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2018年1月3日(水)

新春ざっくばらん対談

精神科医・立教大学教授 香山リカさん

日本共産党書記局長 小池晃さん

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 社会的な発信を続ける精神科医で立教大学教授の香山リカさんと医師で「永田町の病気を治そう」と日本共産党の書記局長として日々奮闘する小池晃さんは1960年生まれの同い年です。笑いや拍手まで出た新春対談では、医師の社会的役割から、総選挙の見方や安倍政権打倒のたたかいの展望など縦横に語り合いました。


香山 国民に分かりやすく共産党の主張とめざす社会を伝えて

小池 戦争反対を貫いた歴史と平和の展望示す党名は誇り

社会を敏感に感じる医療現場

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 小池 あけまして、おめでとうございます。

 香山 ことしも、よろしくお願いします。さっそくですが「杉並・中野・渋谷 多喜二祭」であいさつされますか。

 小池 ええ、その予定です。ことしは戦前の日本共産党員作家だった小林多喜二の没後85周年で2月12日に中野ゼロホールで盛大に計画されています。香山さんが講演をされると聞いていますが。

 香山 ミニ講演です。私は多喜二が活動した小樽の出身なものですから。

 小池 小樽でしたね。で、どうして医師になろうと? 香山さんの本を見ていたら「理学部に落ちたから」とあったけど。

 香山 そうなんです。大学受験に失敗して医学部に。今となってはよかったと思いますけど。

 小池 精神科医には?

 香山 外科や内科は向いていないので。

 小池 僕から見ると精神科医になるために生まれてきたようにみえます。(笑い)

 香山 そうですか(笑い)。小池さんは?

 小池 僕は消化器内科です。

 香山 内視鏡とかなさるんですか?

 小池 内視鏡はけっこう得意でしたよ。医師にいきづまって選挙にでたわけじゃないですから(笑い)。まじめに医師をやっていました。(笑い)

 香山 医療の現場にいると、いちばん社会で起きている問題を敏感に感じることができますね。

 小池 しかも、僕らが医学生から医師になるころは「臨調行革」路線で、どんどん医療制度が悪くなっていました。サラリーマンの窓口負担無料が1割負担になり、老人医療制度も自己負担が始まりました。僕が国会で活動している原点は、この医療改悪で患者さんが経済的に苦しめられている実態が大きかったですね。“日本の政治が病んでいる。この病気を治さないといけない”という思いです。

 香山 私の場合は、精神科医になった前後に、職員が患者さんを暴行・死亡させた宇都宮病院事件があり、入院中心の精神医療がいかにひどいかのルポなどがでていましたから、“それを変えようよ”という熱気や希望が現場にありました。

発信の原点は「診察室の視点」

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(写真)かやま・りか 1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部教授。『しがみつかない生き方』、『リベラルですが、何か?』をはじめエッセーや評論など単著・共著多数。

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(写真)こいけ・あきら 日本共産党書記局長・参院議員(3期目)。1960年東京生まれ。東北大学医学部卒業。1987年に健康文化会小豆沢病院入職。全日本民医連理事などを歴任。書記局長は2016年4月から。

 小池 香山さんはいまも外来で診療をなさっているんですか?

 香山 外来は週3回です。

 小池 これだけ社会的に発信しながら、医師としての仕事はちゃんとやっておられるんですね(笑い)。発信の原点は診察室の視点ですか。

 香山 その通りです。

 小池 政治的にどんどん発言していくのは、かなり前から?

 香山 2002年の日韓ワールドカップを観戦してこれはおかしいなと思って『ぷちナショナリズム症候群』を出しました。当時でっかい声で「君が代」を歌って「日の丸」を振ること自体がすごくびっくりしました。そういう違和感を本に書きました。『劣化する日本人』との新書も出しましたが、たたかれたりはありません。変な右翼みたいな手紙はきたけど、「ひとつの意見だ」と評価する手紙がたくさんきました。なのに、安倍政権になってからは、そういうことを言うだけで“反日的”だとか言われ、逆に目立っちゃう。異様です。

