2017年12月13日(水)
主張
名護・墜落事故1年
オスプレイは日本から撤去を
沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に配備されている垂直離着陸機MV22オスプレイが昨年12月13日に同県名護市の海岸に墜落して1年がたちました。普天間基地所属のオスプレイはそれ以降もオーストラリア沖で墜落し、緊急着陸のトラブルも各地で引き起こしてきました。日米両政府の「安全」宣伝とは逆に、危険な欠陥機であることが鮮明になっています。
構造的欠陥が浮き彫り
昨年12月13日夜、オスプレイが名護市安部の浅瀬に墜落した事故は、MC130特殊作戦機と空中給油訓練をしている際に起きました。オスプレイは、両翼にあるプロペラを前方に向けた固定翼モードで空中給油を受けます。給油の際、オスプレイの右側のプロペラがMC130から伸びたホースの給油口に接触して壊れ、機体のバランスを崩して徐々に下降・墜落し、乗員2人が負傷しました。
事故では▽オスプレイに付いている給油管の近くで回転している左右の巨大なプロペラがわずかな操作ミスでも給油口に接触する危険がある▽繊細にできているプロペラは給油口に接触すればばらばらに壊れる▽オスプレイは残ったプロペラ1基では飛べず、制御不能になる―など機体の構造的欠陥の一端が浮き彫りになりました。
8月には米豪合同軍事演習に参加していた普天間基地所属機が墜落し、乗員3人が死亡したり、9月には中東シリアで過激組織IS掃討作戦の支援任務に就いていたオスプレイが墜落し、2人が負傷したり、最も重大な「クラスA」事故が相次ぎました。このため、オスプレイが死者や総額200万ドル以上の被害などを出した「クラスA」事故の10万飛行時間当たりの発生件数(事故率)は、普天間基地に配備された2012年の1・65(9月末時点)から今年は3・27(同)へと急増しました。
一般に航空機の事故率は開発直後に高く、改良を重ねて次第に下がり、老朽化すると再び上昇します。老朽化前にオスプレイの事故率が増加しているのは極めて異常で、欠陥機の証しとも言えます。
墜落だけではありません。この1年でオスプレイは、奄美、大分、新石垣といった民間空港への緊急着陸なども繰り返しました。大分空港では機体から炎と煙を上げ、エンジンまで交換しました。
安倍晋三政権は昨年12月と8月の墜落事故で普天間基地所属機の飛行停止・自粛を求めましたが、米軍が詳しい原因を明らかにしないまま「機体の安全」を宣言した途端、飛行再開を認めてきました。安倍政権がオスプレイの飛行を野放しにしている責任は重大です。
辺野古新基地の阻止を
名護市の海岸での墜落事故では、沖縄と日本の植民地的実態も改めてあらわになりました。基地の外なのに米軍は事故現場を統制し、海上保安庁の捜査申し入れも無視して「物証」となる機体を持ち去りました。一方的な機体の回収は10月の沖縄県東村の米軍ヘリ炎上事故でも行われました。基地の外で日本の警察権行使を認めず、証拠を隠滅したのは主権を侵害する無法行為に他なりません。
オスプレイの基地がある限り、事故は沖縄をはじめ国内どこでも起こる危険があります。オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、名護市辺野古の新基地建設を阻止することが必要です。