する勢力との、かつてないせめぎあいの年になります。歴代政権でも異常な改憲派の安倍晋三政権は、憲法9条に自衛隊を書き込むことを狙って、今年の国会で改憲案を発議、国民投票に持ち込み、20年には施行しようとしています。広範な団体、個人が呼び掛けた「全国市民アクション」は、「安倍9条改憲NO! 憲法を生かす」を合言葉に、5月3日の憲法記念日までに全国3000万人を目標に、署名運動を繰り広げています。改憲案発議を許さないことが、当面の焦点です。
憲法施行から71年に
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(憲法前文)決意のもとに、アジア・太平洋戦争に日本が敗北した1945年の翌年、日本国憲法が制定され、翌47年に施行されてから、昨年で70年でした。71年の今年を、改憲に踏み出した年にすることは絶対に許されません。
安倍首相や改憲勢力は、現行憲法は占領下で「押し付けられた」ものだとの非難を繰り返しますが、70年以上にわたって1回も改憲されなかったこと自体、憲法が「押し付けられた」ものではなく、国民に定着していることを証明しているのではないでしょうか。
「そもそも改憲に反対」が17・1%、「改憲を急ぐことに反対」が51・3%で合わせて7割近くにのぼり、「賛成」の20・9%を大きく圧倒した時事通信の昨年12月の世論調査(本紙12月16日付)などでも、国民の多数が改憲を望んでいないことは明らかです。
国民が改憲を望まないのは「保守的」なためではありません。憲法の中身が改憲を必要としないほど素晴らしいからです。国民主権や恒久平和主義、基本的人権の保障などを柱とする憲法はかつてアメリカの法学者から「世界でいま主流となった人権の上位19項目までをすべて満たす」(「朝日」12年5月3日付)と言われました。施行70年を前にした昨年4月のNHKの調査でも「9条が日本の平和と安全に役立っているか」との問いに、8割を超える人が「役に立っている」と答えています。こうした国民に改憲を求めることこそ「押し付け」であり憲法破壊です。
衆院の憲法審査会は昨年、イギリスやイタリアに調査団を送りました。その際イギリス下院の欧州連合(EU)離脱委員長と、自民党などが憲法に自衛隊を書き込もうとしていることが話題になり、「自衛隊が防衛だけでなく攻撃できるようになるということか」(自民党議員が否定すると)「(そうでないなら)わざわざ行う必要はない」と言われたことを、参加した日本共産党の大平喜信前衆院議員が紹介しています(本紙12月13日付)。首相が固執する改憲に大義がないのは明らかです。
日本の命運を左右する
安倍首相が言い出した憲法9条に自衛隊を書き込む改憲が実現すれば、戦力の不保持や交戦権の否認などの規定の空文化=死文化にも道を開き、海外での武力行使が文字通り無制限になります。まさに「戦争する国」そのものです。
「政府の行為」で戦争を繰り返さない決意で制定された憲法を守り生かすことは、日本の命運にかかわります。改憲案の発議阻止へ力を尽くそうではありませんか。