2017年12月3日(日)
足りない保育整備計画
安倍政権が利用を過少試算
女性就業率80%で申込率53%
安倍政権が、待機児童の将来推計を過少に見積もって保育の整備計画を立てていたことが明らかになりました。民間シンクタンクからは、政府の整備計画のままなら約60万人分の受け皿が不足するとの試算も出ています。
安倍政権は「男女共同参画基本計画」で、25〜44歳の女性就業率を14年の70・8%から20年に77%に引き上げるとしています。今年5月には22年度までに32万人分の保育の受け皿を整備するとした「子育て安心プラン」を発表(その後20年度に前倒し)。菅義偉官房長官は32万人について「女性の就業率80%に対応できる数字だ」と胸を張りました。
しかし、野村総研は5月、女性就業率77%の達成には88・6万人分の新たな施設整備が必要だとする試算を発表。政府の子ども・子育て会議でも、政府の整備計画に疑問の声があがっていました。
政府は11月29日の同会議で、32万人分の整備計画について、23年時点の女性の就業率を80%、保育の利用申込率を53・6%として試算したと報告。3割近くが申し込まないことを前提としています。
申し込みの有無を基準にすると、保育の利用をあきらめた人は計算式から外れます。
会議では民間委員が、野村総研が9月に発表した調査で、保育利用の希望がかなわなかった保護者の4割が「そもそも申し込みを行わなかった」と回答していることを指摘。試算のやり直しを求めたものの、厚生労働省は応じる姿勢を示しませんでした。
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