2017年12月22日(金)
廃炉決定1年 もんじゅ視界不良
燃料の取り出し・搬出先は
政府が廃炉を決定して21日で約1年たった日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。6日には廃棄措置計画(廃炉計画)の申請が、原子力規制委員会に出され、計画認可されれば、廃炉への取り組みが本格化するとしています。しかし、計画の多くは具体化されておらず、見通しは不透明です。
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機構の計画は廃炉期間を2048年3月までの約30年とし、全体の工程を4段階に区分しています。
手法決まらず
第1段階の燃料の取り出しは、23年3月までとしています。第2段階以降の放射能を帯びた1次系のナトリウム取り出しなどについては具体的な手法も決まっておらず、段階的に検討して計画に反映していくとしています。
19日に開かれた、もんじゅ廃炉に関する規制委の検討会では、第1段階に関しても具体的な記述が不十分との指摘がありました。燃料取り出しの詳細な計画や第1段階で抜き取るとしている、放射能に汚染されていない2次系のナトリウムを移す貯蔵容器の設計なども具体的に示されていません。
第2段階以降は、1次系のナトリウムの取り出しなどの課題があります。炉内の底部にナトリウムがたまる構造のため、その取り出し方法を決める必要があります。さらに抜いた後に、水や空気に触れると激しく反応するナトリウムをどう処理するかも課題です。
見通しはなく
使用済み燃料をどこに搬出していくかなども不明です。福井県と敦賀市、同機構との協定は、政府が核燃料とナトリウムの県外搬出に向けた方法や期限に関する計画を約5年後に示すとしています。機構は政府の決定を待って計画に反映するとしています。
一般に発熱量や放射線量が高い使用済みMOX燃料は、再処理を行う施設もなく、持っていく先は、見通しが立っていません。
もんじゅの廃炉費用は、廃炉期間中の管理費なども含め総額約3750億円と見積もられていますが、さらに増大する可能性があります。今年認可された通常の原発の廃炉計画は、期間が30年前後とされています。燃料の取り出しだけで5年以上を要し、技術的な課題を抱えるもんじゅの廃炉が30年で終えるという計画は、もんじゅの開発時の計画と同様に楽観的に映ります。
運転だけでなく廃炉も困難を極める高速炉。しかし、政府はもんじゅ失敗の総括もせずに、もんじゅの当事者でつくる「高速炉会議」を設置し、無責任にも国内でも新たな高速炉開発を進めようとしています。
(松沼環)