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2017年11月19日(日)

COP23inボン

「パリ協定は守られた」

途上国・市民社会が力発揮

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 【ボン(ドイツ西部)=伊藤寿庸】「パリ協定の体制は守られた」。18日朝に閉幕したCOP23(国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議)について、気候行動ネットワーク・インターナショナルのモハメド・アドウ氏は、こう評価しました。


 太平洋の島国フィジーが初めて議長国となったCOP23(国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議)。気候災害の深刻さを最もよく知る同国が、パリ協定実施へ積極的なイニシアチブをとることが期待されていました。

米国の逆流ぶり

 他方、会議では、世界で唯一パリ協定に背を向けた米トランプ政権が、化石燃料推進を主張し、途上国の気候災害への資金援助に強硬に反対するなど“逆流ぶり”を見せつけました。

 会議を前に進めたのは、途上国や市民社会の力でした。

 ドミニカのスケリット首相は、「ハリケーンの被害で、建物の9割が破壊され、国内総生産(GDP)の224%が失われた。地球を汚染し続けている諸国の中に、こんな国がいくつあるのか」と厳しく問いかけました。

 また開催前にボンで行われた「気候を守れ、石炭を止めろ」の2万5000人のデモなど、市民社会が会議の内外で存在感を発揮。米国から、先住民を含む「人民代表団」が参加し、パリ協定の推進を目指す自治体、企業、大学などの連合体も大きなパビリオンを設置して精力的に活動。米国の孤立は、NGOによる「化石賞」の常連だったカナダ、産業革命の発祥の地・英国なども含めて、脱石炭の世界的な連盟発足にも示されました。

道筋作りが焦点

 今後、フィジーの提唱した「タラノア対話」を通じて、各国の排出削減目標の引き上げの道筋が作れるかどうかが焦点。途上国が緊急に求める資金・技術援助、従来の枠組みでカバーされていない「損失と被害」への資金援助などが実現するかも問われます。

 日本は、中川雅治環境相が参加し、「議長国フィジーの取り組みを全力でサポート」などと発言。しかし「2013年度比26%減」(1990年比で18%減)という低い排出削減目標を引き上げる方針も表明せず、気候変動の緊急性への認識の欠如を露呈しました。


日本のNGOが評価発表

政府に批判の声も

 【ボン=岡本あゆ】閉幕したCOP23(国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議)について、日本の各NGOが評価を発表しました。日本政府に批判の声が上がりました。

 WWF(世界自然保護基金)の山岸尚之・気候変動・エネルギー室長は「ほぼ予想通りの進展具合。パリ協定の運用ルールづくりの期限は18年までで、さらに議論を加速させていかなければならないが、着実に進めば完成できる」と評価。「各国の目標を引き上げるために18年に開かれる『タラノア(促進的)対話』に向けた合意も進んだ」としました。

 CASA(地球環境市民会議)の早川光俊専務理事は「米国内の州・企業などの非国家グループの存在感は大きかった。トランプ政権は国外でも国内でも孤立している」と。

 気候ネットワークの伊与田昌慶研究員は、石炭火力問題で日本が非難を受けたことを強調。「COPで脱石炭が注目される中、日本は開き直るように海外の石炭火力発電所への貸し付けを行った。まるでCOPなど開催されていないかのようだ」と批判しました。

 公益財団法人・自然エネルギー財団の大野輝之常務理事は「日本と世界のエネルギー政策の違いを感じた」と指摘。「世界は50年までに再生可能エネルギー100%を実現するのは当たり前という雰囲気。一方、日本はまだ原子力と石炭という古い技術にしがみついている」と語りました。


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