2017年11月16日(木)
衆院文科委 加計疑惑
選定の根拠でたらめ 認可の取り消し求める
畑野氏が追及
「国家戦略特区で加計学園を選んだプロセスも根拠もでたらめだった」―。日本共産党の畑野君枝議員は15日の衆院文部科学委員会で、加計学園による獣医学部新設について、同学園と競合した京都産業大学と比べて「熟度が高い」などと政府が説明し、認可へと進めてきた根拠を追及しました。林芳正文科相はまともに説明できず、初めから「加計ありき」で選定が行われた疑惑がさらに深まりました。
国家戦略特区を担当する山本幸三地方創生相(当時)は、獣医学部新設の事業者として、京都産業大ではなく加計学園(愛媛県今治市)を選んだ理由として「京都府の提案よりも今治市の提案の方が、熟度が高い」(6月13日)と説明してきました。
設置審も「警告」
畑野氏は、文科省大学設置・学校法人審議会(設置審)が加計学園の申請内容の抜本的な見直しを求める「警告」まで付していたことを挙げ、「熟度が高い」との政府の説明が成り立たないことを、具体的な内容に踏み込んで政府の認識をただしました。
政府は「熟度が高い」理由として「専任教員の確保」や鳥インフルエンザなど感染症の「水際対策」などをあげています。ところが、設置審は教員配置の不備をあげて、「カリキュラムの実現可能性に疑義がある」とまで指摘。水際対策についても「人獣共通感染症に関する内容を学ぶ実習がない」と是正を求めていました。
畑野氏は「政府の評価を設置審は否定している」と重ねてただしましたが、林文科相はまともに答えず、「(設置審の)指摘で一定の改善が図られたと判断した」と繰り返すだけ。畑野氏は、京都産業大学には2006年に鳥インフルエンザ研究センターを立ち上げ、地方自治体とも連携してきた実績があることを示して、なぜ加計学園が選ばれたのかと松本文明・内閣府副大臣にただしました。
政府の対応批判
畑野 当時の山本大臣は「水際対策」で今治の方が優れていると言っていた。京都についても具体的に調査をしたのか。
松本 手元に資料をもっていない。
畑野氏は、政府の対応のずさんさを厳しく批判し、認可の取り消しを求めました。
畑野 実績に関する資料を調べていないということだ。事前に比べて決めたというのはまったくのでたらめだ。認可を取り消すべきだ。
文科相 設置審の審査に基づいて認可した。
開き直る林文科相の答弁に、畑野氏は設置審では初回に是正を求める意見が相次いだため、異例の3次までもつれ込んだ経緯を指摘。設置審の専門委員も「設置審の審査は、答えを教えながら何回も試験をするようなものだ」と述べていることをあげ、「文部科学行政に汚点を残してはならない」と厳しく批判しました。