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2017年12月1日(金)

論戦ハイライト

財界いいなり社会保障攻撃と大企業の脱法行為

参院予算委 小池書記局長の追及

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 30日の参院予算委員会で、財界の求めに応じた社会保障攻撃と大企業の脱法行為を追及した日本共産党の小池晃書記局長。国民の実態と怒りを代弁した質問に安倍晋三首相が「まだ検討の段階」と言わざるをえない場面もありました。


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医療費75歳以上2割負担

小池氏「受診抑え健康破壊」

首相「所得や受診率踏まえ検討」

 安倍首相は、現在の社会保障費が過大であるかのように語っています。小池氏は、社会保障給付費の対GDP比は「先進国の中で決して高くない」と指摘しました。

 小池 GDP比に占める、社会保障支出の割合は3年連続で減っている。厚労省は、これが近年になかった事態だと認めるか。

 加藤勝信厚労相 この3カ年はGDP比では下がっている。

 小池氏は「自然増削減」を繰り返した「小泉政権でもなかったことだ」と批判しました。

 財務省の社会保障削減案は経団連の提言を引き写したような内容です。小池氏は、75歳以上の窓口負担の2割引き上げについて、「後期高齢者医療制度を導入したときの首相は麻生太郎財務大臣だ」と追及しました。

写真

(写真)政府を追及する小池晃書記局長=30日、参院予算委

 小池 総理だったとき、「1割負担はいい制度」「維持したい」と答弁していたこととの整合性はどうなっている。

 麻生財務相 1割負担にしたいという希望があるのは確か。2割負担になりつつあるという状況を考えねばならん立場だ。

 小池氏は、75歳以上について、平均所得が82・8万円、所得なしが53%であること、医療機関にかかる割合は若年世代と比べ、外来で2・4倍、入院で6倍以上であることを加藤厚労相に確認。

 小池 所得は少なく、病気にかかりやすい。この年齢層の医療費負担を2倍に引き上げれば、受診抑制による健康破壊を引き起こす危険が大いにある。

 安倍首相 保険制度の持続可能性の観点に加えて、後期高齢者の所得や受診率を踏まえつつ、きめ細かな検討をする必要がある。

 小池氏は負担増撤回を重ねて求めました。

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要介護者6割が給付外へ

小池氏「介護離職ゼロは不可能」

首相「小泉政権より抑え好結果」

 小池氏は、安倍政権のもとで要支援1、2の人の訪問介護、通所介護のサービスが保険給付から外され、地域支援事業に移行されたこと、要介護1、2の人も特別養護老人ホームの入所ができなくなっていることを指摘。

 さらに要介護1、2の人の在宅サービスまで保険給付から外せば、要介護認定者の65%が保険給付を受けられないことになると述べ、「介護保険制度への信頼が根本から崩れかねない」と批判しました。

 小池 地域支援事業への移行は、サービス提供が進んでいない状況だということは財政審の建議でも言っている。給付削減の連続でどうして総理の言う「介護離職ゼロ」が実現できるのか。

 安倍首相 サービスとりあげではない。(社会保障費について)効果的・効率的にしていく観点から改革を行った結果、小泉政権より大幅に(自然増を)抑制できたという大変いい結果が出ている。

 小池 小泉政権よりも大幅な削減をやり国民が苦しんでいるのに、その反省がまったくない。

診療・介護報酬の同時改定

小池氏「医療充実へイニシアを」

首相「さまざまな要素で検討」

 小池氏は、医療・介護サービスの公定価格である診療報酬・介護報酬を18年度に同時引き下げしようと狙う政府を追及。介護職員の「処遇改善を行う」という安倍首相に、「労働者全体の12%を占める医療・福祉従事者の賃下げにつながる引き下げは、支離滅裂だ」と批判しました。

 「財政状況を踏まえて判断したい」などと弁明する首相。小池氏は「財源と言うなら、高すぎる薬価を引き下げるべきだ」と畳みかけました。「新薬創出等加算」は革新的とは言えない薬にまで広く適用されており、「薬価を高止まりさせる制度はやめるべきだ」と強調。アメリカ政府の要求で導入された制度であり、加算対象の製薬企業上位10社のうち8社が外資企業であり、「米国などの圧力に屈することなく、薬価の引き下げ分を診療報酬の本体にまわして(医療従事者の)人件費を支えるべきだ」とプラス改定を主張しました。

 薬価の引き下げ分を本体部分に充てることは、首相自身が1990年代に主張していました。一方、財政審は2018年度改定で本体の引き下げを要求しています。

 小池 医療の充実へ総理がイニシアチブを発揮すべきだ。

 安倍首相 かつて言ったことは今もその通りだが、さまざまな要素で検討する。

 小池 正しいなら(プラス改定を)やりましょう。医療の危機の打開は政治の最大の課題だ。診療・介護報酬の引き下げは断じて許されない。

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無期転換「5年ルール」脱法

小池氏「抜け道ふさぐ法改正を」

厚労相「今の状況含め検討」

 小池氏は、労働契約法にもとづき、契約更新を通算5年続けた有期・期間雇用労働者が、希望すれば無期雇用に転換できる「5年ルール」において、自動車メーカーが6カ月の空白期間(クーリング期間)をつくり、「無期雇用に転換させない脱法行為をしている」と告発しました。

 小池 トヨタ労働者の話を聞いた。上司から「次の採用まで6カ月空けてほしい」と言われたという。なぜ6カ月なのかと聞くと「法律が変わったから」と説明された。同じ労働者を非正規のまま使い続けるのは法の趣旨に反する。

 加藤厚労相 クーリング期間があり、その先に雇用の予約をすることは望ましくない。趣旨を周知啓発する。

 小池氏は「企業は意図してやっている。周知啓発では解決しない」と批判。期間雇用労働者1500万人のうち、400万人以上に無期転換の条件があると述べ、「大量の労働者に雇い止めが起ころうとしている」と追及しました。

 小池 トヨタをはじめとする大企業が無期転換ルールをかいくぐることを許せば、ルールは「絵に描いた餅」になってしまう。

 安倍首相 雇用の安定に向けてしっかり対応していくというのは小池委員と同じ。

 小池 今、雇い止めが起こっているんだから、来年にも(抜け道をふさぐ法改正を)やるべきだ。

 加藤厚労相 今の雇い止めの状況も含めて検討を行っていきたい。

 小池氏は、大企業の内部留保(利益剰余金)が2012年度の177・7兆円から16年度の245・3兆円に63・5兆円も拡大したことを麻生財務相に確認。上場企業上位100社に2兆円の法人税減税の一方、従業員給与は3千億円しか増えていないとして「法人税減税が賃上げに結び付かなかったと認めるか」とただしました。

 麻生財務相は、法人税減税の使途が「内部留保に偏りすぎている」と認め、賃上げに向け「しかるべき方向性を示さなければ」との考えを示しました。


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