2017年12月26日(火)
サポーターと考える「日本改革の展望」 シリーズ第1弾
大阪振興から未来社会論まで
座談会(下)
共産党前衆院議員 清水 忠史さん
民青大阪府委員長 酒巻 眞世さん
カジノ問題を考える大阪ネットワーク代表・阪南大学教授 桜田 照雄さん
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桜田 カジノは「観光政策」で観光客がたくさん来たら地域が潤うから「公共に資する」という。ところが、「観光政策」でもなんでもない。
●行ってみたい食い倒れの街
清水 外国人観光客はカジノ目当てで日本に来ない。和食を食べること。ニューヨーク・タイムズが2017年行ってみたい街ランキングで大阪を選んだのは、食い倒れの街だから。お好み焼き、たこ焼き、すし、うどん、ラーメン、すき焼き、おぜんざい、蟹(かに)すき、てっちり。パチンコを打ちたいと開店前に並んでいる外国人を見たことはありません。
酒巻 ありませんね。
清水 昨年1年間で、中国人に次いで多く日本を訪れた外国人は韓国人です。韓国大使館の検事によると、日本にカジノができた場合、カジノに韓国人も入ることはできるが、賭けた回数と金額によっては常習賭博罪に問いますという答え。多く日本を訪れている韓国人が入れば自国の刑法によって訴追される恐れのあるカジノが、観光政策になるはずがない。
桜田 観光政策にならないのはもちろん、他人の金をまきあげるばくちで経済が良くなるはずがありません。カジノ誘致関連事業に金をつぎ込めば、その分、福祉や教育に回す金が減らされる。カジノには依存症がつきまといます。悩む人が増えるほどもうかるビジネスは、地獄のビジネスです。
清水 「観光政策」というのだったら、大阪のお笑い、伝統、文化、食をもっと大事にすることですね。「食い倒れはあっても、行き倒れはない」。この人情味あふれる大阪の魅力をもっともっと発信するべきです。
リニアも愚の骨頂です。ストロー現象といって、大阪や名古屋の人がいっそう東京に吸い上げられるだけです。
それと、東京のマネはやめることですね。「副首都」とか。「都」構想とか意味がない。
カジノより保育所、万博より特養ホーム、リニアよりシニア(笑い)。買い物難民も深刻、病院に行くのも大変だから、リニアより赤バス(コミュニティーバス)に乗りたい。これが庶民の願いです。
●若い人からは共産党って?
酒巻 共産党は、政策を話すと共感されてやってほしいとなるけど、なんでも反対とか、ソ連や中国といっしょやないかという声も。若い人と話をしていて「共産党ってなんですか」みたいな話から入ることが多いですね。
清水 財界が幅を利かし、財界から支援を受けた政党が権力を持ち、マスメディアを牛耳る。声をあげていく自覚的な労働者の運動を大きくしていくことや主権者教育が大切だと思います。
社会主義、共産主義イコール全体主義というイメージがある。それと対極が自由と民主主義と思われている。そうではなくて、共産主義、社会主義は自由と民主主義を一番大切にするし、資本主義の価値あるものをすべて引き継いで矛盾を乗り越えていく。
人類の歴史を振り返って、資本主義が到達した最良の経済形態かというと、戦争、破壊、貧困、飢餓、あるいは地球温暖化など乗り越えられない矛盾がある。資本主義は利益第一主義だから。この矛盾を乗り越えていく変革の中心が生産手段の社会化です。わかりやすいのは、原発ですよ。あれだけ事故を起こして、とてつもない被害を出しているのに、もうけのために、まだ動かしている。
国民は飛躍した生産能力を誇るのに、資本家がそれを一手に握っているものだから、豊かな生活にならない。未来社会では、こういう問題は必ず解決していけます。
ところで、お二人は何か趣味はあるんですか。
酒巻 陶芸ですね。
桜田 私はスキー。
清水 人間はいろいろ好きなことがあるけれど、日々の生活に追われて好きなことができる時間がなかなかない。生産手段の社会化は労働時間の短縮を可能にし、人間の個性や能力を発展させる土台をつくり出します。
マルクスは「共産党宣言」で「各人の自由な発展が、万人の自由な発展のための条件である連合体が現れる」としています。そういう社会主義・共産主義社会をめざしていることに誇りを持たないと、なんで共産党という名前を変えないんですかという正面からの回答にはならないと思うんです。
共産主義、社会主義の未来社会論を語ることに、いささかも気後れや躊躇(ちゅうちょ)があってはなりません。
●世代をつなぎ100年近い歴史
桜田 今の問題を解決する努力が未来社会につながるというところが、共産党のすごいところやね。世代をつなぎ、バトンタッチしながら。それが100年近い歴史につながっているんやろな。
酒巻 勉強になりました。私は大阪に住み続けたいし、友だちの生活も良くなってほしい。カジノの問題も学ぶし、清水さんのように面白おかしく伝えていくのも一生懸命やっていきたい。絶対国民を裏切らないところが、共産党の魅力。私たちの願いを国政に届け、政治を変えていく確かな力になってくれる共産党の魅力も伝えていきたいな。(おわり)