2017年11月23日(木)
主張
代表質問首相答弁
国民の不信・不安にこたえない
総選挙後の初の国会論戦である、安倍晋三首相の所信表明演説への各党の代表質問が行われました。首相は所信表明演説で「森友」「加計」疑惑に一切触れず、自ら「国難」といっていた問題でも真面目に説明する姿勢がありません。日本共産党の志位和夫委員長は衆院で、山下芳生副委員長は参院で、首相の疑惑隠しを追及するとともに、外交・内政の焦点課題で抜本的な対案を示し認識をただしましたが、首相はまともにこたえず逃げの答弁に終始しました。国民の声に向き合わず、暴走政治をすすめる安倍首相に政治のかじ取りを任せられないことは明らかです。
疑惑解明に背を向ける
志位、山下両氏が冒頭で取り上げたのは、「森友」「加計」疑惑です。国民の財産である国有地がなぜ8億円もの破格の値引きがされて、大阪府の学校法人「森友学園」に売却されたのか。安倍首相の「腹心の友」が理事長の岡山県の学校法人「加計学園」が獣医学部を新設する際、特別の便宜がはかられたのではないか。時の権力者により行政がゆがめられ、国政が私物化されたのではという重大疑惑に国民の不信は消えていません。選挙が終わったからといって絶対にあいまいにできません。
「森友」疑惑では、開設予定の小学校の名誉校長だった首相夫人の昭恵氏、「加計」疑惑では、学園理事長の加計孝太郎氏の国会招致が不可欠です。志位氏らは昭恵氏と加計氏がそれぞれの疑惑のキーパーソンであることを具体的に挙げ、招致を求めましたが、首相は「丁寧に説明してきた」などと居直り、疑惑解明に背を向けました。
北朝鮮の核・ミサイル開発への対応はどうか。首相は「対話のための対話は意味がない」と対話否定論に固執、軍事力行使を含む米国の「すべての選択肢」を支持する立場です。国民の不安は深刻です。志位氏は、米国に先制的な軍事力行使は絶対にやるべきでないと提起せよと求めましたが、首相はこたえようとしません。
暮らしの問題でも首相の暴走は国民に不安を与えています。安倍政権は総選挙後、経団連が要求した「国民の痛みを伴う改革」にこたえ、社会保障のあらゆる分野で給付削減の大ナタをふるおうとしています。介護保険では要支援・要介護と認定されている人の65%が保険給付の枠外に置かれるなどの大改悪です。これでは「国家的詐欺」というほかない―。志位氏の指摘に対し、首相は「批判は全く当たらない」と開き直りました。再来年の消費税率10%への増税も計画通りに強行する構えです。山下氏が追及した「働き方」改悪の問題では、誠実な答弁はありません。全世代の国民に激痛を強いる安倍政治からの転換が必要です。
改憲許さない運動広げ
沖縄での新基地建設強行、原発再稼働の推進など民意に反する異常な強権政治への国民の批判についても首相に反省はありません。
憲法9条に自衛隊を明記する改憲案は、戦力不保持の9条2項を死文化し、海外での武力行使を無制限に可能にするものだ、とただされても首相は「指摘は全く当たらない」と、執念を捨てません。改憲を許さず憲法を守る政治を取り戻すことはいよいよ急務です。
外交でも内政でも国民の声に逆らう安倍政権を追い詰めるたたかいを強めることが求められます。