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2017年12月18日(月)

主張

アベノミクス5年

「経済再生」には程遠いまま

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 2012年12月末に安倍晋三首相が政権に復帰し、第2次政権を発足させてからまもなく5年になります。この間2回の総選挙があり、安倍政権は今や第4次政権になりましたが、政権復帰時、震災からの「復興」や「危機管理」と並んで最重要課題に掲げた「経済再生」はいまだ実現していません。さきに発表された今年7〜9月期の国内総生産(GDP)改定値も7四半期連続の上昇というものの動きは鈍く、「外需」に依存した脆弱(ぜいじゃく)な体質で、特にGDPの約6割を占める個人消費は前期比0・5%のマイナスです。国民の暮らしはよくなっていません。

「トリクルダウン」は失敗

 政権に復帰以来、ことあるごとに「経済再生」最優先と繰り返してきた安倍首相は、自らの名前を冠した「アベノミクス」を政策の基本としてきました。日本銀行と一体になった「大胆な金融緩和」、国債を増発しての「機動的な財政運営」、さらには規制緩和などによる「成長戦略」を、「3本の矢」にするというものです。その後、GDP600兆円と希望出生率1・8、介護離職ゼロを「新3本の矢」と呼んで「アベノミクス」の政策目標にしました。さらに「人づくり革命」と「生産性革命」を「新しい政策パッケージ」だと持ち出してきました。

 基本となる「3本の矢」は、金融緩和や財政拡大で円安や株高を実現すれば大企業や大資産家のもうけが増え、回り回って国民の雇用や所得、消費も増えるという「トリクルダウン」(滴り落ち)の発想が根幹です。しかし懐が豊かになった大企業や大資産家が内部留保やため込みに回しているのが現状で、いつまでたっても国民の生活は改善しません。

 安倍政権になってからの消費税の増税もあって、消費の低迷は長引き、成果が見えない「アベノミクス」の目先を変えようと「新3本の矢」や「新しい政策パッケージ」を打ち出したというのが実態です。GDP600兆円などの目標達成は遠く、「トリクルダウン」に頼る政策の失敗は明らかです。「新しい政策パッケージ」も、消費税の再増税を前提にし、「生産性」を向上させた大企業に減税するなど大企業中心の政策です。

 「アベノミクス」の破綻は明らかです。近代経済学者の吉川洋氏らも12月初めの「日経」に寄せた「アベノミクス5年」の論評で、安倍政権になってから経済成長率が低いことを挙げ「経済成長率は消費の動向に大きな影響を受ける。この消費が弱いのが日本経済の大きな問題だ」と指摘します。財界団体の経団連でさえ最近、個人消費の低迷を打ち破るためには「所得の引き上げ」が必要だとの報告をまとめたほどです。国民の暮らしをあたため、消費を拡大しなければ景気はよくなりません。

国民本位の経済政策に

 安倍政権がこの5年間、選挙の時には経済政策を前面に売り込みながら、選挙が終わると秘密保護法や安保法制=戦争法、共謀罪法などの制定、改憲などを持ち出す、国民だましの手法をとってきたことも重大です。

 国民本位の経済再建のためにも、憲法破壊の政治を許さないためにも、安倍政権の暴走を中止に追い込み、国民の所得と消費を増やして経済と暮らしを立て直す政策に、根本的に転換すべきです。


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