 小池 普通のことを当たり前にいっても政治がどんどん右のほうに傾いて…。

 香山 そうです。私は医師だから“人権は大事でしょう”“一人ひとりは大事にされないといけない”とかいいますよ。貧困の問題から心病む人がたくさんいるから格差がいけないと、立場的に常識的なことを言ってもそれが“反安倍だ”みたいに言われます。私は「安倍さんがやってくれるなら結構です」といいたいぐらいなんですけど。(笑い)

 小池 診察室で見てて、そういう矛盾がどんどん安倍政権になって増えていく。

 香山 その通りです。ちょっとでも転落した人がより状況が悪くなっていくとか。「過労うつ」もすごく多いし。

 小池 若い人だけじゃない。

 香山 女性もすごく大変ですね。女性活躍といわれて、仕事しているのはいいけれど、一方で、日本会議的な“母の役割”みたいなものもじわじわと強調されているのがよくわかります。仕事と育児の両方をやらなきゃいけない脅しみたいなものがありますね。

 小池 追い詰められている感じ?

 香山 追い詰められていますね、女性が。「保育園落ちた」じゃないけど、待機児童の問題はまだまだあるし、大変ですね。

 小池 精神医療の現場で起こっている事態から、今の政治を告発する役割を香山さんにはガンガンやってもらいたい。

 香山 もちろんですけど、もっと若いポピュラーネームのある発言力のある方にも表に出てほしいですね。

 いま忖度(そんたく)社会で、安倍政権への批判をメディアですると、怒られたりはしないんですけれども、だんだん表に出る仕事がこなくなっちゃうとかあります。知り合いのスポーツ選手の方や小説家の方で、“安倍は許せないよね”とかいう人でも、書いたり言ったりしたらというと「それは無理だ」と。すごく変なことで深刻だと思っています。

 アメリカでは反トランプで、映画監督、女優さんとかいろんな方も発言しているじゃないですか。

 小池 でもね、最近、日本でもそういう発言をする方が増えているとも僕は思うんだけれども。萎縮している部分もあると思うけど、その一方で、ツイッターでの発信や集会あいさつなど、ひと昔前に比べると、学者や文化人の方が声をあげるようになってきていると。

 香山 逆風もひどいので、その人たちを孤立させないような仕組みをつくりたいのですよね。別に組合じゃないけど。緩やかな集まりがほしいですね。

医学界は戦争協力の総括必要

 小池 僕は、日本の医学界が戦争協力問題をきちんと総括しないままきているのは大問題だと思っています。香山さんが世話人をされている「『戦争と医の倫理』の検証を進める会」の活動はとても大事ですね。

 香山 「検証を進める会」として日本医学会総会に、(戦争協力に関する)医学界の総括を一つの企画としてやらせてくれと申し入れているんです。いまだ実現できませんね。

 小池 あの戦争のときに731部隊などでは、東大、京大、慶応大などの多くの医学者が戦争に協力して、残酷な人体実験を繰り返したという歴史があったわけです。ところが戦争が終わっても、そこで中心的な役割を果たした人物が日本の医学界の中心に座って、医学部の学部長や学長になっていった。あるいは、薬害エイズ事件を引き起こしたミドリ十字(当時)の前身の「日本ブラッドバンク」などをつくった黒い人脈があるわけでしょ。

 香山 ドイツは、ナチ時代に犯した精神障害者の虐殺に精神科医が加担したってことを認めました。

 小池 あれは学会として謝罪をしたんですね。

 香山 そうです。70年の沈黙を破って、会長が追悼式を開いて謝罪と遺族に対する追悼をしたんです。日本だっていまからでも遅くないから、できるはずです。

 小池 過去の侵略戦争への加担への清算と軍学共同に向かおうとすることへの警鐘は、医学に携わるものこそが先頭に立つべきだと思いますね。

「市民と野党の共闘しかない」

 香山 昨年の総選挙はいきなりの解散になって大変でしたね。

 小池 いよいよ解散というときに、小池さんが…僕じゃないほうの小池百合子さんが「希望の党」を立ち上げて、民進党が丸ごと合流しようとして。安保法制と憲法改正賛成を踏み絵にしたから、僕たちはそれでは自民党と何も変わらないから共闘の対象にならないとはっきりいいました。同時に、そういう流れに合流せずに共闘の立場で頑張ろうという動きは歓迎するとアピールして、民進党が希望の党への合流を決めた日に社民党とは20選挙区で共闘することを合意したんです。その後、立憲民主党も生まれました。

