2017年12月8日(金)
きょうの潮流
さかのぼること紀元前1000年。古代イスラエルのダビデ王によって定められた聖都。それがユダヤ人による永遠の首都エルサレムだと彼らはいいます▼「それを認めることは、何より歴史的に正当なことだ」。イスラエルの閣僚らは喜色を浮かべ歓迎しました。トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と承認し、米大使館を移す方針を決めたことを▼歴史的な日としたネタニヤフ首相は「エルサレムは3000年にわたって我々の希望、夢、祈りの要だ」とツイッターに投稿。一方で、エルサレムを首都とする国家の樹立をめざすパレスチナをはじめ世界中が強く反発しています▼パレスチナ自治政府のアッバス議長は「和平を達成するためのすべての努力を台無しにするもの」と非難。「過激派組織が仕掛ける宗教戦争を助長し地域全体に損害を及ぼす。それは重大な局面を経て、終わりのない戦争へと我々を導くだろう」と警告しました▼イスラム、キリスト、ユダヤの3宗教の聖地が混在し、世界の縮図ともいわれるエルサレム。複雑な成り立ちやイスラエル建国の経緯もあり、国際社会はその帰属についてイスラエルとパレスチナの交渉で決めるべきだとしてきました▼国連では緊急会合が呼びかけられるなど、各国は対立の深まりを懸念しています。パンドラの箱を開けたトランプ大統領。人びとが安息をもとめる祈りの街に災いをもたらす愚かさ。世界に壁を築き、火種をまき散らすこのトラブルメーカーを止めなければ。