2017年12月13日(水)
ICAN ノルウェー首相・議長・各党議員らに
条約への署名要請
【オスロ=島田峰隆】ノーベル平和賞の授賞式を終えた国際的なNGOの連合体「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長らは11日、オスロでノルウェーのソルベルグ首相、国会議長、議会の外交委員会の主要メンバー、各党議員と面会し、核兵器禁止条約の署名や批准を要請しました。
ノルウェーは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国ですが、2013年には核兵器の非人道性に関する第1回国際会議をオスロで開くなど、核兵器禁止条約をつくる流れにかかわった国です。
会談後に首相と共同記者会見したフィン事務局長は「核兵器の使用を防ぐことは核兵器の廃絶によってのみ達成できます。核兵器禁止条約はそれに向かって進む道です」と強調。「ノルウェー政府には条約に参加するよう圧力をかけ続けます。核兵器の禁止、廃絶へどう進むのか、緊密に協力して取り組めることを楽しみにしています」と述べました。
ソルベルグ首相は、ノーベル平和賞受賞に祝意を示し、「ICANは核兵器のない世界を願って世界全体で市民社会を動かすうえで非常に重要な役割を果たしてきた」と評価しました。一方で、核保有国抜きで核兵器の禁止を追求することは効果的ではないとして、「禁止条約には署名しない」と語りました。ただ「核爆発がもたらす人道的な結末を深く憂慮している」とも強調しました。
一通りの面会を終えた後に記者会見したICAN国際運営委員の川崎哲さんは「禁止条約に否定的な保守派の議員からも、受賞について『おめでとう』と言われました」と語り、首相は署名しないと語っているものの「議会では、まだまだ議論できるのでは」と感想を語りました。
川崎さんと面会した議員らによると、ノルウェー国会は、核兵器禁止条約に署名した場合にどのような結果や意味合いがあるかについて、政府が来年1年間をかけて調査・研究を行うという方針を近く正式決定するといいます。