 香山 私は政治について明るくはありませんけど、反原発でいっしょにやっている細川護熙元総理から、“小池百合子さんは良くも悪くもポピュリズム。だから、どっちにも転ぶ”と聞いていたので、“安倍に一矢報いたい”という気持ちがあったゆえに、小池さんに変な楽観的期待がありました。自分の意見を変えるがゆえにうまく巻き込めばリベラルのほうになるんじゃないかと。

 小池 都政では小池都知事が最初は豊洲移転を“たちどまる”といって、私たちも当初は是々非々で臨みました。しかし、その後都民の期待を裏切って豊洲移転をすすめています。もともと小池百合子さんは極右的な思想をもつ改憲論者です。もしも彼女が国政に出てくると、その正体があらわになるのではと。これでは「希望」はもてないと(笑い)。

 香山 あのとき、こちらも一瞬気持ちが揺れたのは、原発ゼロを言い出したじゃないですか。(笑い)

 小池 一瞬ですよね。

 香山 関東大震災時の朝鮮人犠牲者式典に追悼文を送らないというあたりから、排外主義的なものは隠しきれませんでしたね。(共産党の)小池さんたちもいろいろ悩んだんですか?

 小池 正体見たり、という感じで、あんまり困らなかったですよ。

 香山 野党共闘にもですか。

 小池 これしかないと思いました。安倍政権の暴走を止めるためには市民と野党の共闘しかないと。

 香山 私の知っている共産党の谷川智行さん(東京7区予定候補)は、誰がみてもいい人ですが、選挙区候補を結局おりました。悔しい思いはありませんでしたか。

 小池 みな素晴らしい候補者ばかりでした。市民と野党の共闘を守り抜こうと、全国67選挙区で立候補を取り下げるということは決して簡単なことではなく、すごい葛藤がありました。でも、政治を変えたい、安倍政治を倒したいとやっているから、共闘の大義のためにおりる決断をしていただきました。改めてスゴイ党だなと思います。「共産党は身を挺(てい)して日本の民主主義を守った」と多くの識者の方々から評価していただいたのもうれしいことでした。あのまま進んで「希望」が野党第1党にでもなっていたら、改憲推進勢力による二大政党化がすすみ、国会の空気はかなり変わったことは間違いないですよ。逆流をはねのけて野党と市民の共闘をすすめる勢力が、3野党(日本共産党、立憲民主党、社民党)では38議席から69議席に増えました。共産党は緊急事態だったので候補者を一方的におろしてでも共闘のために力を尽くしました。これは、日本の政治が改憲の方向にすすんでいくことを止める力になったと思います。

 香山 なるほど。

 小池 比例代表選挙では共産党自体の議席は減らしてしまうことになり、そこは本当に悔しい結果でした。これは僕たちの力不足だということで、いま真剣に力をつけていこうと努力を開始しています。

 香山 正直言って、国民不信にならないですか。私だったらなるかな(笑い)。立憲民主の支持者の中にも立憲民主のために選挙区で候補者をおろしたから「比例は共産へ」という声もありましたが。

 小池 そういう動きが出てきましたね。

 香山 結局ふたを開けてみたら、比例も、それは別に悪いことじゃないけれど、立憲民主に入れた方も多かったと思うんですね。約束が違うじゃないかとか(笑い)、そういう気持ちにはならないもんですか。

 小池 少しはなりますよ。

 香山 あーっははは(拍手)。正直ですね。

 小池 でも、政治の場面ではそういったことは起こりうるわけです。

 香山 そうですね。

 小池 今回、共産党がいやがられたり、反共産党の風が吹いて追いつめられたという選挙じゃないので。

 香山 誰もが共産党の決断に感謝しました。

 小池 市民と野党の共闘を真剣に求める共産党にたいして、有権者は温かかった。多くの市民のみなさんから「共産党に感謝する」という声が寄せられました。それはすごく支えになっていますね。

 香山 ある意味で次に続くっていう感じですか。

 小池 ええ。今後に続く結果です。ただ僕ら自身の課題は残りました。いまは共闘の時代です。まともな共闘相手が国政の中で生まれてきたときに、共闘相手をリスペクトする=尊重しながら“共産党じゃなきゃダメなんだ”と積極的に共産党を選んでもらう活動を日常的に広げなければと。それが僕らの課題だと思っています。

