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2017年12月29日(金)

豊洲追加工事 ゼネコン主導5.7億円上乗せ

指名停止中の大成と随契

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 東京都が築地市場(中央区)の移転先に決めた豊洲新市場予定地(江東区、東京ガス工場跡地)の土壌汚染の追加対策としている9件の工事がようやく年内発注にこぎ着けました。入札不調を繰り返し、大手ゼネコン3社の要望を受け入れて予定価格を大幅に上乗せし、3社への発注額は当初の予定価格を計5億7600万円余も上回りました。入札不調騒ぎを取材する中で、大手ゼネコンの強気の姿勢と、自ら定めたルールを破ってまで発注を急ごうとする都の異常な譲歩の実態が浮き彫りになりました。

 (岡部裕三)


 追加対策工事の入札は、来年10月に市場の移転強行をめざしている小池百合子知事の方針の下で、10月から12月にかけて実施。1回目の入札で契約できたのは9件中2件だけ。このため都は再入札を繰り返し、最後は、自ら指名停止処分にした大成建設と特命随意契約を結ぶルール違反も演じました。

 工事は、▽汚染地下水をくみ上げる地下水管理システムの増強▽市場施設の地下空間床面のコンクリート敷設▽地下空間にたまった汚染物質を地上に強制換気する設備―の3種類。5街区(青果棟)、6街区(水産仲卸売場棟)、7街区(水産卸売場棟)の三つの区画に分けて入札を行いました。

 このうち地下水と地下空間床面工事は、それぞれ土壌汚染対策や施設建設を請け負った大手ゼネコンの鹿島建設、清水建設、大成建設の3社が計32億1124万円で受注しました。

 10月30日に最初に行った地下水管理システム工事入札には、鹿島と大成が応札しましたが、予定価格(事後公表)を大幅に上回り、6街区の応札企業はゼロで入札不調となりました。

 このため都は、大手ゼネコンにヒアリングを行い、要望を受け入れて、21日後に公表した再入札の予定価格は、1回目より計約5億円(4割)も上乗せした上、予定価格を事前公表し、1者入札禁止ルールまで外しました。6街区の清水の落札率(予定価格に占める落札額の比率)は100%、他2社の落札率も99%台と異常な高さでした。

 続く地下空間の床面工事入札は、5街区が1回目で落札しただけで、6街区と7街区は不調となり、再入札や特命随契で1回目の予定価格より10%近く上乗せして発注しました。

 中でも異常に感じたことは、小池知事が自ら導入した入札制度改革のルール(1者入札禁止、予定価格の事後公表)を破った上、予定価格をゼネコン言いなりに大幅上乗せし、2カ月の指名停止処分にしたばかりの大成建設との間で特命随意契約を強行したことです。

 「指名停止中の企業に工事発注をすることは、どうみてもおかしい。随意契約で発注することは、指名停止の意味を都が自ら否定するものだ」(東京市民オンブズマンの清水勉弁護士)と批判の声が上がっています。

 一方、中小企業が受注した地下空間の換気設備工事は3件中2件が不調となりましたが、再入札での予定価格の増加額は最高でも14万円止まりです。

 都財務局の元幹部は記者に語ります。

 「豊洲市場の整備費や追加対策工事費が大幅に増えたのは、先に市場移転ありきで工事発注を急ぐ都の弱みにつけ込まれて、工事契約の主導権を大手ゼネコン側に握られた結果だ。大手3社には都の幹部OBがたくさん天下りしているから、強くは言えない」


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