2017年12月22日(金)
きょうの潮流
「空気が読めないやつだなあ」と言われたことはありませんか。「K(空気)Y(読めない)」という言葉がはやったこともありました。でも、「空気を読まない」ことを誇りとし、その場の空気に流されず権力に立ち向かう人たちがいます▼とにかく2人の話には圧倒されました。1人は大阪で聞いた東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者。もう1人は京都で聞いた前文部科学省事務次官の前川喜平さんです。いずれも会場は大盛況でした▼望月記者は、首相官邸での記者会見で「そのような指摘はあたりません」「まったく問題ありません」とくり返す菅義偉官房長官に食い下がる質問が話題になりました。「私は警察や検察、権力者にとって隠したいと思うことを明るみに出すことをテーマにしてきた」▼日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑、武器輸出や森友学園・加計学園疑惑に取材は及びます。社会部記者でありながら、官邸での菅官房長官の定例会見に出かけ、「加計ありきではない」という言い訳をしつこく崩そうとする▼望月記者もインタビューしたのが前川さん。「あったものを、なかったことにはできない」。加計学園の獣医学部新設をめぐりあるべき行政の姿がゆがめられた。事務次官だった前川さんの証言は衝撃的でした▼「憲法の原理原則に立つのか。壊すところまで踏み込むのか」「政治が教育を決めていいのか」。講演では教育への熱い思いを語りました。時の権力が醸し出す「空気」を読もうともしない2人の姿勢が小気味よい。