 ことしは、市民と野党の共闘を本格的な共闘にすすめる年にしたいですね。

 香山 逆に言えば、いましかありません。

 小池 いままでの自民党政治は建前ではあっても戦後民主主義の土台の上に政治をやってきたけれども、安倍政治というのは戦後民主主義を否定する政治なわけです。保守というより、反動というか、民意無視の戦後民主主義の破壊者ですよね。

 香山 日本を壊さないで、と言いたい。

 小池 それに対峙(たいじ)するのは、保守的な立場の人もふくめた、幅広い市民と野党の共闘です。

共産党らしさとは何だろうか

 香山 逆にお聞きしたいのは、今の共産党の姿勢や、やってらっしゃることには、何の違和感もないのですが、「じゃあなぜ共産党なの」という共産党らしさはなにかということです。立憲民主主義とか社会民主主義に埋没されない差別化をどう考えるか。

 小池 共産党の個性や共産党らしさをもっと鮮明にうち出した方がいいと。

 香山 自分は無責任な外野ですけれども、共産党っていいんじゃない、正しいんじゃないって思うけれど、逆にそれが、じゃあ共産党じゃなくてもいいんじゃないの?っていうふうになってしまいかねない。

 小池 例えば、政策でいえば、立憲主義・憲法をきちんと守っていく政治を取り戻そうというところまでは、共闘する野党間で一致しています。では、なぜ立憲主義破壊の政治が起きているのかといえば、日米軍事同盟優先の政治があるのです。安保法制=戦争法そのものが「日米新ガイドライン」を具体化するためのものでした。安倍首相が安保法制にあれだけ執念を燃やしたのも日米軍事同盟強化というアメリカの要請にこたえるためです。従属的な軍事同盟をやめて、本当の意味での独立国家になる必要があると共産党は主張しています。

 香山 広い意味にいうと、日本における共産党の立ち位置ということですよね。

 小池 “神を信じるものも信じないものも”を合言葉にしたレジスタンスのたたかいがあったヨーロッパとは違って、日本は戦前、共産党以外の政党がすべて大政翼賛会に合流して、みんな戦争礼賛の歴史をもっているなか、戦前戦後を通じて反戦をつらぬいたということは僕たちの誇るべき歴史です。そういう意味でぶれない。いまも絶対に市民を裏切らない。自民党政治の根本にあるアメリカに対する従属や大企業とか財界の政治支配に対してしっかりタブーなく切り込んでいくことは、共産党らしさの真骨頂です。

 香山 それはよくわかります。

 小池 僕らが国会論戦でほかの政党と違うなと思うことがあるのは、企業の名前をあげて追及するときです。ほかの政党は、企業の名前を出すことは遠慮しがちです。共産党は大企業からいっさい献金を受け取っていないこと、「しんぶん赤旗」も大企業の広告を掲載しない。そういうことも大きいと思っています。

 香山 そのときこそ本領発揮ですね。

 小池 沖縄の米軍新基地建設でも、相次ぐ米軍機の事故でも、政府はアメリカに何も言えない。まるで「属国」です。この根源にある日米安保条約をやめて、アメリカとは対等平等の友好条約を結ぶという道を示しているのも、共産党ならではですね。

 香山 オバマ政権のときは対米従属から離脱するとはちょっと言いにくい。オバマさんは核をなくそうとしているのに、と逆に反感を買う。でも、トランプさんが大統領になってから“あのアメリカに従うのか”と言いやすいと思いますね。

 小池 核兵器禁止条約だって、国連の会議に参加しようとすらしないですから。

 香山 そうですね。悲しかった。

資本主義乗り越える未来社会

 小池 共産党ならではという最大の値打ちは、社会主義・共産主義というわれわれの掲げている未来社会論です。いまの政治課題として、すぐにそれを実現しようと言っているわけではありませんが。

 香山 現状を肯定しつつ、ビジョンを提供というなら納得します。

 小池 資本主義が人類最高の形態で、これでもう人間の歴史はおしまいなんでしょうか。ここからさらに一歩すすんでいくことができるんではないかと。長時間労働や貧困と格差の拡大のなかで、マルクスが指摘した“人間の浪費”の実態があり、企業の利潤第一主義がその根底にあります。

