2017年11月28日(火)
公共放送の公正と信頼回復へ
韓国MBC73日間スト終結
前政権迎合の社長退陣
社長の退陣を求めストライキが行われていた公共放送の韓国文化放送(MBC)は25日、12週ぶりに「無限挑戦」や「音楽中心」など人気番組を放送しました。全国言論労組MBC本部は15日の株主総会で社長が解任されたことを受けストライキを中止。組合員は翌日から職場に復帰し、番組制作を始めていました。9月4日に始まったストライキは73日間に及び、朴槿恵(パク・クネ)前政権に迎合し政権批判を許さなかった社長の退陣を勝ち取りました。(栗原千鶴)
全国言論労組に所属するMBC本部労組のフェイスブックによると、組合員は21日、ストライキから復帰後、初めて社内で集会を開きました。技術部門の職員であるキム・ジョンホさんは「自分が入社してからの10年間は、毎年MBCが悪くなっていった。しかし、今回のストライキの勝利で、再び飛躍できると確信した。最近は出勤するたびにときめきを感じている」と発言し、共感を得ました。
MBC本部労組のキム・ヨングク委員長は、「MBCは、国民の懐に戻らなければならない」と決意を表明。「そのためには政府と政治権力は社長選びから手を引き、新しい社長は必ず職員と国民に受け入れられる人物でなければならない」と強調しました。
ストライキは、会社が職員の忠誠度をはかるリストを作っていたことや、政権批判を許さない報道姿勢などに組合員が反発、公共放送の公正と信頼の回復を求めていました。
今後、新しい社長は公募で選ばれます。名乗りを上げているのは、MBCを12年に解雇されたプロデューサー(PD)のチェ・スンホ氏です。
チェ氏は不正を暴く番組制作で知られ、PD大賞や放送大賞などを受賞。しかし、12年のゼネストでストを主導したとして解雇されました。ネットメディアを立ち上げ、独自に政治腐敗などの問題を追及し続けてきました。
「MBCは私の誇りです。栄光を取り戻すことにとどまらず、新しい姿勢で真の公共放送をつくる」と20日、自身のSNSを通じて公募に応募することを明言しました。