 地球温暖化対策もまともな手を打てない。ここにも資本主義の利潤第一主義がその根底にあります。これを本当に解決・コントロールしていくためには、生産手段を一握りの資本家の手から社会の手に移す「生産手段の社会化」が必要じゃないかと。崩壊したソ連は、社会主義とは無縁の抑圧社会でした。僕たちがめざしているのは、発達した資本主義の段階から、国民の合意でそれを乗り越えてすすむ新しい未来社会です。人類の歴史でもはじめての挑戦です。

 香山 それは北欧型とも違う?

 小池 北欧は資本主義社会ですからね。僕らは、当面のビジョンとして、まず資本主義の枠内で可能な民主的改革です。たとえば、僕たちはルールある経済社会づくりをめざしています。ヨーロッパのように労働時間規制をきちんとする、社会保障制度を抜本的に充実する。そういったことを実現した上でさらに、“人間の浪費”から個人の自由の開花など資本主義の制約から解放された社会へ発展する。利潤追求主義から抜け出す社会をつくろうと。だから共産党を名乗っているわけです。いちばんのほかの党との違いですね。

 香山 なるほど。それをきちんと国民にいい形でうち出すといいですね。自民党は「共産主義っていうのはみんなが貧乏になる。近代的な暮らしができなくなる」とか必ず脅し型のプロパガンダできます。

 小池 「人民服を着せられる」とかね。

 香山 普通に聞いたら笑っちゃうようなプロパガンダってすごく有効ですよ。だからこそ、こっちからこういう社会がめざすべき社会なんだということを、うまく出せればいいですね。

 小池 僕らは積極的に共産党を応援してくれる人を増やそうとしているなかで「共産党という名前はどうなんだ」という疑問も寄せられます。むしろ僕は「名前こそ魅力なんだ。名前にこそ価値があるんだ。戦争反対と国民主権を貫いた歴史が刻まれている」と話しています。

 香山 党名を変え、聞こえのいい、ソフトな名前にするのは間違いですよね。

 小池 誤解をとく努力をしっかりしていきたいですね。地道に丁寧に、やっていくしかないと思います。

改憲発議させぬ運動と世論を

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(写真)9条改憲許さないと声をあげる人たち=2017年11月3日、国会正門前

 香山 今年って、改憲の国民投票までいくんですかね。

 小池 いやいや、それは絶対にさせない。僕らは、“国民投票の発議をさせない”という一点で、巨大な運動と世論をつくっていく一年にしたいですね。世論調査でも9条を変えることに反対が多数ですから。これをもっと広げていきたい。

 香山 昨年ですが、東京土建調布支部の「憲法勉強会」の講師として行ったんです。ジャンパー着で仕事が終わった人やおかみさん、みんな本当に勉強熱心なの。質問のレベルがすごく高くて逆に「申し訳なかったな、こんな話」って思うくらい(笑い)。現場をもってそこの皮膚感覚でいろいろ考えながらものをいう人って強いなと思いました。

 小池 安倍9条改憲阻止のたたかいでいちばん大きな力になるのは香山さんも呼びかけ人になっている3000万統一署名です。どこでも街頭で訴えると短時間に多数の署名が集まります。やっぱり9条は変えちゃいけないと思っている人は多いですよ。

 香山 大勢集まった昨年の3000万署名のキックオフ集会のとき、どっちかというと高齢の方が多いじゃないですか。“みなさんぜったい安倍よりも一日でも長く生きることを目標に元気を出して頑張りましょう”と言ったらみんなにすごく受けて。(笑い)

 小池 いいじゃないですか。(笑い)

 香山 私たちもはっと気づくと還暦に近い感じで(笑い)。いまのようにさえている時間はあと10年ぐらいかもしれないから。やっぱり自分がやってきたことは信じて正しかったって思いたいと思います。

 小池 じゅうぶんに発信しているじゃないですか(笑い)。今年は、安倍政権終わらせる一年にして、改憲もきっぱりあきらめさせる一年にしましょう。

 香山 そうですね。来年も新春対談があれば(笑い)「よかった。終わりましたね」と(笑い)あいさつしたいですね。

 小池 そういう一年にしましょう。


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